槇原太郎が個展

ストレンジ・ポイント・オブ・ビュー
24日までマカリで

 陶芸家、槇原太郎の個展「ストレンジ・ポイント・オブ・ビュー(Strange Point Of View)」が、11日(土)から24日(金)まで、イーストビレッジにある和アンティークギャラリーのマカリ(3番街97番地、12丁目と13丁目の間)で開催される。
 槇原は1977年広島県生まれ。飛騨国際工芸学院、多治見陶磁器意匠研究所卒業。益子陶芸展、国際陶磁器フェスティバル美濃、長三賞現代陶芸展で入選している 。同展では花瓶、小鉢、片口、ぐいのみや皿などの日常で使いやすい小物を中心に展示販売する。
 入場無料。開廊時間は月〜土曜が正午から午後6時30分、日曜は午後6時まで。オープニングレセプションは11日(土)午後5時から7時まで、和菓子と抹茶が提供される。問い合わせは電話212・995・5888、またはEメールinfo@themakari.comまで。詳細はウェブサイトwww.themakari.comを参照。

舞踏会マスクや運河を楽しむ 迷路の街イタリア・ヴェニス

 イタリア・ヴェニス(ベネチア)の島は、ブラブラ歩きの街だ。建物はお互いに統一感を保ちながらも、各自が個性的なデザインである。見知らぬ街を適当に歩いて、良さそうなカフェに入る。歩きながら、本場のジェラートを舐めたりも良い。ところが目的地がある場合には、なかなかたどり着けないのでフラストレーションとなる。なにしろ小径ばかりの入り組んだ迷路の街なのだ。地図を見ても道の名前のイタリア語が皆、同じようで区別がつかない。この道をまっすぐ行けば良いと思っていたら突然、運河にぶつかって行き止まりだったりする。
 滞在3日目、アパートの周辺の地理には慣れたから、大運河を挟んだ向こう岸の魚市場に足を向けた。午前11時に着いたのだが、魚屋さんはとっくに閉まっていた。そうか、周辺のレストランはランチに間に合うように魚を買いに来るのだから、朝方に来ないとダメなのだな。切り落とされた魚の頭を飲み込むのに苦労しているカモメを撮って引き返す…はずだったのに、これがなかなかアパートに戻れない。目の前には私の進む方向に伸びる小径が5メートル間隔で5本並んでいる。1つずつ試して、この5本全部が小さな運河にぶつかって行き止まりな事を発見。この運河はどう渡るのか? 街の人に訊いても「あっち」と大雑把に指差してくれるばかりで、まあ、こんなに小さな道ばかり無数にあったら説明しようが無いし、説明されても分かりませんしね。というわけで動物本来の持つ本能で歩き続けるのだが、都会暮らしの私の方向感覚は、まるで衰えていて、ますます見知らぬ地域に迷いこむ…。しかも銅像の建つ広場やお店はどれも同じような趣きなので、「あっ、ここはさっき通った」と思わせるのだが、全然違うのだった。磁石があると少なくとも方向が分かるから地図も見やすくなると思うけれど、ニューヨークを出発する際には磁石の必要性まで頭がまわらなかった。地図の小さなイタリア語を読むには虫眼鏡も便利かも知れない。
 ヴェニスは舞踏会のマスクが有名だ。キャットウーマン風の猫の面やカラスのようなマスク、これは疫病が流行った時に防御のために医者が付けたのが始まりと言う。茶色い天狗や能面に見えるマスクもある。自分で作る体験教室もある。下手にできてもプロが綺麗に手直ししてくれる。ユーロへの両替はJFK空港で1ユーロが1ドル35セント、ヴェニスの空港で1ドル25セント、街では1ドル20セント。街だと小銭までくれるので便利だ。
 最終日は水上バスで駅まで行く。小さな乗り場ではチケットを売っていないので、乗船してから7・50ユーロの切符を買う。タダでも乗れそうだが、チケットの無い人や持っていても日付け印の無い人への罰金は60ユーロとのこと。鉄道の駅で大発見! コーヒーやサンドイッチは駅構内のカフェが極上。しかも安い。と喜んで何杯も飲んでいたら、トイレを使うのには毎回1ユーロが必要だった。新幹線のように速くてモダンな列車でローマに向かう。進行方向に向いている席で良かったと思っていたら、途中の駅フェレンツェで電車の進行方向が逆になった。知らない国は戸惑うことが多くて愉快だった。(クニ三上/ピアニスト)

ウエストチェスターでサイクリングを楽しむ

 NYの春は実に短い。ボヤボヤしているとあっと言う間に暑い夏がやって来る。その短い春の間に是非楽しみたいのがサイクリング。ウエストチェスターには南北に走る長めのサイクリングパスと、公園内をぐるりと回る周遊型があり、熟練度や所要時間に合わせたコースが選べる。
 
出発前の注意事項
①NY州の法律で14歳以下の子供が自転車に乗る際はヘルメットの着用が義務付けられている。自分で運転せず、大人の自転車の後部座席に乗る場合も同様。
②サイクリングパスの多くは自転車専用道路ではなく、ジョギングやウォーキングをする人も使用するため、注意すること。
 
■ノース&サウス・カウンティ・トレイルウェー 
 1870年代後半にブロンクスからウエストチェスター郡を通り、プットナム郡のブリュースターを結ぶ鉄道(通称オールドプット)が開通し、1980年に廃線となった。その線路跡がトレイルウェーとして生まれ変わったもの。全長約36マイル(58キロ)。
 ブリュースターからマウント・プレザントまでをノース、以南をサウスと呼ぶ。全道舗装されていて走りやすいが、地域によっては交差点が多い。ノースは緑が多く貯水池脇を走るなど景観が良いがアップダウンも多い。 
www.visitwestchesterny.com/things-to-do/outdoors/trailways/north-south-county-trailway/
■ブロンクス・リバー・パスウェー
 ウエストチェスターで最も古い公園であるブロンクスリバー・パークウェイ保留地内の小道で①マウント・バーノンとフリートウッド中間(1マイル)②ブロンクスビルからスカースデール(4・6マイル)③ハーツデールからケンシコ・ダムプラザ(5マイル)の3つのパスウェーがある。2つの小さな湖の脇を通る②はアップダウンが少ないので小さな子供にぴったり。③は終点にダムの壁が聳えていて達成感が大きい。5月下旬から8月の特定日曜日にはパークウェイが車両通行止めになり、自転車天国になる。 
https://parks.westchestergov.com/bronx-river-reservation
■タリータウン・レイク・エクステンション 
 タリータウンの町外れに並ぶ2つの人造湖を半周する約1マイルの遊歩道で、東端が前述のノース&サウス・カウンティー・トレイルウェーと繋がっている。この人造湖は1876年にダウンタウンで大火災が起きた際に消火用の水が足らず被害が拡大したことを受け、後に村が建造した湖で、現在はハイキング、サイクリングのほかカヤックや釣り(州と村の許可証が必要)が楽しめる公園となっている。 
■オールドクロトン・アクアダクト 
 1842年から1955年まで、北部のクロトン湖からマンハッタンまで飲料水供給のために使われた水路がオールドクロトン・アクアダクト。水路そのものは地中に建造されており、その上の道が現在トレイルとなっている。基本的に歩行者用に整備されているため、自転車には向かない区間もあるためマウンテンバイクがおすすめ。ヨンカースでは広大なハドソン川の眺めが楽しめる。大雨の後は道が水没したり、ひどくぬかるむ場所があるので注意のこと。 
www.traillink.com/trail/old-croton-aqueduct-trail/
■ブルーマウンテン保留地
 ピークスキルの南側、ルート9の西側に位置する郡立公園内にある全長7マイル(11キロ)のバイクトレイルはビギナー向け黄色、中級向けオレンジ、上級者向け赤、と色分けされているなど、ハドソンバレー屈指のシステムを持つ。いずれも深い森の中を走って気持ちが良い。ただしビギナー向けコースにも所々厳しい上り坂があるので覚悟して行くように。 
https://parks.westchestergov.com/blue-mountain-reservation

■レンタルバイクショップ情報
Bicycle World (7 E. Main St. Mt. Kisco) www.bicycleworldny.com
Endless Trail Bikeworx (56 Main St. Dobbs Ferry) www.endlesstrailbw.com
Yorktown Cycles (1899 Commerce St. Yorktown Heights) www.yorktowncycles.com
Sleek eBikes (37 Main St. Tarrytown) www.sleekrides.com
Dannyユs Cycles (644 Central Park Ave. Scarsdale) www.dannyscycles.com

日本に帰ります。心の準備。

チャールズ・カヌーセン・著
南雲堂・刊

 家族の都合により長期滞在した外国での暮らしを終え、日本へ帰国した後の帰国子女を対象に、英語力向上とソフトランディングをサポートする「帰国子女アカデミー」の校長が、帰国生を持つすべての家庭に贈る指南書『帰国子女 帰国の前に親子で読む本』。
 海外生まれだったり、それまで当たり前のように通っていた慣れ親しんだ日本の学校を途中で抜けて家族とともに海外へわたる子供たち。まずは訪れた国の言葉や環境に戸惑い、友達づくりや学校生活に適応していくのも子供にとっては大きなストレスとなるはずだが、大人が思う以上の努力をして国際感覚や英語力を身につけていく。彼らは外国でやりたいことや行き先を自分で決めた「留学生」ではないため、すぐには受け入れられない環境の劇的な変化で鬱(うつ)になったり不登校になってしまう場合もあると聞く。そしてやっと慣れた海外生活の、やっとできた友人たちに別れを告げてまた家族の都合で日本の学校へ戻る時、立派な「帰国子女」となって日本で逆カルチャーチョックを味わうのだ。
 そんな状況になったことなどなく、私のように子供時代をずーっと地元の小中学校で過ごし、大人になるまで近所の友達と遊んでいたような者からしたら、帰国子女というとなんだかちょっとかっこよくて憧れてしまう存在なのだが、当人たちは普通の子供の2倍も3倍も努力している。
 著者のカヌーセン氏は、帰国生・バイリンガル生用英語塾「帰国子女アカデミー」の創立者・CEOで、日英両語でプログラミングを学ぶコーディングスクール「Kテック・アカデミー」と「KAISインターナショナルスクール」の創立者でもある。帰国子女アカデミー創立前は、渋谷教育学園渋谷、中央大学高等学校等で英語指導を行いつつ、本紙「週刊NY生活」ほかで海外赴任者向けに教育関連記事を定期的に執筆してきた。
 本書の前半は帰国生が置かれる状況や帰国枠受験について、その帰国子女向けの英語クラスがある学校の選び方のほか、外国で身に付けた英語力を維持するだけでなく、向上させるうえで役立つさまざまな学習方法について考察している。後半では人付き合いや気持ちの面など、帰国してからぶつかる困難や課題を取り上げ、教師やカウンセラーの意見のほかに著者自身の見解も述べている。帰国後の日米教育のギャップ、いじめ、親に出来ることなどのほか、心のケアの必要性も暖かい目線で丁寧に説明されている。また、付録として「帰国子女のための国内外の大学オプション」、「帰国子女枠入試における英語試験の見本」などの情報も収録している。
 この春、さまざまな理由から家族とともに海外で暮らし始めた人も多いだろう。これから自分の子供が帰国子女になる予定がある人には、いざ帰国する時の準備として役に立つだろうし、帰国してからの子供にふりかかる心の問題などに対してどう寄り添い、そして理解するための多くのアドバイスが得られる必読書となる。 (高田由起子)

編集後記4月27日号

みなさんこんにちは。今回の週刊NY生活722号がいわゆる「平成最後の発行号」となり、次号は「令和」です。昭和64年から平成元年になった1989年。流行語新語部門金賞に「セクシャルハラスメント」。流行語部門金賞に「オバタリアン」。ベストセラーは村上春樹の『ノルウエイの森』、盛田昭夫・石原慎太郎『「NO」と言える日本』、ヒットソングは井上陽水の「リバーサイドホテル」、美空ひばり「川の流れのように」、映画はビートたけしの「その男、凶暴につき」、テレビ番組では「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!(日本テレビ)」が始まった年でした。昭和天皇崩御を別にして亡くなられた人は手塚治虫さん、美空ひばりさん、松田優作さんらがいました。バブル景気が終わった年でもありました。そこから一気に30年。あの年に生まれた人は30歳に、あの時30歳だった人は60歳になってます。年をとるはずです。平成の時代に日本では阪神淡路大震災、東日本大震災があり、米国では同時多発テロがありました。私は、平成になった時は読売アメリカ、平成時代のほぼ真ん中から後半は週刊NY生活、そして令和になるいまもニューヨークで日本語新聞を出しているわけです。

世の中にニュースや話題が溢れかえっているなかで、こういう小さい媒体のフリーペーパーで情報を発信し続けることの意味はいったい何なのかをふと考えます。平成の間にインターネットが出現してメディアのあり方が大激変しました。週刊NY生活にとっては今年、共同通信社とヤフージャパンの関連子会社のノアドット社を通じて日本国内の地方紙40のブロック紙と400媒体にニュースを配信できるようになったこと、そして先週からそこを通じて日本最大のスマホ(携帯)ニュースのスマートニュースが「週刊NY生活」を採用したことで、アクセス数が数万単位で一気に増えることになったという朗報があります。令和の時代は、人工知能(AI)の時代になりそうですが、見て、聞いて、そこに足を運んで、記者が目の当たりにしたことを自分の言葉で伝える「取材の原点」に立ち返ることこそが、これからの令和の時代で大切なことだと思います。日本の新聞にも、アメリカの新聞にも載っていない面白い話題や、必要なニュースをどれだけ伝えられるか。時代の節目に初心に戻って、これからも鉛筆でレイアウトしていきます。毎週の新聞は、私にとって1面のレイアウトも含めてまるごと全部が時代と今を詰め込んだアート作品でもあります。人生はアートになり得るかー。それを見極めるところに情報を発信し続ける意味を見いだします。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】 (2019年4月27日号)

今週のデジタル版はこちらから

https://www.nyseikatsu.com/editions/722/722.pdf

(1) 皇太子殿下御即位祝賀 NY日本総領事館で記帳受け付け(1面)
(2) ジャパンデー 甲斐バンドが来米 5月12日(1面)
(3) 華やか復活祭 春到来告げる(1面)
(4) 江川央の DIGITAL 最前線 アマゾンとグーグルが音楽の無料ストリーミングを開始(4面)
(5) トコジラミを発見 五番街のアップルストア 従業員、衣服ビニールに包む(5面)
(6) 日本人若手研究者を支援 第5回ライフサイエンス・セミナー医療従事者ら発表 (7面)
(7) 移動式図書館 復活しスタート(10面)
(8) 食EAT OUT STAGE新しいディーン&デルーカ (12面)
(9)  MEN’S COLUMN 作曲家 清水チャートリーさん 手書きの五線譜で世界魅了(15面)
(10)   NY生活ウーマン 株式会社ファーストブランド代表取締役社長河本 扶美子さん 日本の専門家と海外在住者結ぶ(17面)
(11)   老舗書店が閉店(21面)
(12)   陶ISM展 サラポッタリーで5月2日から 6人の作家 3日レセプション(26面)
(13)   服部愛生が公演 「旅の誘い」5月18日に(26面)
(14)   シネマ映写室MOVIE Teen Spirit 夢をかなえる真心(26面)
(15)   MAX藤島 写真展開催(27面)

皇太子殿下御即位祝賀 NY日本総領事館で記帳受け付け

 ニューヨーク日本総領事館は皇太子殿下御即位に伴う祝賀記帳を5月1日(水)から7日(火)までの平日、午前9時30分から午後4時まで同館広報センター内ギャラリーで記帳台を設置して受け付ける。なお5月1日は休館日となるが、記帳のみ受け付ける。(領事業務は行わない)。
 記帳は氏名を記入することになるが、筆記用具などは記帳所に備え付けてある。
〈注意事項〉当日、セキュリティー・チェックのために手荷物検査とIDの確認が行われるので、写真付き身分証明書(パスポートまたは米国発行の運転免許証)を持参すること。手荷物については最小限にするなど混雑緩和に協力を求めている。

華やか復活祭 春到来 告げる

 春を告げる復活祭、イースターのボンネットパレードが21日午前、マンハッタンの五番街で繰り広げられた。色とりどり、思い思いの帽子を披露する人たちで 目抜き通りは一時歩行者天国に。ボンネットとは帽子のことで、イースターの日に、イースターの飾りをつけた帽子を被ったり、仮装をして街をパレード。陽気 な春を告げるお祭りとして愛されている。米国ではハ ロウィーンやクリスマスと同じくらい大事にされているイベントがこの「イースター」。イースターの日にちは、「春分の日の後の、最初の満月の次の日曜日」となっている(写真・三浦良一)

ジャパンデー、甲斐バンドが来米 5月12日

「ジャパンデー@セントラルパーク2019」が、母の日にあたる5月12日(日)にセントラルパークで開催される。今年のステージプログラムは、日本から甲斐バンド(Kai Yoshihiro Band)が参加する。入場無料。同イベントは、日米市民の交流促進、ニューヨークへの感謝の表意、日系コミュニティーの連帯強化を目的に、ジャパンランやフェスティバルを行う。フェスティバルでは、アクティビティーテントやフードテントが設置され、ステージプログラムでさまざまなパフォーマンスが披露される。また、セントラルパークの維持・管理のための寄付集めチャリティー活動や、アートコンテストの受賞作品発表、表彰式などもある。
 主催はJapan Day Inc.、後援はニューヨーク日本商工会議所(JCCI)、日本クラブ、協力はニューヨーク日本総領事館。国際交流基金が推進するジャパン2019公式プログラムの一つ。 (3面に関連記事)