日本はもっと世界に目を向けて

N.P.O. アース エイド・ソサエティ 代表

デヴィ・スカルノさん

 世界中の人々が、人種、国境、言語、宗教、歴史を越えて、強い家族愛で 結ばれることを願い特定NPO法人アース・エイド・ソサエティが 2005年に デヴィ・スカルノさんによって設立された。

 同団体は、政治の犠牲者である 世界中の難民、また 天災による被災者、地球の自然環境破壊に歯止め、才能ある芸術家たちの支援、動物虐待防止、 恵まれない人々に 愛の手を 差し伸べることが 設立趣旨だ。その一環としてNPO米国財団法人イブラ国際音楽財団の名誉会長で創立者の一人として、今回カーネギーホールで9日に開催されたNYアワード音楽会の授賞式に主催者として来米した。

 今年1月16日には、ウクライナにヒートテック、使い捨てカイロ、懐中電灯、トイレの便座シートを寄付するため現地に飛んだ。昨年2月の侵攻勃発から東京の在日ウクライナ大使館には日本全国から石油ストーブや毛布などが寄せられていたが、ウクライナへの輸送船賃がないため埼玉県川口市の倉庫に支援物資が大量に滞っていることを知り、デヴィ夫人の団体が19フィートのコンテナ4本分の支援物資の輸送費600万円を寄付。本人はモルドバ、オデッサを経由してボランティア5人と共にウクライナへ行き、物資が間違いなく被災者の手に渡るのを確認した。

 「私は子供の頃から新聞をクリッピングするくせがあり、新聞を読むたびにプーチンの理不尽な嘘っぱちにマグマが噴き出るくらい怒り狂って、ウクライナのためにできることはないかと考えたが個人の力でできることには限りがある。地球上に人類が存在した時から強者が弱者を襲い、占領し、略奪し、領土を広げ、支配する人間の性(さが)と欲望は人間がいる限り変わらない。せめて国際秩序だけは守ってもらいたい。クリミア半島を簡単に手に入れたロシアがゼレンスキー大統領が強靭な愛国者であったのを見誤ったのがプーチンの大誤算だった。日本はもっと外国で何が起きているのか知るべきだし、何が求められているかを考えるべき。井の中の蛙大海を知らずではないが日本は震え上がっていいはずなのに平和ぼけだ。ウクライナが負けるようなことがあったら民主主義の墓場になる。中国は台湾を襲い、次は沖縄の領有権を主張するでしょう。このままでは日本は少子高齢化で30年後、50年後は消滅してしまう。日本の若者に言いたい。やっぱり世界に目を向けるべき。何が日本のためにできるか考えて。今世紀、世界は様変わりしますよ」と堰を切ったように話した。   

   (三浦良一記者、写真も)

NYでボランティア、現地校で日本文化

 NYでボランティア(北川静子代表)は、1日から5日までブルックリンの低所得地域の高校、リーダーズハイスクールの生徒を対象にした新プログラムを実施した。昨年は数回同高校を訪問し、浴衣の着付け、折り紙、習字などの日本文化の紹介をしたが、もっと深い精神的な面、「道」についてなど心身を鍛える教えを紹介することに今年は焦点をあて、日本文化における健康と栄養と題して校外で学ぶプログラムを実施した。生徒たちは5日間で空手(五嶋龍)、茶道(グローバル和室にて上田宗箇流正教授の長野佳嗣)、日本食体験(おにぎりと味噌汁)、お弁当(共にwasan別店のa-un)、子供の日イベントを行った。NY日本商工会議所のJCCファンド、住友商事、JAMSNET、NY日系人会(JAA )が資金協力した。茶道は三井住友信託銀行の仲介で実現した。参加した高校生からは多くの礼状が届き感謝のレターには「今週は素晴らしい体験ができて、一生の思い出になりました。ありがとうございました」と書かれていた。

小西翔さん仕事を語る

第41回NYエンタメの会

 第41回NYエンタメの会(中澤利彦主催)が4月24日、イーストビレッジのRESOBOXで開催された。ゲストは小西翔。同氏は、東京パラリンピック開会式のギタリスト布袋寅泰の衣装ほか、パーフォーマー約50人分の衣装をすべて担当したり、英国ボーグ誌表紙のビヨンセ衣装制作に携わるなど世界で活躍するファッションデザイナー。

 東京モード学園、Paris College of Art Haute Couture、Parsons School of Designをいずれも首席で卒業。留学経験を次世代に還元したいという気持ちで在学中の2017年からオンラインでのデザインラボを立ち上げ、早くから若いデザイナーの教育にも目を向けている。「次世代に伝える」ということをテーマにした時に一番大切にしたいことはサスティナビリティ。NYでそのテーマを研究、ファッションデザイン力を用いて仕事として持続可能で、かつ社会貢献になることを共に実現する仕組みづくりを目指す。現在、今年10月に帝国劇場で公開されるミュージカル『チャーリーとチョコレート工場』の衣装を担当している。(植山慎太郎、写真も)

編集後記 2023年5月6日号

【編集後記】
 みなさん、こんにちは。本紙でここ数回にわたり記事として掲載し、今週号でも平野共余子さんが映画評(18面)を書いている「PLAN75」をグリニッチビレッジのIFCセンターで、おくらばせながら私も見てきました。ああまたか、もう記事で何度も読んだよと思われても困るのですが、映画を見ていない人のために一言だけ前置きをすると、高齢化社会が進み、老人が社会のお荷物になることを理由に、75歳になったら自分で安楽死を選ぶことができる法制度が施行された近未来の日本を舞台に、主演女優の倍賞千恵子が高齢女性の置かれた孤独な立場、黙って社会のいいなりになって物事を従順に受け入れていくと正しいことと間違ったことの判断ができなってしまう危うさを描いた作品です。そこに至るまでの間に与野党の国会での激しい賛否両論の攻防が繰り広げられたと簡単に触れたあと、一旦決まると、プラン75の安楽死を選ぶことがとてもいいことのような、広告、キャンペーン、イベント、ホテル優待宿泊プレゼント、お小遣い10万円という飴玉を与えて緩やかにマインドコントロールして社会の流れを巧妙に作っていく日本のシステムの凄まじい怖さ、オリンピックの企画を任されたような大手広告代理店が用意周到に青写真を作っているであろう老人殺人正当化工作。脚本を書いた早川千絵監督は「ものを考えない社会の危うさを描きたかった」と日本クラブで事前に開催されたパネルディスカッションで言ってました。映画を見る前に開かれたディスカッションだったため、客席から聞いていて、登壇者たちはあることを、まるで口裏を合わせたように触れていないことに勘付きました。登壇者たちは映画を見た上での発言、会場の参加者は全員まだ映画をみていない状態でお話を聞いています。ここでネタバレになってしまうことを言ってしまっては、これから映画を見る人には申し訳ないと思ったのでしょうか。事前の記事やお話を聞いているだけではこの映画はただとても暗く、希望のない、どうしようもなくネガティブな社会を描いただけの作品になってしまう。数週間前に最初に平野さんが監督インタビュー記事を書いた時に、私は、その原稿になんという見出しをつけたらいいのか迷い「高齢化社会をブラックユーモアで」と付けたら平野さんから「三浦さんも映像を見て頂ければわかるのですが、本作はブラック・ユーモアはなく、国家事業として老人殺害を淡々と行使する全体主義に対する批判と私は見ました。ジョージ・オーウエルの『1984』に近いものがあります。早川監督も本作は老人問題ではなく、異論を唱えられない日本社会の批判、というようなことをおっしゃっています」とすぐさま、返信メールがきたので、最終的には「架空の現代版姥捨山物語を映像に」とつけた。日本クラブの会場で「この映画を見て、良かったなあと思えるポジティブなところってあるんですか?」と思わず早川監督に聞いてしまった。早川監督は一瞬口籠もったが「映画としての面白さはあると思います」と話した。ここまで読んで、これで終わると「あるものってなんだよ」と読者の皆さんは消化不良を起こすので、書きますが、最後は主人公は何もセリフは言いませんが、「私はまだ死にたくない。生きることができる」と管を外して殺人病棟から脱走するところで映画は終わるのです。chatgptのAI知能に操られる危険がクローズアップされている昨今ですが、世の中の流れに抵抗する人間の脳こそが来るべき恐ろしい社会に歯止めをかけ得る唯一の人間の力だと、この映画は気づかせてくれたというように私は見ました。この映画を見て良かったなあと思いました。今月4日までの上映期間でしたが、好評のため今月11日(木)まで上映期間が延長されました。まだご覧になっていない方、面白い映画ですよ。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2023年5月6日号)

(1)PARK AVENUE  ART  超リアリズム彫刻

(2)吉田実代執念で 米国初戦飾る

(3)米国籍と永住権の大差を無視する国籍法

(4)NYで合同県人会 日系社会の連携を促進

(5)3行目の銀行破綻 波及拡大に警戒感

(6)どうする相続登記の義務化 住まいの終活

(7)ラーメンコンテスト 優勝は麺陣屋六兵衛

(8)家族と愛をものがたる 岸田奈美さんNY講演

(9)自然史博物館 新館がオープン

(10 )映画「PLAN75」 NYで劇場公開

超リアリズム彫刻を野外展示

PARK AVENUE ART

 ビーチボールにつかまって気持ち良さそうに日光を浴びる女性。これはパーク街のマレーヒル地区34丁目から38丁目の中央分離緑地帯にこのほど設置されたハイパーリアリズムの世界的巨匠キャロル・A・フォイヤマンの作品だ。

式典に参加した作者のキャロル・A・フォイヤマンさん(右から2人目)とスパグノラPOPA会長(右端)(4月27日、写真・三浦良一)

 設置したのはパトロン・オブ・パークアベニュー(POPA) でギャラリー・バルトゥーの協力で水泳をテーマにした女性像を野外展示中だ。4月27日午後、作者を招いた披露式典が開催された。「パーク街に作品が展示されることは私の長年の夢だった」と挨拶するフォイヤマンさん。POPAのビクトリア・スパグノラ会長は「ニューヨークの優れた芸術の遺産を多くの人に楽しんでもらえることを期待している」と挨拶した。写真の作品はホテル北野の目の前にあり、街ゆくニューヨーカーたちの目を楽しませている。ギャラリー・バルトゥーはフランス、モナコ、ロンドン、ニューヨーク、マイアミにギャラリーを構える有名画廊。

吉田実代執念で米国初戦飾る

NYタイムズスクエア

 プロボクシングの元WBO女子世界スーパーフライ級王者の吉田実代(35)が4月27日、タイムズスクエアのソニーホールでインデア・スミス(26)に判定勝ちし、米国初戦を飾った。

 3分8ラウンドの試合、序盤から激しい打ち合いの応酬となった。対戦相手のスミスが最初にリングに上がった時は、体格差で身長やリーチのある吉田が俄然有利に見えたが、ゴングが鳴ると1回からバチバチの打ち合いに。吉田は前に出る攻撃でスミスの踊るような連打をかわしながらジャブ、ストレートを的確に入れていくが、中盤の接近戦でスミスを抱え込んでしまい審判から注意を受ける場面も。終盤はセコンドからの前に出て攻撃をするよう大きなゼスチャーで指示され8回最終ラウンドではスミスを圧倒するパンチで相手の動きを止め試合終了のゴング。判定の結果審判長が吉田の手をあげた時、吉田の頬に熱い涙が流れた。吉田にとってはこの一戦の勝利は何よりも大きかった。2019年にWBO女子世界スーパーフライ級王座を獲得するも昨年5月に防衛戦で判定負けとなり王座を手放している。その時点で34歳。闘うシングルマザーとして7歳の娘を育てながらの現役生活を続けたが、日本でモチベーションを高く保てる対戦相手に恵まれず対戦相手を海外に求め、ブルックリンにあるマイクタイソンなどを輩出した名門ジムの「デビラ・エンターテイメント」と昨年契約を結んだ。

 リングで司会から勝利の感想を聞かれた吉田は「自分は鹿児島で生まれ、決して恵まれた家庭環境で育っていないが、それでも諦めずに自分の可能性を信じてチャレンジしてきた。これが後に続く人たちの勇気になることを祈っている」と話し、笑顔で娘の実衣菜(みいな)ちゃんとリングで抱き合った。トレーナー不在のなか東京に自宅のないまま知人宅を渡り歩き、試合まで調整することになり、試合までの減量や練習はかなり苦労したと言う。今回24時間経由でNYに到着した。2日で残りの体重を落として着いて3日目に計量、4日目に試合という普通ありえない過密スケジュールで闘い、計量前から満身創痍だった。渡米ビザが遅れ2月の試合を流してしまったこともあり、「興業側デビラ側の期待に応えたかったから言い訳はしないと決めて腹を決めて、やり通せた。セコンドともぶっつけ本番だったが、私の勝ちたい気持ちと周りの勝たせたい気持ちがうまくシンクロして気迫で勝ちにいけたと思う。一年ぶりの試合にこのコンディションとこの状況で勝てたことは自分にとっては収穫が大きいです。課題も、もちろんありますが次戦は充分コンディションを整えて試合間隔も空けずに試合をどんどんこなして強くなっていけたらと思っています」と本紙に語った。

(三浦良一記者、Photo Takako Ida )

NYで合同県人会

日系社会の連携を促進

 ニューヨークで活動する各都道府県の県人会の代表が4月21日夕、NY日系人会に集まり、初の合同県人会「春の食事会」を開催した。当日は、 青森、秋田、宮城、福島、栃木、茨城、埼玉、東京、石川、福井、京都、大阪、和歌山、広島、山口、徳島、長崎、大分、鹿児島、沖縄など22の県や団体代表ら30人が参加した。

 今回の合同県人会(春の食事会)開催の主旨は、今後どのようにして県人会をNYにあるコミュニティーとして活性化できるのか、その課題解決策を協議することと共に、県人会の代表者同士が知り合いとなり、他府県ともネットワークの輪を広げることだ。これまでニューヨークの県人会は、それぞれ独自の会合での親睦を深める活動はしているが、全国の県人会が集まるのは今回が初めて。

 呼びかけ人の一人、長崎県人会会長で合同県人会幹事を務めた木下信義さんは「今後も出身地をベースとしたコミュニティネットワークの存在意義は、コロナ禍以前と変わりがないことは確認できたが、イベントへの来場誘致のための案内の仕方や、特に若い層の取り込みには、ウェブサイトを設け、継続的な運営管理と情報発信を行うこと、JETプログラムのNY同窓会 (JETAANY)と連携して各県の地元に滞在経験のあるアメリカ人の参加を促すなど、より参加者の興味や関心を惹く内容を盛り込んだものにしていくことが大切など積極的な意見が交わされ、とても有意義な会になったと思う」と話す。NY青森県人会の会長を長年務めて今回顧問に退いた松浦玲子さんは「東北6県と北海道で作るほくほく会で10年近く交流しているが、合同県人会はネットワークの結束を全国にまで規模を広めたもので、各県同士の連携が深まれば、さらにパワーアップが期待できそうだ」と話す。

米国籍と永住権の大差を無視する国籍法

 外国籍を取得すると日本国籍が自動的にはく奪される国籍法第11条の違憲性や改正を求める二つの訴訟が進行中です。最近も原告側による記者会見やトークが開催されました。その中で認識すべきは米国籍保持者と永住許可証保持者の大きな違いです。

 国は裁判の中で「在外邦人は居住外国の国籍を取得する必要は必ずしもない」と主張します。しかし、外国籍が必要不可欠な人が多数います。就職、社会保障、相続などで不利。投票権がなく在留資格が不安定。国籍が異なる夫婦間で離散の不安がある。介護に親を呼び寄せられない等からです。

 米国の永住許可(グリーンカード)所持者が日本に帰国する際、親の危篤などで帰国が長引けば永住許可はく奪の可能性もあります。コロナ禍で日本旅券を持たない人に対する入国制限のため、日本国籍を奪われて「親の死に目に会えなかった」日本人が続出しました。

 社会保障でも米国市民と永住者の間には差別があり、しかもその差は広がっています。特に、高齢者になった時に最低生活ができるか、ホームレスになってしまうかという生死すら分ける実態があります。犯罪を犯しても米国市民であれば国外退去や強制送還とはなりませんが、永住者は有罪となりやすく、長い懲役刑で強制送還となりえ、永住許可は消滅します。

  米国で日本人夫婦から生まれた子供も3か月以内に国籍留保届けを提出しないと日本国籍を失うのです。

  必要に駆られて外国籍を取得した南部陽一郎、中村修二、眞鍋淑郎のノーベル賞受賞者各氏も日本国籍をはく奪されました。

 国は複数国籍の弊害として、外交的保護、兵役義務、納税義務の衝突などを挙げますが、税金は国籍ではなく所得発生国で課税され、他の理由も弊害になりません。

 今や日本の複数国籍者も100万人超と推測され、複数国籍に肯定的な国が150か国約77%と言われるのも以上述べた複数国籍の「必然性」を示しています。

 香港のサウス・チャイナ・モーニングポスト紙は「人口減少の危機に、自国民から国籍を奪う不可解な日本」と報じています。先祖代々日本人で日本の血が流れているのに、「日本人ではない」とされることに保守層が怒りを表すべきとの声も聞かれます。政府が国民の国籍を奪うという「反国益」を見直す時です。

 ふじた・ゆきひさ=慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長。岐阜女子大特別客員教授。

3行目の銀行破綻

波及拡大に警戒感

 中堅銀行のファースト・リパブリック銀行が1日、経営破綻した。JPモルガン・チェースが、ファースト銀の大部分の資産を買収し、全預金を引き継ぐことで大きな混乱は免れた。3月のシリコンバレー銀行(SVB)、シグネチャー銀行に続き3行目。資産規模でSVBを上回り、リーマン・ショック後では最大、米史上でも2番目の規模の銀行破綻。預金者のSNSを中心にした不安投稿が増大し、世界の金融市場で警戒感が広がっている。

どうする相続登記の義務化、住まいの終活

JAAヘルスフェアに参加

日本の最新事情
山口里美氏がオンラインで解説中

 NY日系ライオンズクラブ企画、第15回JAA春のヘルスフェア「ライオンズ大学・大人の教養シリーズ第6弾」の講演が、4月22日から5月10日(水)まで、インターネット(YouTube)での配信を行っている。4人の講師が連続して各30分の講義を配信し、一度の申し込みで自由に視聴できる。(共催・NY日系人会・邦人医療支援ネットワーク、後援・在NY日本国総領事館)。

 講師は、ファーストブランド(本社大阪市、河本扶美子社長)が運営するマイベストプロトプロに登録の山口里美氏(一般社団法人日本リレーションサポート協会代表理事)が「どうする?相続登記の義務化〜住まいの終活」と題して講演している。

 山口里美さんは「相続登記の義務化」に伴い、どのような手続きの変更が生じるのかを解説した。まず相続登記義務化のポイント、国に土地を返す「国庫帰属制度」を説明、相続した土地の放棄は危険で住まいの終活として今からできることについて話した。

 日本には相続した土地を登記する義務がこれまでなかったため、日本全国に所有者不明の土地、荒れ放題の土地が、面積にして410万ヘクタール、ほぼ九州と同じ広さ、国土の20%ほどあり、それが北海道ほどの大きさになろうとしている。これを打開するために政府が所有者不明の土地を国に戻す制度もスタートする。相続登記をしていないと直ちに売却することができない、土地に建物を建てる際にも支障が生じる、不法登記の原因にもつながるなどのマイナス要因が生じる。 

 所有者不明土地の問題点は、所有者を探すことに多大の時間と費用がかかること、共有者が多数いると土地の管理や利用に必要な合意ができないなどだ。

 登記義務に従わない場合、今後は、罰則が制定される。義務化前に相続した不動産も対象となることに注意が必要だ。相続による不動産取得を知った日から3年以内に相続登記しない場合、10万円以下の過料の対象となる。住所変更も登記も義務化され、2年以内に手続きをしなければ5万円以下の過料の対象になる。ただし、救済措置として、相続発生後、すぐに相続登記を行えない場合に、相続人であることを申し出ることで相続登記を行う義務を免れる制度があることも知っておくと便利。

 引き継いでも仕方ない土地を相続のタイミングで手放すことができる新たな仕組み「国に土地を返す国庫帰属制度」が生まれた。この制度はすでに今年4月27日から開始されている。申請できる人、申請することができない土地、費用などがかかるなどの細則があるので注意が必要。制度の申請ができるのは、相続や遺贈により土地の所有権を取得した人のみで、売買などで自ら積極的に取得した土地は対象外。

 住まいの終活として今からできることは(1)相続登記が済んでいるか確認(2)遺言や民事信託など生前対策も可能(3)不動産を売却・寄付などで手放すことも対策の一つとなる。まずは、自分の置かれている状況に隠れたリスクがないかをチェックすることが大切だとアドバイスした。 

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詳細はhttps://mbp-japan.com/tokyo/cosmo/

ラーメンコンテスト、優勝は山形の麺陣屋六兵衛

Japan Fes

 ジャパンフェスのラーメンコンテストが4月29日チェルシー、30日にアストリアで開催された。両日とも激しい降雨に見舞われたが、日本、カリフォルニア、オランダの世界の本格的なラーメンをニューヨークで味わうチャンスとあって5000人ほどの来場者が雨天の中行列を作った。出場者全員がこのコンテストのために作った自慢のラーメンを持参、優勝したのは、山形県から来米参加した麺陣屋六兵衛。1818年に創業した料亭の七代目柏倉城太郎さん(50)がプロデュースする和風ラーメン。寿司や天ぷらを始めとする日本料理に欠かせない出汁をラーメン用にアレンジ。開発に2年を要した自慢の一品。柏倉さんは「日本の出汁のうまさをアメリカの人に分かってもらえて嬉しい。これからの励みになります」と喜んでいた。同店では2日間で1000食以上が売れたと言う。

 2位はオランダから参戦

したラーメンNIKKOU。こだわりの豚肉、鶏肉、野菜をじっくり煮込んだ濃厚鶏白湯スープに長蛇の列ができた。3位は桜梅桃李ラーメン。帆立貝を使った濃厚魚介ラーメンが人気に。

(写真)左から2位のNIKKOU、優勝の麺陣屋六兵衛(中央)、3位の桜梅桃李