美しい美術館カフェでのティータイム

ティータイムアドバイザー 林原真澄のNYでTEAを楽しむ

皆様こんにちは、ティータイムアドバイザーの林原真澄です。本日は気温がマイナス14度、体感気温がマイナス23度と寒さを超えて痛さを感じるニューヨークです。こんな日は忙しい手を休めて一杯の紅茶を淹れてみませんか。より香り高い紅茶がお好みならルースリーフ(茶葉)がお勧めですが、ルースリーフで淹れるのが面倒な場合はティーバッグをカップに入れて沸騰したてのお湯を注ぎ、蓋をしてしばらく待つと美味しい紅茶の出来上がりです。なにかでカップに蓋をするだけでぐっと風味が増しますので是非そのひと手間を加えてみてください。寒くてカチカチになりがちな肩の力も少し抜けていくのではないでしょうか。
 さて、今月はミッドタウン、マディソン街沿いのモルガンライブラリー&ミュージアムでのティータイムをご紹介させていただきます。この美術館はJPモルガンジュニアが父親の個人コレクションを集めた図書館を1924年から一般に公開したもので、豪華な図書室は大変美しく、またベートヴェンやモーツァルトの自筆の楽譜や著名人直筆の日記などもみどころです。この美術館のロビーに有り、吹き抜けの天井が心地よい空間を作り出すモルガンカフェが今月のご紹介スポット。カフェだけを使用の場合は美術館入場料はいりません。
背の高いグリーンが爽やかで開放的なスペースは、適度な静かさで会話がしやすく居心地の良い場所です。メニューにある、ザ・モルガンティーと名付けられたアフタヌーンティー、この日はたまたま展覧会に合わせたフランケンシュタインがテーマになっており、2ティアーズ(2段のケーキスタンド)もケーキも通常とは異なるデザインがユニークでした(37ドル)。お茶はハーニーアンドサンズのティーバッグがポットで提供されます。アフタヌーンティーは午後3時までに注文しなくてはいけないようですのでお気をつけてください。大人数でなければ予約はできませんが、数人で直接行ってもこれまで座れなかったことはありません。歴史や芸術に浸った後、あるいは仕事や買い物途中でのリフレッシュにもおすすめな場所の一つです。

The Morgan Café
225 Madison Ave.(bet. 36th & 37th sts.)
Tel: 212-683-2130
カフェオープン時間
火・水・木曜 11:00〜16:00、
金曜 11:00〜20:00、
土・日曜 11:00〜16:00
www.themorgan.org
 ■はやしはら・ますみ=10年間ロンドン在住、5年間英国の紅茶会社でアンバサダーを務める。
英国ならではの伝統あるティー文化を軸に、独自のセンスを加えたティータイムのおもてなしを提案。
現在マンハッタンで紅茶クラスを開講している。
www.masumienglishtea.com/ Instagram: masumi english tea

銀板写真展が開幕

メトロポリタン美術館
仏写真家の記録

Recto

写真の歴史は1839年、フランス人のルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが発明した銀板写真に始まる。ダゲレオタイプと称されるこの写真機で1842年から45年にかけて、地中海東部の遺跡や風景を写真に収めた男がいた。
メトロポリタン美術館(五番街1000番地)で1月29日に始まった「モニュメンタル・ジャーニー」展は、フランス人写真家ジロウ・ドゥ=プランジェイ(1804〜1892)が撮影したギリシャ、エジプト、シリア、レバノン、トルコ、エルサレムなどの貴重な銀板写真が約100点展示されている。今では戦下で滅びてしまった遺跡も数多く、考古学的、建築学的にも価値ある記録写真と言えるが、本展のねらいは、これまで米国では知られていなかったドゥ=プランジェイという写真家を世に知らしめる写真展として、同館では41点を所蔵した後に2015年から本展の準備を始め、パリ国立図書館の所蔵品などを借用して4年がかりで同展開催にこぎつけた。展示方法も画期的で、銀板写真を美しく見せるために設計チームが特別なライティングの展示ケースを考案したという。
同美術館の入場料は、大人25ドル、シニア17ドル、学生12ドル。ニューヨーク州居住者およびニュージャージー州とコネティカット州の学生は任意料金。詳細は電話212・535・7710、またはウェブサイトwww.metmuseum.orgを参照。(小味かおる、下の写真も)

ヒデ・イナバ・ライブ 24日と27日ハーレムで

 ニューヨークを中心にロンドンや東京で音楽活動をするシンガーソングライターのヒデ・イナバは、24日(日)と27日(水)にハーレムの2か所でコンサートを開催する。
 出演はイナバ(ボーカル、ギター)のほか、シオウ・フナヤマ(キーボード)、クーリイ・アイティーナベース)、ヒロ・ヒロセ(ドラム)、カルメン・アロージョ(パーカッション)、マイルス・マクゴワン(トロンボーン)。
 24日(日)は午後10時からシルバーナ(Silvana=西116丁目300番地、https://silvana-nyc.com/)、27日(水)は午後10時からシュライン(Shrine=アダム・クレイトン・パウエルJr通り2271番地、133丁目と134丁目の間、www.shrinenyc.com/)で開催。
 詳細はイナバのフェイスブックページwww.facebook.com/hideinabanyc/を参照。

演劇人に愛されて一世紀 「ドラマ書店」が閉店 有志が再開を約束

 100年以上にわたり演劇人に愛されたミッドタウンのドラマブックストアが1月20日、閉店した。家賃が2万ドルと1・5倍も跳ね上がったことが閉店の理由。
 同店は1917年にドラマリーグによって創業、23年に独立書店となった。2001年からは西40丁目250番地の5000フィートある店舗で営業していた。
 ニューヨークだけでなく世界中の演劇人にとって、書籍を買うだけの場所ではなく調査をしたり演劇談義をしたりする「ホーム」として愛され続けた同店。地下には劇場もあり、毎週金曜には演劇イベントが開催されていた。
 閉店前の店内に置かれた用紙には、「大学に入ることができた」、「仕事を得る事ができた」「この店で俳優になり、演出家になった」など同店への感謝の言葉が多く綴られた。
 しかし年初に、ブロードウエーミュージカル「ハミルトン」「イン・ザ・ハイツ」の脚本・演出・出演で著名なリン=マニュエル・ミランダを中心とした有志が同店を買い取った。今年中に別の場所で開店する予定だという。
 同店のウェブサイトでは、「数か月倉庫に入るが、夏には再開するので、ウェブサイトやフェイスブックでチェックしてください」と挨拶している。
 詳細は同店ウェブサイトwww.dramabookshop.comを参照。
 

帝王学でビジネスコンサル

陰陽五行論スクール for Leaders
運営責任者 ミコト・インク代表

紫藤 由美子さん

 東洋哲理に基づいた帝王学、その背景である陰陽五行論を活用し、問題・課題解決方法を提供しているスクールをこのほど米国で立ち上げた。

編集後記 2月2日号

みなさん、こんにちは。ニューヨークはめちゃくちゃな寒さです。アスファルトの道路が雪も降っていないのに真っ白に氷結しているのを昨晩、久しぶりに見ました。ミネアポリスではマイナス華氏28度(氷点下摂氏 マイナス32度)、体感温度は同53度(同マイナス43度)と体験したことのない寒波だったようです。ニューヨークも今朝は摂氏で氷点下14度でした。来週は少しは平年なみに戻ってくるようです。さて、話は変わって、今週号では、日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)が、29日午後、イーストビレッジで日本料理の調理技能認定制度に関する講習会を開催した記事を掲載しています。JROは海外における日本産農林水産物・食品の積極的な活用を図るため、その担い手となる日本料理の知識と調理技術を習得した外国人日本料理人の調理技能認定制度の普及と啓発に努めているそうです。13年前に同じくJROがこの活動を始めた時には、料理人ではなく、店に対して、認定のシールを貼るというようなことをしようとして、レストラン関係者から「格付けみたいなものはいらない」と大反発を受けた経緯がありました。背広を来た日本人の2人ずれが店に入ってくると「すしポリスがきた!」と従業員が緊張したそうです。今回は、その過去の反省からか、店にではなく、料理人認定資格を与えるという制度に変えました。たしかに、肉を切ったまな板でそのまま魚や野菜を切ってしまうような店があったり、鮮魚の寄生虫の処理など日本食料理人として知っておかなくてはならないことを外国人に教えていくことは大切ですが、今回の料理人の認定にもまた格付けが「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」とあって、やれやれまた13年前のようなことにならないといいなと説明を聞きながら思ってました。日本国内に目をむけても労働人口が減ってきて、外国人がコンビニだけでなく日本食調理師として活躍する時代も迫っているなかで、海外における今回のJROの取り組みがモデルケースとして日本の板前さんの国際化のツールとして持ち帰ることができるのか、試金石となりそうです。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)

オールナチュラルでバレンタインケーキ

 昨年11月、ハーツデールのフロンティアマーケット内にオープンしたケーキショップ、クレアではバレンタインにちなんだ新製品を販売する。クレアは吉田豪人(あきと)さんとマリ子さん夫婦が起業した店で、ケーキ作りから販売まですべて夫婦二人で切り盛りしている。
 人工着色料や甘味料、保存料を一切使わないオールナチュラルにこだわったケーキは、毎日地下のキッチンで午前と午後の2回焼き上げているため新鮮そのもの。バレンタインスペシャルはチョコレートと赤をテーマに4種類、ストロベリーシューキューブとチョコレートシューキューブ(5ドル50セント)とストロベリーチョコレートショートケーキとイチゴとクランベリーのレアチーズケーキ(7ドル/スライス)を予定、2月末まで販売。

クレア・コンフェクション・
ワークス
18 N Central Ave. Hartsdale
電話:914-771-0935(日本語テキスト可)
11:00〜19:00 火曜定休
フェイスブック:Crea Confection NY
インスタグラム:creacakeny

【今週の紙面の主なニュース】 (2019年2月2日号)

今週のデジタル版はこちらから

https://www.nyseikatsu.com/editions/711/711.pdf

(1) LOVELY VALENTINE’S DAY19 NY生まれは甘い恋の味(1面)
(2) エドガー賞 評論・評伝部門候補に 北大の竹内康浩教授・作 『マークX』誰がハック・フィンの父親を殺したか(1面)
(3) MEN’S COLUMN 出口最一さん審査員に CBS国際版スター誕生新番組 「THE WORLD’S BEST」
2月3日スーパーボウル放送後(3面)
(4) 視座点描 世界への窓(4面)
(5) ハピネス Ka-Na (4面)
(6) 川島さんに勲章伝達 日本語教育に貢献(4面)
(7) NY発行の身分証明書 期限切れは更新(4面)
(8) 実験前衛映画の父メカスさん死去 商業主義に反旗貫く 世界映画界の巨匠逝く(5面)
(9)  NY日本食組合を JRO調理技能検定講習会で 衛生局の規制緩和交渉に一致団結して取り組む(6面)
(10) 訪日観光増に拍車 地方を売り込む NYでトラベルショー(7面)
(11) EAT OUT 食 いつも満員のトルコ料理 アッパーイーストサイドの隠れた名店 Uskudar(12面)
(12) NY生活ウーマン 人生刻む皺やフォルム写す 写真家 高島 未季さん(17面)
(13) 時代挑発の軌跡 メイプルソープ回顧展 グッゲンハイム美術館開幕(26面)
(14) シネマ映写室MOVIE Serenity 現実が消えるとき(26面)
(15) BAM子供映画祭3日から開幕(27面)

現実が消えるとき Serenity

 マシュー・マコノヒーとアン・ハザウェイのビッグ・スターが顔を合わせるネオ・ノワール調のスリラー。嫉妬深い富豪の夫の暴力に耐えきれず、別れた元夫に殺人を依頼する妻。かなりありそうな話で新鮮味には欠けるが脚本・監督が「Locke」(オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分、2013年)のスティーブン・ナイトとなると普通で退屈なわけはない。
 物語の進行中、流れに逆らうように違和感のある挿入シーンに出くわすときがある。その「はてな」が伏線となり、物語に全く別の背景が浮かび上がってくる、そんな構図の作品だ。演技派で知られるダイアン・レーン、ジャイモン・フンスーらが共演。
 ベイカー(マコノヒー)は良好な釣り場が近くに広がるカリブのある島で金持ち相手にフィッシング・ツアーをビジネスにしている。もちろん自分の趣味も兼ねた一石二鳥の仕事で、数回にわたって遭遇している数百キロ級のマグロ「ジャスティス」を捕まえるのが夢だ。そのため客そっちのけでジャスティスを追いかけ、客を怒らせることもしばしば。
 そんなところに数年ぶりに元妻カレン(ハザウェイ)が現れる。再婚相手のフランク(ジェイソン・クラーク)から日常的に暴力を振るわれ、これ以上我慢できないとベイカーに泣きついたのだ。釣り好きのフランクを旅に連れ出しベイカーの船に乗せ、カレンが酒をたっぷり飲ませたところでサメがうようよする海に突き落とす、というのがカレンの筋書きだ。報酬は1000万ドル。
 ベイカーは気乗りしないがフランクの暴力がそのうち、ベイカーの息子のパトリックにも及んでくると聞き思案する。しかしカレンの筋書きも計画通りには運ばず紆余屈折するなかで、物語は現実から逃避した世界に入り込んでいく。
マコノヒーはロマンティックコメディーで人気を上げ、シリアス系にジャンルをシフトし、「ダラス・バイヤーズ・クラブ」(13年)でアカデミー主演男優賞を受賞。しかしその後はハズレも多く、本作は挽回のチャンスだったが一歩及ばず。「普通で退屈なわけはない」のナイト監督への期待も不完全燃焼気味の感あり。1時間46分。R。(明)

■上映館■
AMC Empire 25
234 West 42nd St.
AMC Loews 34th Street 14
312 W. 34th St.
AMC Lincoln Square 13
1998 Broadway