地下鉄OMNY市内駅一部で試験スタート

メトロポリタン交通局(MTA)は5月31日、一部の地下鉄駅とバスでOMNY(オムニー)と名付けられた運賃の非接触型決済を試験的に開始した。
運用開始となったのは地下鉄4、5、6番線が走るグランドセントラル42丁目駅からブルックリンのアトランティック街バークレーセンター駅の間の16駅とスタッテン島のバス。
使えるのはデジタル財布を設定したスマートフォン、スマートウォッチなどウェアラブル機器と、近距離無線通信(NFC)を備えた非接触型の大手クレジットカード、デビットカード、ICカード、リロード可能なプリペイドカードなど。改札のデバイスにタップして入る。なおJCBカードはまだ使えない。またデジタル財布にリンクされていてもリロードできないプリペードカードは使用できないので注意。ギフトカードも現時点では不可。
まだ試験段階でペイ・パー・ライド(1回乗車券)のみだが、1週間パス、1か月パスなども順次使えるようにする。来年2020年末までにすべての地下鉄とバスに広げ、2021年には近郊通勤鉄道にも導入する予定。詳細はウェブサイトhttps://omny.infoまで。

駐在員に米国文化理解を

適応力強化コース
アイベック・ランゲージ・インスティチュート
実践的個人講座を実施

 日本企業の駐在員の英語力強化で実績を持つアイベック・ランゲージ・インスティチュート(レキシントン街369番地19階、遠藤和雄社長)では、看板である語学力強化に加えて「異文化理解・適応力強化」のプレミアム・プライベートレッスンを実施している。中級レベル以上の語学力がある人への奨励カリキュユラムで、「ビジネスカルチャー」(4時間30分)、「ビジネスコミュニケーション」(6時間)、「ビジネスプレゼンテーション」(6時間)、「ビジネスメールの書き方」(3時間)、米国社会・政治・経済・文化トピック(7時間30分)の5科目があり、1人から1科目でも受講が可能だ。
「人の話を熱心に聞いているつもりで腕組みをしてウンウンと頷いて相手の相談に乗っていることってありませんか? それってアメリカ人が見たら、腕組は『拒絶のポーズ』なんですよ。また、相手が一生懸命に話している時に顎に手を当てて聞いていると「思案中」というメッセージを送っていることになる」と遠藤社長は説明する。日本から来たばかりどころか、何年住んでいても知らなかったというようなビジネスマナーや異文化情報が満載だ。
 例えば、米国での会議での注意点、よく使われるビジネス口語表現とイディオム、そして「口に出して言ったことがすべて」のアメリカで使ってはいけない不適切な表現や避けるべきトピック、仕事をする上での時間に対するマナーなども、大学や会社ではなかなか教えてもらえない実践的なものになっている。
 また米国社会・文化トピックでは、各位地域の特徴、統治の仕方、キリスト教と米国の資本主義の結びつき、メディア分析など、日本では学ぶことのできない内容ばかり。「現地に来て、必要性を実感して真剣に短期間で学ぶことが大切」と遠藤社長は話す。滞在期間の長い人からは、講座を受けたことで日本から着任した社員の質問にも適切に答えられたと喜ばれているという。異文化理解・適応力強化コースは5科目27時間で学費は2300ドル。単科目でも受講可能だ。問い合わせは電話212・867・2000、Eメールは contact@ibec-usa.com

四国アイランドリーグplus 北米遠征を応援しよう

 日本のプロ野球独立リーグである「四国アイランドリーグplus」の選抜チームが、2016年に続き3度目の北米遠征のため来米する。6月中旬からニューヨーク、ニュージャージー、そしてカナダのケベックで米国のベースボール独立リーグ「カンナムリーグ」に所属する現地の6強豪チームと公式戦20試合を行う。 
「カンナムリーグ」は過去にメジャーリーグ(MLB)に10人以上の選手を輩出し、元MLB選手や世界各国の代表チームの主力級選手が多数在籍する北米最強の独立リーグで、MLB傘下のマイナーリーグでいうと2A程度の実力を有している。四国アイランドリーグplusの選抜オールスターチームは、このリーグの公式戦に参戦し、「ベースボール」の本場の米国で、野球選手として更なる成長を目指す。
 アメリカではNJにある2チームと、NY州郊外の1チームと対戦する。それぞれのスケジュールは以下の通り。
 14日(金)午後7時、15日(土)6時、16日(日)午後2時:対サセックスカウンティー・マイナーズ Skylands Park(94 ChampionshipPlace, Augusta, NJ 07822)
 18日(火)、19(水)、20日(木)午後7時:対ロックランド・ボールダーズ Palisades Credit Union Park(1 Provident Bank Park Dr, Pomona, NY 10970)
 21日(金)午後7時、22日(土)6時、23日(日)2時:対ニュージャージー・ジャッカルズ Yogi Berra Stadium(8 Yogi Berra Drive, Little Falls, NJ 07424) ジャッカルズ戦の3試合では、入場者にゼブラのペンと伊藤園のお茶が無料配布される。
 NJ日本人会は22日(土)のニュージャージー・ジャッカルズ戦「スターウォーズ・ナイト」で、四国チームのベンチ後ろのボックス席116席を確保。応援企画を実施する。参加費は20ドル(チケット、ホットドッグ、チップス、ソフトドリンク付き)。同日は一般ファン同様に5時からのジャッカルズ主催スターウォーズ・ナイトイベントも楽しめ、ペンとお茶も入手できるうえ、試合開始前に、ニューヨークで活動するよさこいダンスグループ「Tentekomai」による、高知名物「よさこい踊り」のパフォーマンスやNYメンズクワイアによる「君が代」斉唱とNY総領事の山野内勘二大使による始球式も予定され、盛りだくさんの内容で楽しむことができる。チケットは電話201・424・7850、Eメールinfo@jusanj.org(ニュージャージー日本人会、吉岡さん)まで。

メルボルンの休日

ジャズピアニスト浅井岳史のオーストラリア旅日記(3)

 昨日のダブルヘッダーでメルボルンの演奏は終了。到着して最初の2日間で3つのコンサートという強行軍であったが、何とかこなす事ができて非常にうれしい。
 さて、今日は主催者のピーターが奥さんのゲイルと私たち夫婦をメルボルン観光に連れて行ってくれるそうである。遊びじゃ!
 親切なピーター夫妻は、私たちに市電のチケットをプレゼントしてくれ、まだ一度も出たことのないアップタウンから高層ビルの立ち並ぶお洒落なダウンタウン、メルボルンの中心へと連れて行ってくれた。市電は良い! ゆっくりと走る車窓からメルボルンのハイライトが見えてくる。昨日までひたすら演奏していたクラブ界隈とはまるで違い、モダンで華やかで、しかも歴史的な建物が立ち並ぶ。メルボルンがこれほど美しいとは(笑)。しかも天気が本当に良くて、眩しい初春の陽の光が新緑を見事に照らす。
街の中心の中心に歴史的な駅ビルが立っている。まるでロンドンのようで壮大である。植民地時代にここを正装したブリット達が闊歩した様子が目に浮かぶようだ。感動している私に「少女のヌードが見たいだろう?」といたずらっぽく笑うピーターが連れて行ってくれたのは、隣にある小さいが同じく歴史的なパブで、その一室に等身大(以上)の少女の裸体像が掲げられていた。1909年からあるこの絵は、当時オーストラリアのマスコットと呼ばれたクロエと言う美少女である。彼女が何をしていたかは絵を見ればだいたい想像できるが、人々はこの有名な少女をずっと大切に掲げてきたようだ。絵の周りでは昨夜のオーストラリア版スーパーボウルの優勝チームを祝う人でごった返していた。私が「優勝おめでとう」と話を合わせると、非常に喜んで杯を傾けてきてくれた。少女の絵以外は、いたる所がいつか観た映画、アイザック・ディネーセン原作の「愛と悲しみの果てに(Out of Africa)」を彷彿させる。アメリカとは似て非なる雰囲気だ。
 同じく歴史的な市庁舎前を通り、ランチに繰り出した。この街のレストランは2軒に1軒は中華である。知り合いの店に連れて行ってもらい、焼き豚、ローストチキン、ご飯、炒麺、ラーメン、それは食べきれない程であった。中国で暮らしたうちの両親によると、中国では完食するのは失礼なのだそうだ。もうこれ以上食べれません! と主張するには残さなければいけないそうである。私は全部食べてしまったが(笑)。
 街の中心にある市電の駅がハブになっていて、そこにいればすべての市電に乗れる。隣の大きな広場には荘厳な大聖堂があり、時々鐘を鳴らしてくれる。その鐘の音がビルの壁に響いて、この美しい小春日和に心地よいサウンドトラックをつけてくれているようだ。その駅でピーター夫婦にお別れ。今回メルボルンに招待してくれてコンサートを企画してくれ、そしてメルボルンの親善大使を務めてくれた。これにはお礼の仕方が分からない。きっと長い時間をかけて音楽にしていくことなのかなぁ。「3年後にまた来てくれ」と言われ快諾。お二人ともお元気で再会できることを心から楽しみにしている。
 さて、ここから私たち二人で、昨日出会った女優さんが教えてくれたセント・キルダに向かう。ピーターによれば、メルボルンのイパネマだそうである。市電で30分くらい走ると、海が見えてきた。で、駅を降りると眩い昼下がりの黄色い日差しがアンティークな建物とヤシの木に見事に反射して確かにイパネマに来たような(行ったことはないが)ハッピーな気分にしてくれる。コニーアイランドに似た遊園地があったので、よく見ると何やら提携しているようである。そのまま、ボードウォークを歩いてビーチへ。イギリスの避暑地ブライトンと同じ名前のストリートがある。これは良いなぁ。今年は南フランスまでツアーしたもののビーチには一度も行けずに帰ってきたので、10月にそれを取り戻した気分だ。
 歩き続けると海に桟橋が突き出ている。これは行くしかない。桟橋からはメルボルンの高層ビル群が綺麗に見える。この海と高層ビルの組み合わせ、これはこの街のお家芸と言えそうだ。桟橋の先端には何ともお洒落な建物があり、そこがカフェになっている。混雑しているがラッキーなことに席が取れたので、二人でコーヒーを飲む。火曜日にニューヨークを出てから、超過酷な移動、時差との戦い、初めてのベニューで初めてのミュージシャンとの演奏、パーティーと息をつく暇がなかったが、今こうして海を見ながらゆったりできることが本当に嬉しい。たっぷり夕刻まで過ごしてしまった。
 日が陰るなか、また市電に乗ってダウンタウンに戻る。今度は灯がともり始めた夕暮れの摩天楼が綺麗な川面に映えるのを見ながら散歩。フードコートに入って、私が勝手に「三食水」と呼んでいる中国のアイスティーを飲む。冷たくて美味い。
 ランチがビッグでまだお腹が空いていないので、夕食用に寿司とコロッケを買って、すっかりお馴染みとなった市電でホテルに戻る。とても充実したメルボルンの一日観光であった。
 来てよかった。そう思った。明日は飛行機でシドニーに向かう。ピーターと奥さんのゲイル、そしてメルボルンに感謝! (続く)
浅井岳史、ピアニスト&作曲家 / www.takeshiasai.com

大和和紀が来米対談

メトロポリタン美術館「源氏物語」展 8日、漫画『あさきゆめみし』の作者

「源氏物語」展を開催中のメトロポリタン美術館(5番街1000番地)は8日(土)午後2時、同館グレース・レイニー・ロジャース大講堂で漫画『あさきゆめみし 源氏物語』の作者である漫画家の大和和紀(やまと・わき)氏と同展共同監修者のメリッサ・マコーミック教授(ハーバード大学)のトークイベントを開催する。
 漫画『あさきゆめみし』(講談社)は、月刊『mimi』で1979年12月号から不定期に連載され、『mimi Excellent』に移って同誌27号(93年)で完結した。『宇治十帖』を含む『源氏物語』54帖がほぼ忠実に描かれており、平安朝の生活様式などを詳細に調べて漫画化している。同展では、『あさきゆめみし』の美しい原画も展示、メトロポリタン美術館が漫画を展示物として紹介するのは同館始まって以来初めて。
 入場料は同館入館料に含まれる。要事前予約。予約・詳細はウェブサイトwww.metmuseum.org/を参照。

平田圭コンセプトヘアサロン イーストビレッジに開店

 イーストビレッジに2日、トップヘアスタイリストの平田圭がディレクションをするコンセプトヘアサロン「スリー・デグリーズ・サロン」(東6丁目204番地)がオープンした。
 高い技術と繊細なケアを誇る日系サロンとして、クリエイティブディレクターである平田圭とほか2人の日本人ヘアスタイリストがサービスを提供する。内装はウッドワークを専門にレストランなどのデザイン・制作を手掛けるJustin Auguste Guereuxにサロンの木製家具のカスタムメイドを依頼し、温かみのある空間を作っている。また環境に配慮した事業活動の一環として、コンポスタブルなエコタオルを導入し、使用後は堆肥化させて肥料として再生利用すべく、ローカルコミュニティーガーデンに寄付する。
 料金はヘアカット(70ドル〜)、ブロードライ(50ドル〜)、カラー(100ドル〜)、パーマ(180ドル〜)、トリートメント(80ドル〜)など。オーガニックのプロダクトをメインに使用、アンモニアフリーのオーガニックカラーメニューも用意している。

THREE DEGREES SALON
204 E6th St.
New York, NY 10003
212-254-8174
info@threedegreesnyc.com
www.threedegreesnyc.com

東京の心象風景写真集

松井みさき・著 ムセイオン・刊

 ニューヨークと日本で活動する写真映像作家の松井みさきが、米国出版社のムセイオンから英語版東京ガイドブック写真集『Tokyo Mindscapes(トウキョウ・マインドスケープス)』を7月に発売する。新旧のメジャーな観光名所からあまり知られていないスポットまで、東京と近郊の67か所について、100点以上の写真と英語で紹介している。
 写真は、日本の四季の美しさもとらえており、日本風景の自然な淡い色合いも印象的だ。たとえば浅草寺、六本木ヒルズ、豊洲市場(築地から移転)、入谷朝顔まつり、高尾山、材木座海岸、工場夜景クルーズ、富士山、熱海など100点以上。大都会のなかで、ふと自分の心を取り戻せるようにとの祈りを込め、副題を「東京心風景」と名付けた。
 撮影で心掛けたのは「やさしい日本の四季の色」「散歩目線」「心象風景」「東京を旅する人、東京に生きる人」だ。日本人が見ても外国人が見ても心地よく美しいと思えるような日本のローカル目線かつ国際的な視点。日本の四季の美しさを伝えるため、いろいろな花の開花時期に合わせて各地を撮影、日本風景の自然な淡くやさしい色合いの写真が印象的だ。
「散歩目線」は各観光スポットについて、そこの1か所だけの説明にとどまらず、散歩目線で近郊の説明もあり使いやすい10枚の地図と写真はすべてカラー。ペーパーバックサイズで持ち運び便利。
 松井の祖父は俳句を、祖母は水墨画を教えていたが、彼らが詠み筆で描いた日本の美しさを孫の筆者は写真映像作家として世界に紹介した。 (三)

■出版記念サイン会29日
 29日(土)午後2時、紀伊國屋書店ニューヨーク店(6番街40丁目)でトークショー&サイン会イベントを行う。入場無料。日本ではツタヤ、丸善ジュンク堂、紀伊國屋書店店頭に並び、7月にアマゾンやムセイオンのサイト(www.museyon.com)からオンラインで発売。(21面/英語面にも記事) 

銀盤の挑戦者たちを追い続けて

ミズノスポーツライター賞を受賞したジャーナリスト
田村 明子さん

 この春「ミズノスポーツライター賞」優秀賞を受賞した。同賞は、スポーツに関する報道・評論およびノンフィクションなどを対象に、優秀な作品とその著者を顕彰し、スポーツ文化の発展とスポーツ界の飛躍を期待、これからの若手スポーツライターの励みになることを願って公益財団法人ミズノスポーツ振興財団が1990年度に制定した。今年で29回目となる。受賞作は昨年新潮社から出版された『挑戦者たち—男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて—』。この本は、羽生結弦の連覇で平昌五輪が幕を閉じた後、今の男子フィギュアスケート界を支えている国内外のスター選手や、その礎を築いた往年の名選手や指導者を「挑戦者」として群像的に紹介した本で、最終章で平昌五輪男子フィギュアスケートの試合場面が臨場感豊かに再現される構成。
 田村さんはこれまで数々の国際大会で日本人選手たちの記者会見通訳も担当してきた。だがそれは、日本スケート連盟から「お願いします」との依頼を受けてはいるものの、実態は無報酬のボランティアであったことも同書で明かす。
 この本の読者は、通り一辺倒の記者会見での選手たちの発言だけでなく、例えば羽生がどのように闘いたかったのか口にした言葉を、世界に発信した通訳当事者の筆を通して知ることができる妙味がある。「とにかく劇的に勝ちたいという気持ちはすごくあります」という羽生の発言を筆者は英語で「劇的に/dramatic way」と訳したところで外国人記者たちも笑った」というくだりや、会見通訳中に目の前においていたボイスレコーダーに、筆者が訳し終えた直後に羽生が小さな声で囁いた声まで拾っている。
 選手がどのような言葉で自分のスケートを語るのか、それを引き出す役割を著者自身が果たしているオリジナリティーや、日本選手を通してのみフィギュアスケート界を見てはいないこと、トリノ、バンクーバー、ソチ、平昌と4大会連続で出版した、たゆまぬ取材と継続性が評価された。
 自身としては、91年に、アメリカの高校の寮生活の体験を描いた『オークウッドの丘の上で』でカネボウ主催読売ヒューマンドキュメンタリー大賞で入選して以来27年ぶり2度目の受賞。「好きでやってきたことがプロの仕事として認められたことはうれしいし、コツコツやってきたことを認められて励みになる」と語る。「2022年の北京までは見届けたい」と目は東京五輪のその向こうを見据える。(三浦良一記者、写真も)

地球崩壊の真の敵 Godzilla: King of the Monsters

 ハリウッド版ゴジラの第3弾目。物語的には「Godzilla」(2014年)の続編に当たるが、ゴジラ誕生65周年に合わせてハリウッドもいよいよゴジラのライバル・モンスターらが入り乱れての怪獣バトル分野に進出、というところ。
 大暴れするのはゴジラのほかに中生代白亜紀の恐竜プテラノドンの突然変異体ラドン、開長100メートルの巨大な翼をもつ蛾の怪獣モスラそして最強のワル怪獣は3つの頭と強靭な翼を持つ竜のようなキングギドラ。
 監督はホラー・コメディ「トリック・オア・トリート」(07年)のマイケル・ドハティで脚本も前作「Godzilla」の脚本を担当したマックス・ボレンスタインと共同執筆。子供の頃からゴジラの大ファンなだけに製作への思い入れは相当なもの。
 出演はカイル・チャンドラー、ベラ・ファミーガ、渡辺謙、チャン・ツィイーら。
 かつて地球に君臨していた古生物(怪獣)は地の中で生きながらえており、人間が自ら環境汚染などで地球を破壊し始めている時期に破壊促進と破壊後を再生する役割を担って出現するという設定。つまり人間の愚行が怪獣を目覚めさせる、というわけだ。
 怪獣の調査を行っていた秘密機関「モナーク」では次々と怪獣出現の兆しをつかんでいた。中国のモナーク基地では科学者エマ・ラッセル(ファミーガ)が孵化したモスラを目の当たりに見ていた。エマは怪獣と交信する装置を開発しており、怪獣による地球崩壊の危険が迫った時に威力を発揮すると信じていた。そして予想通りラドン、キングギドラが現れ、地球は大混乱に陥る。
 人物描写が今一つだが怪獣のデザインや特撮を駆使したバトルシーンは迫力満点。ゴジラの表情が苦み走っているのもいい。
 ハリウッド版はローランド・エメリッヒ監督の一作目(98年)が大コケでギャレス・エドワーズ監督による2作目が好評だった。本作はその中間ぐらいだが、やはり怪獣ものは人気とあって興行的にはヒットする見込み。本作の続編「Godzilla VS. Kong」(アダム・ウィンガード監督)は来年3月公開予定。2時間12分。PG-13。 (明)

■上映館■
Regal E-Walk Stadium 13 & RPX
247 W. 42nd St.
AMC Empire 25
234 West 42nd St.
AMC Loews 34th Street 14
312 W. 34th St.

編集後記 6月8日号

みなさん、こんにちは。河野外務大臣は5月21日、外国報道機関に対し、平成12年の国語審議会が、日本人の名前のローマ字表記は「姓=名」の順番にすることが望ましいという答申を出していることを説明した上で「外務省としても令和という新しい時代になり、東京オリンピックも控え、ラグビーのワールドカップ、即位の礼、G20、TICAD(アフリカ開発会議)など大きな国際会議も控えているため、安倍晋三もAbe Shinzoと表記することが望ましいと思っている。私から国際報道機関にそういう要請を出したいと思っている。国内のメディアのなかにも英語のメディアを持っているところがあるが、ぜひそうした配慮をしてもらいたい」と記者会見で要請しました。(今週号1面トップ記事で掲載)。これを受け、菅官房長官は「現在広く使われている記載方法のなかで、何ができて何ができないのかを関係省庁で調べていく」と述べました。23日付ニューヨークタイムズ紙も大きく報じ、通訳のサチコ・イシカワさんのコメント「文化的な背景からきた発言というより政治的な背景を持った発言」を引用し、今回の外相発言が日本の国家ナショナリズムの台頭、右傾化を示す動きとして牽制しました。ここまでが今週号の記事になっています。そこで、日本のニュースや考えを海外に発信する窓口となるニューヨーク日本総領事館広報センターにこの件に関して今後の対応を聞いてみました。これは紙面の記事には間に合いませんでしたが、応えは次のようなものでした。
「国際的な文書等における外国語での人名表記については,これまでの慣行もあって考慮すべき要素が多々あるため,外務省として何ができるか引き続き検討したい」と。つまり、今回外務大大臣が記者会見で外国プレスに要請したことは、政府の要請でもなんでもなく、外務大臣の個人的な思いを強く伝えたということだったようです。海外のメディアに対してそう発言すること自体がむしろ大切だったのかもしれせんし、こうして日米のメディアが騒いで取りあげるくらいが丁度よく、「よくぞ言った」と褒めてくれる人へのある意味の忖度だったのかもしれませんし、そうではないのかもしれませんし。ちょっと飛び出し禁止ラインに足を出して、引っ込めたみたいなよくわからいない大臣の要請でした。このニュースは日本の新聞ではなく、ニューヨークタイムズで知ったところも海外にいればこそ。日本にいたら知り得なかったかも。日本で何が起こっているのか、海外から国内外の日本人にもしっかりと伝えなくてはなりません。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2019年6月1日号)

今週のデジタル版は表紙をクリック↓

(1)ローマ字表記右傾化?河野外相の要請
(2)自然のクーラー、メモリアルデー夏到来
(3)MENS COLUMN 納豆を米国に広める
(4)野口英世の墓前祭 NYで開催
(5)心臓移植の旺典君NYに到着
(6)春の叙勲 MOMA館長に
(7)NY日本短編映画祭開催
(8)NY生活ウーマン百田和子さん
(9)メトで源氏物語オペラ上演
(10)映画ピカチュウの贈り物