【今週の紙面の主なニュース】(2019年7月13日号)

今週のデジタル版は表紙をクリック↓

(1)漫画雑誌『MAD』廃刊 (1面)
(2)成田陽子のTHE SCREEN(3面)
(3)在外投票始まる(5面)
(4)キーンさん偲ぶ会(5面)
(5)タクシー割高(7面)
(6)ドモニクアンセル(10面)
(7)モーツアルト祭(11面)
(8)反戦反核平和展(11面)
(9)三原綱木が出演(12面)
(10)四国選抜野球親善(14面)
(11)NY生活ウーマン(17面)
(12)大谷さん講演(25面)
(13)日本人主人公募集(26面)
(14)映画スパイダーマン(26面)
(15)フランス革命デー(27面)

マッド 廃刊、政治パロディー 67年の歴史に幕

 米国の風刺・パロディー雑誌『MAD」(マッド)』は現在発売中の2019年第8号(8月号)をもってニューススタンドと一般書店での発売を中止する。以後はコミックストアか郵送による定期購読で買えるが、10月に発売される第11号(11月号)からは新しい内容はなく過去のハイライトを再掲載するだけになる。年末には新しい内容を入れた特別号を出すが定期刊行物としては事実上の廃刊で、67年の歴史に幕を下ろす。
 同誌は1952年にハーベイ・カーツマン氏とウィリアム・ゲインズ氏によって漫画本として創刊され、1955年に現在の雑誌の形式に切り替えられた。マスコットであるアルフレッド・E・ニューマンが表紙を飾り続け、おもに政治とポップカルチャーを取り上げた風刺・パロディー雑誌としてベビーブーマー世代の圧倒的支持を受けた。全盛期の1973年には280万部を誇ったが、近年は読者離れがひどく、トランプ大統領が民主党大統領候補のピート・ブーテジェッジ氏(37)を「マッド・マガジンのマスコットに似ている」と揶揄したが、ブーテジェッジ氏がなんのことか分からなかったことがニュースになったばかり。
 2015年に特別編集長を務めたパロディー音楽家で知られるアル・ヤンコビック氏は「本当に残念だ。さらば、アメリカが生んだ史上最高の雑誌よ」と廃刊を惜しんでいる。

はまり役の怪演見せる、ザ・ラウデスト・ヴォイスを好演 ラッセル・クロウ

NEW YORK – NOVEMBER 13: In this handout photo provided by FOX News, FOX News Channel Chairman and CEO Roger Ailes is photographed November 13, 2015 at the networks Manhattan headquarters New York City. (Photo by Wesley Mann/FOX News via Getty Images)

成田陽子のTHE SCREEN 10

 ラッセル・クロウが久しぶりにはまり役を得て激演、いや怪演を見せてくれる「ザ・ラウデスト・ヴォイス」をぜひご覧ください。
 1996年にフォックス ニュースを起ち上げ、またたく間にケーブルニュースのトップに躍り出たロジャー・アイレスの成功と転落を描いた全7回のTVシリーズの制作と主演に挑戦。アイレスは2016年、美人アンカーのグレッチェン・カールソンにセクハラで訴えられ辞職、翌年転倒し持病の敗血症が原因で死去と、「#ミー・ツー」運動を発火したことで悪名が広まった。
 さて会見に現れたクロウは、盛んにファットパッド(太く見せるための肉布団)を体中につけて、アイレスの体に似せたとのたもうているものの、目の前のクロウは以前よりかなりコロコロして、そのままでもオーケーだったのでは? と聞きたい衝動に駆られたが、機嫌を損ねると台無しになるので断念。
「CNNをはじめ、ケーブルニュースは押しなべて左寄りだったのを見て、アイレスは反対側にいる保守派の人々を喜ばせるニュースを流すアイデアがひらめき、オーナーのマードックを説得した。そのあたりの経緯をスリリングに描いているだろう? 信じられないことだがフォックスニュースは現在も視聴率のトップの地位を維持している。加えてアイレスに忠実な部下たちはいまだに彼のことを尊敬しているほどに彼の才能と采配は凄い影響力を持っていたのだよ。
 完璧なメークを完成するには準備から最低7週間かかるというのに、撮影開始の6週間前になってやっと僕の顔からスタートし、額、目、口だけが生まれながらの僕の部品で、あとは全部ビニールのようなもので作られた頬や首、くっつけるのに最初は6時間半かかって、徐々にスピードが出てきたけれど、僕はプロデューサーも兼ねているからしょっちゅう時間との戦いだった。
 かなり最近まで実在した人間だけに、演じていて毎日が興奮と恐怖の攻防戦だった。傑出した、しかし複雑な人間だったゆえにやりがいは大きかったね。ルパート(マードック)は個人的に親しい仲だが、今回は会ったり、意見を聞いたりするのは遠慮した。前夫人のウェンディー(デング)には会う機会があったので参考になるエピソードをいろいろ聞いたがね。
 グレッチェンを演じるナオミ・ワッツとはお互いにオーストラリアで90年代前半からの演技仲間とは言え、セクハラ場面がかなりリアルで痛々しいから撮影前にソフトな音楽を聞かせたりハグしたりして、僕は優しいのだけれどロジャーの暴力は演技だからね、などと気にしたのだが、彼女は「大丈夫! 全力でかかってきて、用意万端だから」と流石にベテランの姿勢を見せてくれたし、ロジャーの妻を演じるシエナ・ミラーもいつものセクシーでエレガントなイメージを激変させて、太目になってがんばってくれた。
 短期間の撮影でハードワークだったが現場はポジテイブで、クルーたちも和気あいあいだったのが僕にとってはベストの贈り物だったと言えるね」
 すでに賞候補と騒がれているだけにクロウは終始ご機嫌だった。
 昨年のオスカー候補作「ヴァイス」(クリスチャン・ベールが増量してチェイニー副大統領を演じた)に通じる現在のアメリカ政治の背景が覗ける大いに楽しめるドラマである。

在外投票始まる

参議院選挙
14日午後5時まで

 第25回参議院議員通常選挙が日本時間の4日公示され、これに伴いニューヨーク総領事館(パーク街299番地、48丁目と49丁目の間)をはじめ、全世界の在外公館で在外投票が始まった。ニューヨークでは今月5日から14日(日)までの毎日、午前9時30分から午後5時まで投票ができる。
 初日5日の午前9時30分には独立記念日翌日の金曜にも関わらず、投票所に訪れる人が総領事館ロビー1階で列に並んだ。
 公示日翌日からの投票とあって、立候補者名を投票所で確認しながらそれぞれ投票用紙に政党または立候補者名を記載して投票用紙に自分で封をして係員に渡していた。投票できる有権者は、在外選挙人証を有する人。投票に必要なものは、在外選挙人証と旅券(または運転免許証)。
 在外投票はこのほか、郵便等投票や国内投票(21日予定)の2方法がある。
 郵便投票は、登録先の市区町村選挙管理委員会から、直接、投票用紙の交付を受け、選管へ郵送する方法。郵便投票をするには、まず、問投票用紙を請求する。これは事前に選管へ「在外選挙人証」と投票用紙等請求書」を郵送する。請求書は、在外選挙人証交付の際に配られた在外投票の手引き「の中にある書式をコピーするか、外務省のホームページから入手しなくてはならない。投票用紙は、選管から直接送付される。(在外選挙人証も記入済みの投票用紙は、公示日の翌日以降、選管より郵送された投票用紙に記入して国内投票日(7月21日)の投票終了時(原則として午後8時)までに投票所に到達するように選管に郵送すること。
 海外在住の日本人有権者は、日本に一時帰国する場合や、帰国後、国内の選挙人名簿に登録されるまでの間(転入届け提出後3か月間)は、在外選挙人証を提示して日本国内で投票することもできる。
     ◇
 問い合わせはニューヨーク総領事館の電話212・888・0889まで。詳細はwww.ny.us.emb-japan.go.jpを参照。

キーン先生偲ぶ会 コロンビア大で9月27日

 コロンビア大学は9月27日(金)午後5時、同大学ファカリティーハウスのプレジデンシャルボールルーム(モーニングサイドドライブ64番地3階)で2月に亡くなった日本文学者で同大名誉教授のドナルド・キーンさんを偲ぶ会を開催される。
 ドナルド・キーンさんは1922年ニューヨーク市生まれ。1986年にはコロンビア大学に「ドナルド・キーン日本文化センター」が設立された。東日本大震災後に日本に移住して日本国籍を取得したことでも知られる。2月24日、日本で死去、94歳だった。
 入場無料、要事前登録。登録はウェブサイトhttps://keenecenter.org/RSVP.htmlから。

特別ゲストに元ブルーコメッツ三原綱木が出演 KJ・Japanese Artist Show

7月24日カーネギーホール

 KJ国際アーティスト連盟協会が主催する「KJ・ジャパニーズ・アーティスト・ショー」が24日(水)午後7時30分から、カーネギーホール内のワイルリサイタルホール(7番街881番地、57丁目)で開催される。
 特別ゲストは、ビートルズが初来日時に共演し、日本人で初めてエドサリバンショーに出演した伝説のバンド「ブルーコメッツ」の三原綱木氏。三原氏は「雨の赤坂」など主にブルーコメッツの中〜後期の作曲を担当、解散後は三原綱木バンドを結成し、郷ひろみのバックバンドを務めるなど活躍した。現在も全国でライブなどの活動を続けている。MCは主催者でもある梶木敏巳氏。また、重要無形文化財(人間国宝)の井上萬二氏の陶器作品とともに、カーネギーホール舞台装飾空間デザイナーの作家展を同時開催。着物をドレスにアレンジした華やかなショー、パリコレのメンズモデルのロマ・トニオもフランスより来米、米国で活躍する日本人ゴスペルシンガーのTiAも登場する。
 入場無料。問い合わせ・チケット希望者は電話609・325・0476、またはEメールkjfashow@gamil.com(西ケ谷さん)まで。

本紙読者プレゼント5組10人にご優待券

 本紙読者5組10人にご優待チケットをプレゼント(本紙編集部まで取りに来られる人に限る)。希望者は件名「KJショー優待券希望」と明記し、Eメールinfo@nyseikatsu.comまで申し込みを。応募締め切りは7月15日(月)午後5時まで。当選者は本紙7月20日号紙面で発表予定。

メルボルンからシドニーへ

ジャズピアニスト浅井岳史のオーストラリア旅日記(4)

 オーストラリア4日目の朝となると少し時差ボケが楽になってきた。今日はメルボルンからシドニーへの移動であるが、コンサートの主催地メルボルンでの観光が昨日一日では申し訳が立たないので(笑)、シドニーへの移動を昼過ぎにして午前中もいることにしていたのであった。アップタウンのカフェでゆっくりと朝食。ここはコーヒーの種類が多いし、ペイストリーも充実している。初春の朝の清々しい日差しのnaか、外のカフェで非常に良い時間を過ごした。
 ホテルへの帰りにもう一度街を散策。もうすっかりお馴染みの町並みであるが、やはり演奏が終わった安堵感なんだろうか、すべてが輝いて見える(笑)。ワイン専門店の歩道には葡萄が植えてあり、小さな房がなっている。ふと見るとブロッコリーも生えている。葡萄とブロッコリーは共生するのかと驚いて見ていると、店の若いお兄ちゃんが出て来て「冗談だよ」と手に取って笑っている。騙されて癪ではあるが、オーストラリア人のこの明るさは旅行者には嬉しい。
 それにしても、このあたりは見るからにブームタウンである。お洒落な商業エリアは古い建物をどんどん吸収して広がっており、お金があればここら辺りのビルを買っておけば良い投資になると思う。ましてやここに寿司屋やラーメン屋を出せば絶対当たると思う。
さて、これでメルボルンとお別れ。Uberはすぐに来る。今度の運ちゃんはカトマンズから来た男性で、奥さんと子供を国において、いつか呼び寄せられるように今一生懸命にここで基盤を作っているのだそうだ。でも、どんどん地価が上がっているそうで、不動産の取得は難しいとのこと。他にもチョモロンマ(現地語でエベレスト山)のことなど興味深い話をしているうちに空港に到着。
 さて、2度目のカンタス機である。ラッキーなことに滑走路からの搭乗となったので、例の白地に赤い尾翼、そこに白抜きにされたカンガルーのマークを間近で見ることができた。気分が盛り上がる!
 1時間ちょっとでシドニーに到着。夏のように暑い。ここは非常に鉄道が便利にできていて、たった15分でセントラル駅に到着、そこから歩いてすぐにホテルである。ここはメルボルンに比べると大都会でどことなく東京を思わせる。新宿南口に降りたようだ。
 実は、次の日にシドニーのクラブに出演する話をいただいていたのだが、ラストミニッツで超大物ジャズミュージシャンのツアーに取られてしまった。無名の音楽家はこういう時、立場が弱い。したがって明日と明後日と2日間、シドニーは観光になってしまったのである。が、初めてのシドニー、仕事をしている場合では無い(笑)。思い切り遊ぶことにした。随分と時差ボケから解放されてきたので、早速電車に乗って有名なオペラハウスに行く。駅のホームから電車の感じからして、これは絶対に東京だ! 懐かしい。
 15分くらいでハーバーの駅に着いた。ホームからすでに海と海岸に立つ白いオペラハウスが見える。急いで駅を出て近くまで行ってみる。思ったよりもずっと小さい建物だが、夕暮れの最後の陽を反射して白く綺麗に映える。反対側には、これも有名な大きな鉄橋が見える。そのまま「ロックス」といわれる旧市街へ。レンガの古い建物が並び、そこには洒落たレストランが並ぶ。どこかに入ってゆっくり食事したいが、観光地で食事するのも高くつくし、なぜか疲れが出てきたので、ホテルに戻ってその辺りで軽く済ませることにした。また電車に乗って15分でホテルに戻る。
 ホテルの周りはB級グルメの宝庫であった。何気ない路地に赤い提灯がかかっていて小さなチャイナタウンになっていたり、大きなフードコートに安い定食屋から、麺物屋、自分で材料を見繕って焼いてもらう料理店など、たくさんの中華料理屋が出ていて、ここは一瞬香港かシンガポールかと思うくらいである。西洋社会でこれは珍しい。昔勤めていた会社では、環太平洋の地域をまとめてアジア・パシフィックと言っていたが、この国ではそれを肌と舌で感じることができる。そう、ここはアジア・パシフィックなのだ。
 シドニーは洗練されていて便利で住みやすそうな街である。これは明日からの2日間が楽しみだ。早速、明日はフリーウォーキングツアーに参加することにして消灯。     (続く)
(浅井岳史/ピアニスト&作曲家)www.takeshiasai.com

四国アイランドリーグPlus北米遠征

選抜チーム健闘
強豪6チームと19試合

 日本のプロ野球独立リーグである「四国アイランドリーグplus」に所属する4球団からの代表選抜チームが北米遠征のため来米し、6月中旬から7月上旬にかけてニューヨーク州、ニュージャージー州、そしてカナダのケベック州などで米国のベースボール独立リーグ「カンナムリーグ」に所属する現地の強豪6チームと公式戦19試合を戦った。
 6月21日から3日間、NJ州リトルフォールズにあるヨギベラ・スタジアムで行われたNJジャッカルズ戦では、日本チームの応援企画の一環として、今回の遠征の協賛日系企業である米国ゼブラ社と北米伊藤園から特製ゼブラペンと「お〜いお茶」が来場者に配られた。22日には現地在住の日本人たちによる応援観戦企画が開催され、試合開始前にNYのよさこいダンスグループ「Tentekomai」による高知名物「よさこい踊り」のパフォーマンスや「君が代」斉唱、山野内勘二NY総領事・大使による始球式が行われた。この日の試合はジャッカルズ主催の「スターウォーズナイト」イベントの開催日でもあり、大勢のスターウォーズキャラクターが場内を闊歩、来場者にはライトセイバーの玩具も配布され、試合後には花火大会もあって3000席の球場はほぼ満員の観衆で盛り上がった。
 四国アイランドリーグplus代表選抜チームの監督を務めた養父鐵(ようふてつ)氏は、自身も過去にメジャーリーグ、ホワイトソックス傘下のトリプルエー(AAA)球団の選手として活躍し、海外での野球経験が豊富な実力者。養父監督は今回の遠征について次のように語った。
「今回の北米遠征では選手の7〜8割が海外経験ゼロで、初めてパスポートを取得した者も多い。選手たちにはこの機会に日米の違いを肌で感じて欲しい。日本には無いアメリカの空気感やカルチャーの違いを経験することにより、世界から見た日本、自分を見つめ直す良い機会になると思う。日本の野球は、監督は絶対でそれに服従しながら練習を積み上げて自らを高めて行く、いわば『野球道』のようなニュアンスがある。それに対し、アメリカの野球はもっと自由で開放的。ゲーム感覚で野球に取り組み、失敗してもすぐ次のチャンスで立て直しができるのが『ベースボール』。その違いをしっかり経験し、失敗から多くを学び、自分で考え率先して行動できるような選手となって欲しい。また、野球以外でも、ホームステイ先のホストファミリーや現地の子供たちと交流し、人間として成長することを期待している。今回の経験は、選手それぞれに将来の人生にとても役に立つはずだ」。
 同代表チームの中村道大郎キャプテンは、香川オリーブガイナーズ所属の内野手。大学卒業後、飲食業に従事し2年間野球をしていなかったが、縁があって念願だった独立リーグの選手となった。「今回はじめて北米遠征に参加したが、まず日本との違いを感じたのは整備の行き届いた天然芝のグラウンド。そして何よりお客さんの反応が違った。日本ではトランペットなどの楽器演奏で応援歌を歌ってスタンドから声援するが、アメリカではそれがない。静かな中で試合は進むが、打球音やベンチからの声、観客席からの声援がよく聞こえる。そして大きな声や体全体で表現して応援し、プレーに対して観客の反応がとても良い。だから試合をしていて楽しい。スタジアム全体が野球を楽しむ雰囲気であふれていて、負けてもスポーツマンシップを忘れない。リラックスしているが、やる時は集中力を高めて一所懸命やる。そんなアメリカのベースボールの良い部分を学べることは本当に良い経験だと思う。日本でもそんなアメリカの野球の良い部分を持ち帰り、選手がのびのびプレーし、グラウンドで思い切りパフォーマンスできるようなチームづくりを目指したい」と抱負を語った。
 7月4日にカナダで全日程を終えた代表チームは、最終的な公式戦の対戦成績を7勝12敗とし、メジャーリーグ傘下のマイナーリーグならAAと同程度の実力を誇る「カンナムリーグ」の強豪たちを相手に健闘した。(取材・本紙・西村純、久松茂)

モトクロスと自転車 曲芸ショー

今回、四国アイランドリーグplusチームと対戦した米独立リーグ球団のひとつ、NJジャッカルズの本拠地球場であるヨギベラ・スタジアム(リトルフォールズ、ヨギベラ・ドライブ8番地)で26日(金)午後7時、27日(土)午後2時と午後6時の3回、モトクロッサー(FMX)と自転車(BMX)を使ったスタントショーが開催される。
 出演するのは、卓越した技術で世界各地で公演し観客の度肝を抜いている「サイクル・サーカス・ライブ」。人間業とは思えないハラハラドキドキのショーを楽しもう。
入場料金は、指定席15ドル、ボックス席20ドル、ボックス席券に出演者と会って話せる機会が付いたVIPパッケージが50ドル。身長36インチ以下の幼児は無料。チケットは球場サイトで。詳細はウェブサイトyogiberrastadium.comを参照。

夢を叶えるノウハウ本

パム・グラウト・著
サンマーク出版・刊

 本書は、言い訳ばかりする自分から脱却し、本当にやりたいことをするためのノウハウを1年かけて教えてくれる本だ。
 アメリカの田舎、カンザスという小さい町で牧師の娘として育ち、成績は常にオールA。どこから見てもマジメな優等生だった本書の著者パム・グラウトは、幼いころから自由で情熱的な人生を夢見ていた。時折突拍子もないことをしては周囲を楽しませるような少女だったが、大人になり働くようになると、そういった行動を控えるようになる。しかし、次第に本当の自分を隠し退屈な自分を演じることに息苦しさを感じるようになり、もっとワクワクするような人生を送ることを目標に掲げ会社を辞める。
 その後の著者はというと、ニューヨークタイムズ・ベストセラー作家となった。これまでに著作が18冊あり、脚本を7作も手がけ、2つのアイフォーン・アプリを製作した。彼女はいま、本当の自分を取り戻し、ワクワクするような体験をしているようだ。
 私たちの誰もが、「本当の自分」を持っている。今から1年間、読者は自身の創造性を高め、「本当の自分」を取り戻す旅をすることになる。自由になった読者は、まったく新しい自分を発見し、今までとは違う目で世界を眺めるようになるだろう。冒頭でも述べたように、本書は自由になるための本で、アートのすべてを網羅している。1週間に1つずつプロジェクトを実行していき、1年を通して全部で52個をこなすことになる。プロジェクトは、文章を書くこともあれば、絵を描くこともある。パフォーマンスアートに挑戦することもあれば、歌うこともある。もちろん、新しいビジネスを発明することも立派なアートである。
「やりたいことがあるが時間がない」という言葉をよく聞く。私自身、良く使ってしまう言い訳だが、SNSに写真を投稿したり、友人とチャットしたり、スマホゲームをする時間はあるのに、時間がないとはどういうことだろうか。それは筆者によると、やっかいな「完璧主義」のせいだという。特にその完璧主義は大人になるほど顕著で、例えばあなたが絵を描きたいと思ったらまずどうするか。本格的な画材道具を揃えて、絵画教室に通わなきゃいけない、でもそんな時間は日々仕事や家事に追われていてないから、もっと余裕ができてからしよう、などと考えてしまってはいないだろうか。
 思い出してほしいのだが、幼いころは誰でも、絵を描きたいと思ったらいつでも描けたはずだ。鉛筆やクレヨンなど描けるものはなんでも握って、紙やアスファルト、時には家の壁紙までもキャンバスにして好きな色で描きたいものを描けたのだ。創造があふれていた。
 もしあなたが今、とてもやりたいことがあって、でも先述のような「完璧主義」のせいでなかなか始められていないのだとしたら、今すぐに本書のプロジェクトに取り組んでみてほしい。1年後には必ずやりたいことをしている、本当の自分になれているはずだ。(西口あや)

ロケッツに今一番近い日本人女性

ミュージカル女優
岩井 麻純さん

 米国でミュージカル女優として活躍する岩井麻純さんは、半年間、リンカーンセンターのオリジナルプロダクション・演出の「王様と私」全米ツアーを終えてニューヨークに帰ってきた。そして早速、クリスマススペクタキュラー、ロケッツのサマーインテンシブのメンバーに選ばれ、1週間の集中インテンシブに参加してきたばかりだ。ショービジネスの殿堂、ニューヨークのラジオシティー・ミュージックホール。ここの売り物が、ロケッツと呼ばれるラインダンスで、クリスマスシーズンに特別公演があり、ニューヨークの年の瀬を告げる風物詩となっている。
 米国中から1000人以上のダンサーがしのぎを削るロケッツのオーディションで、見事フルスカラシップを受けての参加。プレッシャーと戦いながら、ツアーからNYに帰ってきてから1か月半準備していた成果をステージで出し切った。ラジオシティー80年の歴史の中でここのステージに立つことはダンサーの夢の中の夢。今回はそれに一歩近づいたことを意味する。
 名古屋出身の岩井さんは、8歳でジャズダンスを始め、地元の劇団に所属してミュージカルなどの舞台に立ってきた。14歳の時、台湾で行われたユネスコ主催の芸術祭に参加して、初めて海外の舞台を経験した。観客の熱い視線や終わった時の大拍手、言葉や文化を超えた舞台芸術の力に圧倒されて「この世界で生きて行きたい」と思った。
 大阪芸術大学ミュージカル科に在籍中、ニューヨークに遊びに来て見た「ライオンキング」に衝撃を受け「アフリカン・アメリカンが踊るアフリカ作品がこんなにすごいなら、日本人が踊るアジア作品も必ず素晴らしいものになる」と思い身体を鍛えたいと大学卒業後、2015年に来米した。
 昨年10月から今年5月まで「王様と私」の全米ツアーに参加、舞台で王様が英国から来た家庭教師のアナに扇を使ったタイの文化を教えるシーンでダンスを踊った。「アジア人役を演じる上で身のこなしや所作、動きの心が自然に伝わり、アジア人であることを誇りに思えた」という。ひたむきな熱意や飾らない人柄が感じられる。
 90年代に日本人として初めてロケッツの舞台でキックした丸橋節子以来の登壇となるか。いまから先が楽しみだ。(三浦良一記者、写真も)

大谷さん、重光さん NYでココロの元気熱弁

NY生活プレス社主催講演会

 本紙で11年間コラムを連載中の人材育成・地方創生スペシャリスト、志縁塾代表の大谷由里子さんと、NYを含む国内外で750店舗以上を展開する熊本の「味千ラーメン」を運営する重光産業代表取締役副社長の重光悦枝さんの講演会が6月26日夜、グローバルラボで開催された。同講演会は、世界各地で活躍する女性たちに交流の場を提供する活動を日本で行う団体「グローバル女子会」の理事でもある2人が来米するタイミングに合わせ、ニューヨーク生活プレス社が主催した。
 はじめに重光さんが自身がNY州北部レークプラシッド近くの大学に留学、卒業後にNYで仕事を得て、さあアメリカで頑張ろうと思った矢先に創業者である父親が末期がんで倒れ、志半ばで帰国して弟と共に同社を継いだ経緯を話した。味千ラーメンのイメージキャラクター「チイちゃん」のモデルでもある重光さんは、家業を継いだあと、父親の悲願でもあった海外進出に力を入れた。熊本に新幹線が通ったことを祝い、「AKJ1000(味な熊本、熟女1000人)」でもてなす大イベントを準備していたら熊本地震が起き中止になったこともあり、予期できぬ事態が起きても直ぐにリカバリーできるよう常にココロを元気に保つことを大切にしていると語った。
 続いて、その重光さんに「師匠」として紹介された大谷さんが登壇。NYでの講演は9年ぶりとなる大谷さんは、ベストセラーになった『はじめて講師を頼まれたら読む本』の著者で、日本で「全国講師オーディション」も主催する講演のプロ。「ココロの元気のつくり方」「モチベーションマネジメント」をテーマに展開した。小学生の時に父親の仕事の都合でテキサスで4年間暮らした時、英語もできないのに機転を利かせて乗り切った話。男女雇用機会均等法が制定される前の就職活動で苦戦しながらも、「打たれ強そう」という理由で採用された吉本興業でがむしゃらに働き、次々に売れっ子芸人を輩出、後に「伝説のマネジャー」と呼ばれた大谷さんは、モチベーションを高める極意を語った。どんな職場でも与えられた仕事をこなすだけではダメ、自分が何をしたいかを考えて動く。また、コミュニケーションを大事にしてプラスの言葉で常に場を笑顔にすることが大切と語った。自身が27歳の時に起業した会社が、事業が大きくなり人が増えたらスタッフ一人ひとりが能動的な会社から受動的な会社に変わった失敗談や、取引先の企業で若いスタッフとの考え方のギャップに困るマネジャーらに違いを受け入れコミュニケーションを高めるコツを伝授した話などを例に、プラスになる言葉、笑顔になる行動で、周囲も自分もココロを元気にできると話した。当日会場に集まった30人の参加者にも、偶然隣に座った人同士、ハイタッチで「イェーッ!」と盛り上がらせてみたり、互いの共通項を20個見つけさせてみたりと参加型の講演で、さまざまなバックグラウンドを持つ参加者に一体感が生まれるような講演会だった。
 講演会終了後は会場で講師と参加者それぞれが交流できるような時間もあり、2人の講師とはもちろん、参加者同士の縁も新しく生まれるイベントとなった。