本紙に見る10大ニュース

【1月】■レストラン日本 倉岡伸欣さん死去 NYの日本食文化を支えた半世紀=ニューヨークの老舗和食料理店、レストラン日本のオーナー経営者、倉岡伸欣(のぶよし)さんが1月13日午後2時48分、マンハッタンの病気療養先で心不全のため亡くなった。86歳だった。数年前から腰を傷め、入退院を繰り返していたが、年明けから容態が悪化した。倉岡さんは、1961年単身でマンハッタンにワコーインターナショナルを設立して外食事業の足掛かりをつけ、2年後の63年、ニューヨークで初めて本格的総檜造りの寿司バーを備えたレストラン日本を開店。(1月20日号)■平等と権利求めて女性大行進=トランプ政権誕生から1年を迎えた1月20日、ニューヨークでウィメンズマーチが開催された。「投票に力を(パワー・トゥ・ザ・ポール)」をスローガンに20万人以上の人が集まり、集合場所となったコロンバスサークルはトランプ大統領の移民、LGBT、女性の権利に対する考えを批判するプラカードであふれた。(1月27日号)

【2月】■「戦時日系強制収容は違憲」NY市が誕生日の1月30日をフレッド・コレマツの日に制定=ニューヨーク市は昨年12月、米国市民の自由を守るために尽力した日系人のフレッド・コレマツ氏(1919〜2005)を讃え、氏の誕生日である1月30日を「市民の自由と憲法を遵守するフレッド・コレマツの日」として制定した。初めてその日を迎えた30日、制定に尽力した各界の代表が午後1時、市庁舎前で記者会見した。(2月3日号)■ぽぽなさんに第63回角川俳句賞=俳壇・歌壇の登竜門とされる第63回角川俳句賞・歌壇賞(角川文化振興財団主催)の贈呈式が1月23日、東京都内のパレスホテル東京で開かれ俳句賞は、ニューヨーク在住の月野ぽぽなさんが受賞した。(2月17日号)

【5月】トニー賞地域劇場賞にラ・ママ実験劇場が受賞=米国の演劇賞「トニー賞」各候補が1日、発表されたが、これに先駆けて4月30日、トニー賞特別賞である「地域劇場賞」がイーストビレッジにある劇場「ラ・ママ実験劇場」に贈られることが決まった。「ラ・ママ」は1961年にエレン・スチュワート(故人)が創設、国内外の前衛的な舞台芸術が数多く本劇場を通じて世に出された。(5月5日号)

【6月】フォートリーに慰安婦碑 地元高校生が立案=「この記念碑は、誰かを非難するものでもフォートリーの地域社会を分断するためのものではない。戦時中に犠牲を強いられた多くの女性たちの尊厳を守り称えるためのものであり、地元の高校生たちが自発的にこの慰安婦碑建設に貢献した英雄的行為を市長として大変誇りに思う」。ニュージャージー州バーゲン郡フォートリーのマーク・ソコリッチ区長は、200人ほど集まった韓国系米国人を前にこう演説した。5月23日午後6時から同区内住宅街に囲まれたコンスティチューションパークで慰安婦碑の除幕式が行われた。(6月2日号)

【7月】五番街でパイプ爆発 アスベスト飛散 ビル立ち入り制限続く=マンハッタンのフラットアイアン地区、五番街20丁目と21丁目の間で19日午前6時40分頃、地下に埋設された蒸気管(スチームパイプ)が爆発し、道路が陥没する事故が発生した。現場にかけつけた警察官が近隣のビルの住民や会社員らに退避を呼び掛け、スチームパイプの管理運営をするコン・エジソンの作業員が近くのバルブ閉鎖作業を行なった。通行人などに被害はなかったが、対応にあたった警官や作業員ら5人が軽傷を負った。(7月28日号)

【8月】おクジラさまふたつの正義の物語上映=ニューヨーク在住の映画監督・プロデューサー、佐々木芽生(めぐみ)が制作したドキュメンタリー映画「おクジラさま〜ふたつの正義の物語(A Whale of A Tale)」が8月17日、マンハッタンのクアドシネマで米国で初めて劇場公開された。同作品は、和歌山県太地町の漁師や住民、国際活動家、米国人ジャーナリストなどに取材し、6年をかけた渾身の力作。(8月4日号)

【9月】USオープン大坂優勝そのとき米国は=9月8日に行われたテニスの全米オープン女子シングルス決勝について、ニューヨークのメディアは優勝した大坂なおみ選手(20、日清食品)を称賛する一方でセリーナ・ウィリアムズ選手(36、米国)が3度も規則違反をしてゲームポイントまで奪われるという異例の試合だったと相次いで報道した。ニューヨークタイムズ紙は「ブーイングと涙のなかで大坂はセリーナを打ち負かした」との見出しで大坂選手を賞賛しつつ、規則違反やブーイングが「大坂の素晴らしい勝利に水をさした」と報じた。「サーブでウィリアムズを圧倒した」と大坂選手を讃え、「大坂の夢は四大大会の決勝でウィリアムズと戦って勝つことだったが、こんなに厳しい状況のもとではなかったはずだ」と同情的だった。表彰台で優勝したのに「ごめんなさい」と言った大坂の言葉に意見が分かれた。(9月12日号)

【10月】平和の鐘響く=国連総会初日の9月21日朝、平和を祈念して、アントニオ・グテーレス国連事務総長とマリア・エスピノザ(エクアドル元外相)総会議長が平和の鐘を突いた。ゴオーンという荘厳な鐘の音が、ニューヨークの国連本部ビル正面にある日本庭園に響いた。恒例行事となったこの式典は、日本が国際社会に対して世界永久平和をアピールする絶好の機会となっている。鐘を突いたあと別所浩郎国連大使がグテーレス事務総長に「この鐘を寄贈した日本人のお嬢さんが来ています」と伝えた。事務総長は、高瀬聖子さんの方を見るや、つかつかと歩み寄って行き「よくいらっしゃいました」と握手の手を差しのべ、歓迎の言葉をかけた。(10月6日号)
(写真・本紙 三浦良一)

撮る追う 

本紙に見る2018 10大ニュース

 2018年もまもなく終わる。来年5月には平成から新しい元号に変わる。時代の節目に本紙の記者やカメラマンが現場取材で書いた記事から10大ニュースを拾った。

編集後記 12月1日号

みなさん、こんにちは。日本とトルコの友好をテーマにした「世界平和への訴えコンサート」が29日、今夜、カーネギーホールで開催されます。話は、いまから128年前にさかのぼります。1890年9月16日、和歌山県串本町沖で沈没したオスマン帝国(現トルコ)軍艦エルトゥールル号の乗組員69人が地元住民に救助された恩をトルコの国民は忘れておらず、およそ90年後、イラン・イラク戦争が勃発時、イランはホメイニ師によるイスラム原理主義革命でパーレビ体制が崩壊した直後で当時の米国は、イラクを支持して敵対。1985年3月、時の大統領フセインが48時間後上空を通過する航空機をすべて無差別に攻撃すると宣言しました。イランに駐留する外国人たちは脱出を目指してテヘラン空港に殺到。ところが各国が救援機をさし向けるなか、軍事行動のできない日本だけが動けず、救援機を出すことができなかったのです。イラン駐在の日本人には脱出する手段がなく、取り残されました。タイムリミットが迫るなか1機の旅客機が空港に着陸しました。絶望の淵から日本人を救うため、戦火をくぐって迎えに来たのはトルコの旅客機でした。パイロットたちの合言葉は「エルトゥールル号の恩を忘れるな」だったそうです。飛行機は攻撃75分前に離陸、在留邦人216人全員が無事に帰国することができたのです。この人間ドラマに感銘を受けた和歌山県海南市のガス製造販売会社社長でアマチュア音楽家の向山精二さん(72)がコンサートを開催します。向山さんは「道楽です」と笑う。歴史を手繰り寄せ友情を確かめる、すばらしい道楽ではないでしょうか。それではみなさん、よい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)

この冬NYで人気のキングコング

新ブロードウエー界隈 23 文・トシ・カプチーノ

いきなり手前味噌で恐縮ですが、100回目を迎えるキャバレーショーは「夜のちょっとスタジオ〜ザ昭和歌謡〜」と題して懐かしの昭和歌謡をテーマに据えてみた。

­­­丘越え町越え 電車に歓声

グランドセントラル駅

 グランドセントラル駅の1階、西端にあるニューヨーク交通博物館(NY Transit Museum, Grand Central Gallery Annex & Store)では、鉄道模型のホリデー・トレイン・ショーを開催中。

世界の路上でヘアカット

MEN’S COLUMN
ヘアデザイナー 森 勇介さん

 マンハッタンの34丁目、メイシーズ百貨店前の広場で通行人の髪を手際よく路上でカットする男、森勇介さん。

ブラックフライデー最高

歳末商戦スタート
好景気が消費直結

 年末商戦のスタートとなる感謝祭およびブラックフライデー週末の売り上げが過去最高を記録した。

石原裕次郎の3傑作

ジャパンソサエティーで15、16日上映

© Courtesy of the Inoue & Tsukioka Movie Foundation

映画監督・井上梅次(1923〜2010)が日活スタジオで手掛け、昭和の大スター石原裕次郎が主演した傑作3作品の新4Kデジタル復元版上映会が、12月15日(土)と16日(日)の2日間、

中北紘子NY展が盛況

ギャラリーマックスレセプションに150人

作為と無作為の交錯美に羨望

来場者に人気だったオリジナル着物

 画家、中北紘子の初のニューヨーク個展「ブルーミング/副題・外からみた内なる世界」展が11月27日開幕した。