米国で培ったバレエを子供たちに

バレリーナ
ハリヤマバレエNY講師
長谷川由衣さん

 長谷川由衣さんは、8歳から出身地の名古屋にあるゆかりバレエで神原ゆかりさんに師事しクラッシックバレエを始めた。そこで「眠れる森の美女」「コッペリア」などで主役を務め、愛知県芸術劇場大ホールで2000人以上の観客の前で踊った。その日のことを昨日のことのように思い出せる。大学卒業後、プロとしてオーディションを受け様々な舞台に出演してきた。有名振り付け家、佐多達枝作品「カルミナブラーナ」、深川秀夫作品、「シューマンに魅せられて」 ではプリンシパルとして踊った。大役に不安を感じていた本番前、パートナーの男性が「床を感じて踊れば大丈夫」と言った言葉が心に響き、今でも本番前はこの言葉を思い出すという。
 日本で舞台に立つなかで、フロリダ・アート・バレエ・シアターのディレクター、ウラジミールイサエフの作品に参加するチャンスがあった。それがきっかけで海外のバレエに興味を持ち米国へ行くことを決めた。最初は語学学生として9か月間「英語を学びながらアメリカでバレエを学ぶ」という気持ちで来米したが、ハリヤマバレエ・ニューヨークの主宰者、針山真実さんに声をかけられ、彼女のスタジオでインターンシップを行うことに。語学学校終了後、ニューヨークのバレエ学校、バレエ・アーツに編入し卒業。アーティストビザを取得し、ハリヤマ・バレエ・ニューヨークの講師となった。演出や振り付けなど、任される仕事も大きく、とてもやり甲斐を感じていると言う。
「子供たちを教えることは、とても忍耐が必要ですが、できた時の喜びを忘れないでほしいので、できるまでは褒めません。ただ、少しでも変わった、やろうとした時は褒めてみんなで共有するようにしています。本格的にバレエを始めると、楽しいだけではなく、厳しいバレエの世界で傷つくこともあるかもしれません。そんな時、踊ることが好きな気持ちを思い出し、また頑張れる子に育ってほしいと思っています」と指導者の顔を見せた。現在は6月のスプリング・パフォーマンスに向け準備中だ。一人のダンサーとしては、ベンジャミン・ブリオネス・バレエのカンパニーメンバーとして定期的に公演を行なっている。 (三浦良一記者、写真も)
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▽近日公演のご案内
 ベンジャミン・ブリオネス・バレエ(Benjamin Briones Ballet) 公演=3月8日(金)、9日(土)午後8時から。10日(日)午後7時半から場所 :ステップス・オン・ブロードウエー劇場(ブロードウエー2121番地/74丁目)電話212・8745・2040。入場料:一般25ドル

パリの休日 映画のロケ地めぐり

ジャズピアニスト浅井岳史のパリ18旅日記(1)

 パリの朝、すこぶる天気が良い。ここまでカラッと晴れて暑いと体がうれしくなってくる。普段の朝食はスーパーのパンとホテルロビーの自販機のコーヒーですませることが多いのだが、初日くらいは贅沢しても良いかとホテルの朝食を食べに行った。7ユーロで、クロワッサン2つ、バゲット、カフェオレにオレンジジュース、これはお値打ちだ。ゆっくり味わっていたら、おばさんにもう終わりだからと締め出された。
 ホテルを予約した時、本来なら今日はパリ郊外でトリオのコンサートが予定されていたのだが、主催者の政治的な事情でキャンセルになってしまった。なら、観光だと言いたいところだが、ツアーで来ているので、いろいろな人とのビジネス・コミュニケーションは通常通り。この日も午前中は、日本やニューヨークやらロンドンやらホテルのインターネットでオフィスワークに追われた。とそこに、先ほどカフェテリアで私を追い出したおばさんが、今度はルームクリーナーとしてやって来て、またしても私を追い出す。このおばさんは私のパリの天敵のようだ。仕方ないので炎天下の外へ出る。
 当てもなく外に出た私であるが、瞬時に素晴らしいプランを思いついた。以前から気になっていたパリの映画のロケーション現場に行こう。2つほど温めていたところがあるのだ。
 映画のロケ地巡りその(1)、アン・ハサウェイとジム・スタージェス主演の映画「One Day」である。私はどういうわけかこの映画が大好きで、リリース時に一度観たのだが、随分後になって、ふともう一度見たくなって観てみた。スコットランドのエジンバラ、ロンドン、パリ、私に馴染みの深い場所が次々に出てくるのも魅力だ。が、恵まれた家庭で育ち、頭脳明晰、容姿端麗、素晴らしいキャリアを持って女性にもモテモテだった若者が、次第に傲慢になって気がついたらキャリアも女性関係も急降下を辿るという主人公の男性に心から感情移入してしまう(笑)。キャリアも女性も失って中年となった男性は、以前から彼を愛してくれていた地味だが作家の夢を追いかけてパリに来ている女性、アン・ハサウェイ演じるエマにすがるような気持ちで会いにくる。もちろん、パリで綺麗になった彼女には、フランス人の彼氏がもうできている。「彼は何をしてるんだい?」「ジャズピアニストよ。今から、演奏を聞きに行くわよ」「ジャ、ジャズピアニスト?」失望と嫉妬に打ちのめされた彼が、髪の長いジャズピアニストを遠目で見た瞬間に逃げ出して、絶望の中で緑の運河沿いをフラフラ歩く。が、そこにサプライズがある。エマが彼を追っかけてくるのだ。そして驚いた彼に、「今度こそ私を愛してくれなきゃ殺すわよ」という。彼は「絶対に誓う」と言う。二人はロンドンに戻り結婚する。美しいシーンだ。そのシーンが撮影されたのがこの緑の綺麗な運河である。余談だが、そのジャズピアニストは演奏の途中で彼女に振られてしまったのか。それはかわいそうだ、今度は彼に感情移入(笑)。
 ともあれ、北駅のホテルから歩くこと20分で緑が美しい運河に着く。太鼓橋が綺麗だ。映画でも、この橋を駆け上がって駆け下りるシーンが彼女の彼への気持ちを言葉なしで良く表現していると思う。素晴らしい! 来てよかった。
 水にかかる橋を渡っていると、何やら声をかけられた。どうやら橋を出ろと言われている。しばらくしたら、橋が回転してそこをボートが通り抜けて行った。その間五分ほど、皆が立ち止まって待っている。のどかで良い。
 さて、運河沿いを歩いていくと右手に大きな女性の白い記念碑が見えた。「リュピュブリック」に違いないと思って近づいたらそうであった。そういえばもうすぐ7月14日の革命記念日である。運河を離れて記念碑まで歩こうとしたらインド料理のテイクアウト・レストランをを見つけた。これは食べるしかない。狭い店でパックに詰めてもらったティッカ・マサーラを広場のベンチで座って食べていると、小さな女の子二人に国旗を振らせて写真を撮っている若いお母さんがいた。あどけない女の子が二人、手を高く三色旗を掲げている。お母さんは大きなスーツケースを持っているので、地元の人ではないと見た。でもここまで愛国心に満ちあふれているとすると、きっとフランスの別の街から革命記念日のお祝いでやって来て、ホテルにチェックインする前に、このリュピュブリックに寄って写真を撮っているのか。何れにしても絵になる。ドラクロワが見たら喜ぶに違いない(笑)。ちなみに、フランスの自由の象徴は、いつも女性で、マリ・アンヌと言われている。アメリカの独立を援助したお礼に、ニューヨークに贈られた自由の女神もマリ・アンヌなのだ。私の住むニューヨークとフランスがこうして繋がる。(続く)
浅井岳史、ピアニスト&作曲家 / www.takeshiasai.com

HISがNYにホテル

マンハッタン35丁目
1階レストランを募集

 HISが昨年9月に設立したホテル子会社HIS・ホテル・ホールディングス(本社ニューヨーク)がマンハッタンで年内開業向け準備を進めている。

中野大輔NY展

イッポドー・ギャラリーで
迫力と躍動の日本画

 日本画家、中野大輔の個展「バースト・オブ・ネイチャー(Burst Of Nature)」が3月7日(木)から4月6日(土)まで、イッポドー・ギャラリー(東86丁目12番地507号)で開催される。

いきなり!ステーキ方針転換

7店舗閉鎖へ
「第1ラウンドは破れたが、第2ラウンドで闘う」
川野米国社長

 米国で「いきなり! ステーキ」を11店舗展開中のクニズ・コーポレーション(川野秀樹社長)は14日、「いきなり!ステーキ」米国初店舗のイーストビレッジ店と西46丁目の5番街と6番街の間にある「5番街店」の2店舗を残し、7店舗を順次6月までに閉店し、ブロードウエー店など2店をさらにカジュアルな店「ペッパーランチ」に衣替えすると発表した。

編集後記 2月16日号

みなさん、こんにちは。本日発行の新聞を所用でお客様にお届けして、のんびり出社したら、いきなり2つ大きなニュースがオフィスに飛び込んでました。いきなりステーキの7店舗閉店とアマゾンのNY進出断念のニュースです。いきなりステーキを米国で11店舗展開中のクニズ・コーポレーション(川野秀樹社長)は本日14日、「いきなり!ステーキ」米国初店舗のイーストビレッジ店と西46丁目の5番街と6番街の間にある「5番街店」の2店舗を残し、7店舗を順次6月までに閉店し、ブロードウエー店など2店をさらに カジュアルな店「ペッパーランチ」に衣替えすると発表しました。同社は、2017年2月23日に1号店をオープンし、その後も出店を重ね、現在ニューヨーク市内で直営店11店舗を展開しており、昨年10月にはNASDAQ(ナスダック)上場を果たして米国での知名度・信用度を向上に努めてきました。川野社長に早速電話取材して聞きました。決定の理由として川野社長は「1年間で10店舗を急展開で開店させたことにまず、お客様の認知がつ いていかなかったこと、従業員教育がうまくできなかったこと、昼間は混んでも、夜はガラガラの店が多く、厳しかった。昨年11月29日にブリーカー店を開 けたあたりで、かなりよくなくて、米国展開の軌道修正を考えた。アメリカではステーキというのは、特別の日に予約を入れて、みなで着席してゆっくりと食べ て味わう文化がある。そこに日本式の安くてカジュアルなステーキでは、アメリカの土壌に馴染むのに時間がかかることが分かった。急展開は、日本ではうまく いったペースだが、アメリカで日本式にやっても無理があった。昨年ロサンゼルスでオープンしたペッパーランチ(カジュアルステーキハウス)は人気で、 ニューヨークの3月開店は期待している。隣はエンパイアステーキだが、オープニングにはそこの社長も呼ぼうと思っている。第1ラウンドは破れたが、第2ラウンドでまた闘いたい」と起死回生の意気込みを見せていました。そしてあと、アマゾンがニューヨーク本社計画を断念したニュースです。「地元の反対を受け」とのことで、昨晩印刷した本紙1面トップは「アマゾンNY進出再検討」でした。いやはやあと1日決定が早ければよかったのですが、まあ、事態の背景は本紙でも詳報していますのでぜひご覧ください。それにしてもアマゾン進出をあてこんで高い不動産を購入した企業などもあったかと思いますが。市の経済発展には寄与したと思いますが、地元から歓迎されないのではやりずらいですね。誘致に莫大な額の優遇税制なども批判されていました。ニュースは駆け足でやってきます。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】 (2019年2月16日号)

今週のデジタル版はこちらから

https://www.nyseikatsu.com/editions/713/713.pdf

(1) 春を呼ぶ 地下の花 6番線28丁目駅(1面)
(2) 倉岡夫妻偲ぶ会東京で 帝国ホテルに160人参列(4面)
(3) 犬の博物館 NYに戻る American Kennel Club Museum of the Dog(4面)
(4) 訪日で対日理解促進 コロンビア大の45人が3月出発 企画の邦人学生支援求める(5面)
(5) 有田焼の魅力PR 佐賀県が支援事業参加の業者も手応え実感(7面)
(6) 新ブロードウエー界隈33 文・トシ・カプチーノ シェール嬢の挑戦 (10面)
(7) アポロ劇場85周年 若い才能を発掘する殿堂 若い才能を発掘する殿堂(11面)
(8) ヴィーガン料理の魅力を発見 野菜の可能性を精力的に開拓 Sans (12面)
(9) 蟹瀬令子の「今、きれいでいたい」第4話 ながらストレッチで 体型と体力を維持(12面)
(10) イケメン男子 服飾Q&A66 ケン 青木 ソックスをネクタイに合わせる(14面)
(11) 市経済開発局が環境面で前向き判断(15面)
(12) BOOKS『これでいいのだ・・・さよならなのだ』チビ太がケケっと笑う本 赤塚不二夫+杉田淳子・著 小学館・刊(面)
(13) NY生活ウーマンなき母に捧げる舞台NYで 演出家/劇作家 神沢希洋(かみさわ・きよう)さん(17面)
(14) シネマ映写室MOVIE  Arctic 極寒と孤独との闘い(26面)

7店舗閉店決定のいきなりステーキ米国川野社長本紙に語る

「第1ラウンドは破れたが、第2ラウンドでまた闘う」

  いきなりステーキを米国で11店舗展開中のKUNI’S CORPORATION(川野秀樹社長)は14日、「いきなり!ステーキ」米国初店舗のEAST VILLAGE店と西46丁目の5番街と6番街の間にある「5番街店」の2店舗を残し、7店舗を順次6月までに閉店し、ブロードウエー店など2店をさらに カジュアルな店「ペッパーランチ」に衣替えすると発表した。
 同社は、2017年2月23日に1号店をオープンし、その後も出店を重ね、現在ニューヨーク市内で直営店11店舗を展開しており、昨年10月にはNASDAQ(ナスダック)上場を果たして米国での知名度・信用度を向上に努めてきた。
 川野社長は、本紙の取材に応じ「1年間で10店舗を急展開で開店させたことにまず、お客様の認知がついていかなかったこと、従業員教育がうまくできなかったこと、昼間は混んでも、夜はガラガラの店が多く、厳しかった。昨年11月29日にブリーカー店を開けたあたりで、かなりよくなくて、米国展開の軌道修正を考えた。アメリカではステーキというのは、特別の日に予約を入れて、みなで着席してゆっくりと食べ て味わう文化がある。そこに日本式の安くてカジュアルなステーキでは、アメリカの土壌に馴染むのに時間がかかることが分かった。急展開は、日本ではうまくいったペースだが、アメリカで日本式にやっても無理があった。昨年ロサンゼルスでオープンしたペッパーランチ(カジュアルステーキハウス)は人気で、ニューヨークの3月開店は期待している。隣はエンパイアステーキだが、オープニングにはそこの社長も呼ぼうと思っている。第1ラウンドは破れたが、第2ラウンドでまた闘いたい」と起死回生の意気込みを見せた。
 今回の決定について同社は「私どもは、日常的にステーキを食べるカジュアルステーキ文化、ジャパニーズステーキハウスをアメリカに根付かせるため、今回ドラスティックな戦略を採用することが決定いたしました」とリリースで発表した。
 今後の具体的方針としては、「いきなり!ステーキ」は、ブランド力をあげることに焦点をあてるため、7店舗閉店し「より多くのお客様から愛されるサービス、そしてご利用いただきやすい環境・雰囲気を作り上げてまいります」という。また、今春、アジア、カナダ、オーストラリアで200店舗以上を展開し、2018年にはLAでも2店舗出店し、大人気のDIYファストフードステーキハウス「ペッパーランチ」が、ニューヨーク(アメリカ)に初上陸する。現在の「いきなり!ステーキ ブロードウェイ店」を業態変更し、3月中旬に開店を予定しており、その後も、数店舗をオープン予定。「目の前でジュージューと音を立てながらステーキが焼き上がる興奮と感動を体験」できるそうた。さらに今夏、ラスベガスにも新店舗をオープンする予定。「全米にステーキ旋風を巻き起こし、ジャパニーズステー キハウスを広めてまいります。KUNI’S CORPORATIONはこれからも、「ステーキ」をより多くの人に、お腹いっぱい食べていただき、おいしい笑顔、楽しい時間をお届けできるように努めて まいります」との会社としてのコメントをニュースリリースで発表している。