NY真夏の大停電

7万2000世帯
ブロードウェーも中止

 マンハッタンで13日午後6時47分、ウエストサイドの約7万2千世帯が停電となった。約5時間後に復旧した。送電網を運営しているコン・エジソン(コンエド)は14日に謝罪を表明、翌15日に原因は「西64丁目の送電施設で障害があった」と発表した。
 停電はブロードウェーに沿ってウエストサイド33丁目から73丁目までの40ブロックと東はロックフェラーセンター周辺まで及んだ。停電により一部の地下鉄が運行を停止、タイムズスクエアでは観光客らが暗くなった通りにあふれビルの外で立ち尽くしたり、ロックフェラーセンターでは地面に座り込んでいる人が多くいた。かきいれ時のレストランも軒並み早じまい。日系のペッパーランチや麺食い亭、蕎麦の東、男の台所・丼屋などウエストサイドの日本食店も閉まった。ラジオシティーホールのネオンサインも消えた。カーネギーホールやブロードウェー劇場など市内でも人気の高い施設も停電で公演は途中で中止。米倉涼子が2週間出演中のブロードウエーミュージカル「CHICAGO」」も中止に。マディソン・スクエア・ガーデンでは公演中だった歌手のジェニファー・ロペスのコンサートが中止となった。 
 停電で消防署は約900件の緊急電話に対応した。うち約400件がエレベーターに閉じ込められたというものだった。停電によるけが人はいなかった。タイムズスクエアで電気が消えなかったレストランやバーは客であふれかえった。
 チャック・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は14日、「このタイプの大規模な停電は送電網への適切な投資によって完全に防ぐことができる」と述べ、連邦エネルギー省にコンエジソンが電力網にどのような投資しているかを調査するよう求めた。ビル・デブラシオNY市長は大統領選の民主党指名選挙たのめアイオワに行っていたが、14日朝に予定を変更しニューヨークに戻った。「これはサイバー攻撃ではなく、物理的テロ行為でもない」としたうえで、シューマー上院議員による連邦エネルギー省への調査要請を支持した。「私たちはコンエドに圧力をかけるつもりだ」と述べている。ニューヨーク日本総領事館は、同日午後9時10分に在留邦人に向け「不要不急の外出を控えるよう」呼び掛ける緊急メールを発信した。

その4:ルート66の旅に最高に合う音楽

魅惑のアメリカ旧国道「ルート66」をフォーカス

 ルート66ファンの皆さん、こんにちは! 先月「梅雨がなければ」というお話をしたのもつかの間、日本は本格的な梅雨に突入しました。東京ではあまり強い雨は降りませんが、毎日小雨が断続的に降りしきり、筆者の小さな希望も儚く消えていきました(笑)。
さて、7月です! ルート66には待望の季節、6月〜8月は各地でさまざまなイベントが企画されます。そしてイベントと言えば切っても切れないのが、そう「音楽ライヴ」ですね。夏は音楽の祭典、アメリカでは6月下旬から独立記念日の週末にかけて行われるミルウォーキーでのサマーフェストを皮切りに10月まで多数の音楽イベントが開催され、ルート66上の出発点でもあるイリノイ州シカゴではブルース、ジャズ・フェスティバル、そして9月にはワールド・ミュージック・フェスティバルがあります。そのほか今年はミズーリ州レバノン、ニューメキシコ州トゥクムキャリ、イリノイ州スプリングフィールド、さらにはアリゾナ州キングマン等の各地でもいろいろな祭典があるようです。前置きが少し長くなりましたが、今月の魅惑の旧街道を行くシリーズのシーズン3、第4話は音楽の話をしたいと思います。
 2014年のある夜、しばらく訪れていなかったルート66をまた走り始めようと思い立ち、そのお伴に何か良い音楽がないかと検索していたところに引っかかったのが「Road Crew」というバンドでした。アルバムのタイトルは「Songs from the Mother Road」。何ということ! こんなにぴったりなものは他にあるのか? と半信半疑でさらに検索すると、CDジャケットはセミアコっぽいギターの後ろにルート66の姿。これを私がネットで購入するのに3秒とかからなかったことは容易に想像できますよね?(笑)どのくらい感動したかといえば、手前味噌で恐縮なのですが16年1月より不定期で更新している筆者のルート66に関する個人ブログ「toshi66.com」でも第1話の題材として少し触れたぐらいなのです。
 Road Crewは11年にテキサス州アマリロで開催されたある祭典で、International Route 66 Associationより「Bobby Troup Artistic Award」を受賞、その後テキサス州ルート66アソシエーションよりルート66の公式音楽大使として、ルート66上のフェスティバルでの演奏はもちろん、各地で公演活動にも精を出しています。
 4人のメンバー全員がそれぞれ実力者。ご紹介しますと、まずメインボーカルを担当するひとり Don King Jr.は80年代にカントリーミュージック界で100曲以上の楽曲をチャートに送り込むことに成功し、Alabama、Crystal Gail、Reba McEntireらとも一緒に活動。15年にAmerica’s Old Time Country Music Hall of Fameに殿堂入りしました。ドラムスを担当するJason Harmonは敬虔なクリスチャンの家庭に生まれ育ち、その音楽活動も教会クリスチャン系の音楽と、少し変わった経歴の持ち主。Jasonの持つレコーディングとプロダクションおよびエンタメテクノロジーの知識と技術はバンドの屋台骨を安定させています。
 ギター担当のWoody Bomarは、ミュージシャンでありながら起業家であり、「音楽の都」ナッシュビルに自身の音楽会社を経営していました。Woodyは元来ソングライターであり、Conway TwittyやLoretta Lynと共に80年代のヒット曲を連発しました。また現在でもカントリー音楽協会、アメリカーナ音楽協会、さらにはソングライターズ・ギルドの会員でもあるようです。そして最後のひとり、筆者が一番仲良くしてもらっているのがボーカルとギターを担当するJoe Loeschです。Joeは70年代のポップグループ「Solid Gold」のリーダーでした。彼らの代表作「Solid Gold 50‘s」と、MonkeysのMichael Nesmithと書き上げた「My Share of the Sidewalk」で大きな成功をつかみました。Joeはボイストレーナーとしても著名でそれに関する賞も数多く受賞しています。
 と、ここまで紹介してきましたが、彼らの音楽は筆者の大好きな明るく軽快なノリのロカビリーベースのカントリーミュージック。現在リリース中の3枚のアルバム、いずれも真っ直ぐ伸びるルート66を空や山に吸い込まれるようにオープンカーで突っ走っていくには最高のお供です! ぜひ聴いてみてください!
 実はRoad Crewの皆さんをご紹介したのは、その音楽の素晴らしさだけでなく、本当に親切で素敵な方々だからです。さきほど「一番仲良くしてもらっている」と書きましたが、ただの一ファンである筆者にも、まったく驕った素振りも見せず友人として接してくれ、一緒の時間を楽しんでくれます。筆者は15年、イリノイ州エドワーズビルで開かれた「Miles of Possibility」という年次会合に参加した際に初めて本人たちと遭遇できました。会う前にJoeとは1、2度メールでやり取りをしたので、当日初顔合わせ時もまるで以前から知ってるかのように気さくに振る舞ってくれた姿に感動したのを憶えています。その時Joeは、「私は1955年に父に連れられセントルイスからロスアンゼルスまで初めてルート66を走り、ディズニーランドのグランドオープニングに行ったんだ。それがルート66との出会いで、その時に経験した『地球上で最も幸福な地』と同じぐらい感動したんだよ」と語ってくれました。
 今日もRoad Crewは精力的に活動しています。皆さんもルート66に出られる際は是非彼らのスケジュールもチェックして、その素晴らしい音楽と人柄に触れてみてください。(後藤敏之/ルート66協会ジャパン・代表、写真も)

スカイビューセンターへ ユニクロやダイソーも

 今年3月に日本の百円ショップ「DAISO」がフラッシングの「スカイビューセンター」にオープン。西海岸では幅広く店舗展開しているが同店舗は東海岸第1号店とあって、開店当初は大行列。ほとぼりのさめた6月下旬の平日午後に、初めてマンハッタンから出かけてみた。

 地下鉄7番線に乗って約50分、終点のフラッシング-メインストリート駅に近づくと、線路際の進行方向右手に目的地「スカイビューセンター」が見えて来た。想像以上に大きいそうなショッピングモールだ。駅から歩くこと約7分、賑やかな商店街を抜けると低所得者住宅があり、その向かいにあった。
 正面入口には、ターゲット、ナイキ、マイケルズ、マーシャズなど米国の郊外モールでよく見るロゴに、DAISOとユニクロの文字が混じって並んでいる。軽食店を含め30店が入っているという。買い物客は圧倒的に中国系で、通路にはマッサージ椅子(有料)が並び、1階には大型スーパー「スカイフーズ」が入っていて、東南アジアの都市のデパートに迷いこんだような錯覚に陥る。
 長蛇の列が見えるのは、ナイキ・クリアランス・ストア。アウトレット店であるナイキ・ファクトリー・ストア(NFS)でも売れ残った最終処分品を販売している。古いアイテムだけでなく現行アイテムでも不人気品が並ぶこともあり、定価の8割引など信じられない安価で手に入るとあって、入場制限するほどの賑わいだ。知人によると、狙った商品が店頭に並べられた瞬間に客が殺到するという。両手に持てないほど買い物した人を数多くみかけた。コンバース・クリアランス・ストアもあったが、こちらは空いていた。
 さて、目的の「DAISO」に向かう。他店舗に比べて混んでいる。品物の並べ方や品揃いが故郷にある同店とほぼ同じで、心無しかほっとする。購入した筆ペンは「慶弔両用」とあり、片方は薄墨。ニーズがあるのか首を傾げるところだが2色ペンとして売れるのかもしれない。「何に使うのかな」という表情で物色している買い物客の姿が微笑ましかった。開店時間は午前10時から午後9時まで(日曜は8時まで)。値段は日本での値段の2倍弱だが、日本が恋しくなったらまた時間をかけても行ってしまいそう。「DAISO」ニュージャージー州のミツワ内にも近々オープンする予定。
 フラッシングは、中国系の中でも台湾や香港からの移民が多く、同センターのウェブサイトも英語とスペイン語と並んで「繁體中文」。駅周辺には、安くておいしい中華もあり、駅の反対側には韓国系の店も多く、異文化体験の日帰り散歩にもおすすめだ。 (小)

The Shop Skyview Center
4024 College Point Blvd.
Flushing, NY 11354
Tel:718-460-2000
www.shopskyviewcenter.com

オンライン美術館 「iiwii」NY展開催 7月25日から28日

 日本の俳優でアーティストの坂東工が気鋭のアーティストとともに立ち上げたオンライン美術館「イーウィー(iiwii)」が、初となる第1回展示会を25日(木)から28日(日)まで、トライベッカにあるギャラリー、ワン・アート・スペース(23 Warren Street)で開催する。
坂東が製作したNHK大河ドラマ「西郷どん」で使用した渡辺謙氏の衣装2点をはじめ、絵画や彫刻、ジュエリー、イラストレーション、写真、陶芸、人形など、10人のアーティストによる作品を展示する。
「硫黄島」などハリウッド映画にも出演、バチェラー・ジャパンの司会、そして自らも表現者としての衝動を作品として生み出すアーティスト坂東。ニューヨーク展について「iiwiiの存在をいかにして世界中の人々に広めていくか? 我々の作り出すアートを体感し、正確な反応、評価を得れる場所はどこか? 企業として資金と広告より効果的に使用していく方法は何か? そして何よりも、我々自身が『これがおもしろい!』と思える企画は何か? その答えのひとつが、世界のアートの中心地であるニューヨークでの展示会であると考える。iiwiiはニューヨークの息吹を浴び、アーティストはさらなる創作へのモチべーションを持ち、よりアートへの関心を高めていく。10人のアーティストが織りなす、iiwiiの世界をぜひ楽しんでいただきたい」と話す。
詳細はウェブサイト https://iiwii.art/

早食い6連覇の小林さんお墨付き、ニンジン ホットドッグ誕生

 インポッシブルバーガーやビヨンドバーガーなど、肉に代わるベジタリアン食品が話題のなか、ファッションブランドのクロエはイーストビレッジの人気総菜店ハリー&イダズ(アべニューA189番地)と提携し、17日のナショナル・ホットドッグ・デーに合わせ「ザ・キャロット・ドッグ」を開発した。
 パストラミ・サンドイッチをはじめ肉類の総菜が自慢の同店だが、ベジタリアンの新メニューにも手は抜かず、処理した丸ごとのニンジンを1週間かけてじっくり燻製。ポテトを練り入れた特製のパンでニンジンを挟み、サー・ケンジントンのクラシック・イエロー・マスタードとザワークラウトを添えて値段は1本6ドル75セント。
 同コラボレーションに賛同した写真家ジェシカ・ペットウエーさんは、独立記念日ホットドッグ早食い選手権で6連覇しギネスに登録された小林尊さんをモデルに起用した「ザ・キャロット・ドッグ」シリーズを撮影した。小林さんのネイルは、ニューヨークで活躍するネイリストのメイ・カワジリさんが施している。小林さんは同メニューについて「ホットドッグのマスターとして、これまで多くのベジタリアン系ホットドッグを試したが、正直に言って、これほど満足できるものはこれまでなかった。ニンジンのスモーキーな風味がとても独創的。何よりもニンジン以外はほとんど何も入っていないところがいい」と話している。

自己のファインアートを見つめて

アーティスト
菊池あをみさん

 菊池あをみさんは、今年の春、美術学校プラットインスティチュートの大学院を修了した。2年前、大学から全額返済不要の奨学金三万ドルを受けて入学。日本人の若者の留学離れが加速するなか、まったく海外留学経験のない56歳の女性が子育て後に挑戦したアート留学だった。プラットの大学院はおろか4年制の課程にも日本人を見かけることはほぼ無かった。若い人にも子育てを終えた人にも、挑戦する気持ちを持ち続けてほしいと彼女は語る。
 三重県伊賀市出身。県内有数の県立上野高校普通科に進学したが、経済的理由から、学費全学免除の国立看護助産学校に進学。ある日病院の中庭で、病室から飛ばされた紙飛行機を拾い、中に書かれた子供の絶望を吐露する内容に、医療では命を永らえることはできても、人間には胸をときめかす喜びや発見、美しいものを愛でる感情があり、生きる希望を持つことの大切さを思った。
 看護の世界を後にして、ものつくりを自分のライフワークにしようと決め、21歳で東京のバンタンデザイン研究所に入学。1年後、当時全盛であったデザイナーズブランドのビギグループ傘下のキャトルセゾンにデザイナーとして入社。バンタンのオーナーでもあり理事長だった菊池織部氏と結婚し、3人の子に恵まれたが2010年に死別、子供たちがそれぞれ大学を卒業して自立したのを機に渡米してプラットに入学した。大学院に通いながらも植物素材の染色作家としてニューヨーク日本総領事館広報センターギャラリーでの展示ほか海外の国際展や京都知恩院での個展など積極的に活動した。
 プラットでの教授の「アートには美も技術もいらない」という考え方に大きな衝撃を受けた。それは彼女にとっては日本のアートの全否定にも聞こえた。なぜなら「日本語でアートは『美術』、『芸術』と訳され、アートとは『美と術』、『芸と術』であると理解されているからだ」と。両極端なアートに対する考え方を自分の中に受け入れてみた時に、本当のアートとは何かを今再び問い直している。
 日本の友禅染めなどの染色技術などで培ってきた技法というものに今一度自身の中で光を当てたいと思っている。(三浦良一記者、写真は本人提供)

「宇宙での仕事と生活」を語る、星出さん日本クラブで子供向け講演会

 宇宙飛行士の星出彰彦氏を迎えた子供向けトークイベント「宇宙での仕事と生活」が26日(金)午後3時から、日本クラブ(西57丁目145番地2階ローズルーム)で開催される。(日本クラブと米国時事通信社との共催)
 星出氏は1968年東京生まれ。2008年にスペースシャトル「ディスカバリー号」1Jミッションに参加し、「きぼう」日本実験棟船内実験室の国際宇宙ステーション(ISS)への取り付けを行う。12年には長期滞在クルーのフライトエンジニアとしてISSに124日間滞在。また、来年5月頃から日本人2人目となるISS船長として長期滞在の指揮をとる。同イベントでは12年のミッション映像を中心に、宇宙飛行士の訓練、ISSでの任務や生活について講演するほか、参加者からの質問に答える。定員80人。
 入場料は一般10ドル、日本クラブ/NY日本商工会議所会員は無料、子供無料(講演内容は小学生以上対象、12歳以下の子供は必ず保護者同伴)。申し込みは19日(金)までに Eメールinfo@nipponclub.orgまで。(写真・JAXA /NASA 提供)

恐怖と妄想の果てに The Art of Self-Defense

 真面目に働き30余年を平穏無事に生きてきた男が暴漢に襲われたのを機に自分を根底から変えようとする。ブラックコメディー、カルトコメディー分野を得意とする「フォールツ」(2014年)のライリー・スターンズが脚本・監督。爆笑シーンには背筋に冷たいものを感じるダークさがしっかりはりついた相反仕立てだ。
 マッチョマンから最もかけ離れた位置にいる主人公ケイシーにはジェシー・アイゼンバーグ。「ソーシャル・ネットワーク」(10年)のマーク・ザッカーバーグ役でアカデミー主演男優賞にノミネートされるなど演技力には定評があり、弱腰で繊細なケイシーが自分を乗り超える過程で表情や歩き方はもとより指の動きまで主人公の心理を精妙に表すあたりは脱帽レベルだ。
 ケイシーは会計士として会社勤めをし、休暇もあまりとらずボスからは信頼されている。おとなしく体もスリムでどこか中性的で他の男性社員からは浮いている。感情の起伏を表に出す方ではなく、ペットの犬も飼い主に似たのか、ケイシーが帰って来ても尻尾を振って飛び着いてきたりせずじっとソファに座っている。
 ある夜、ドッグフードを買いに行った帰り、ヘルメットをかぶった数人の男に暴行され重傷を負った。ケイシーは傷が治ってからも恐怖で身が縮まりトラウマに苦しむ。護身用に銃を買いに行くが、銃が唯一の頼りというのは銃が無かったら全くの無防備状態になり心もとない。
 たまたま通りかかった空手道場で練習を見学、センセイ(アレッサンドロ・ニヴォラ)と呼ばれる指導者と話し、空手で自分を鍛えることで護身術が身につくのではと始める。熱心な練習と訓練の結果、ケイシーは恐怖心が少しずつ薄れていくような気がするが、まだまだ実戦では使えない。
 ケイシーの心を読み取ったセンセイは選ばれた者だけが参加できるナイトレッスンをトライしてみないかと誘う。それは今までの訓練とは違う異様な光景だった。
 恐怖、トラウマ、妄想がジグザグで進行する悲喜劇的ホラー・ファンタジーともいえる。1時間44分。R。(明)

■上映館■
AAMC Lincoln Square 13
1998 Broadway
AMC Loews Village 7
66 3rd Ave. (11th St.)
Regal Essex Crossing & RPX
129 Delancey St.

速報 マンハッタンのウエストサイドで大停電発生

 

 

ニューヨークで13日午後6時ごろ、マンハッタンのアッパーウエストサイド一帯を広くカバーする範囲で大停電が起こった。地下鉄が止まり、エレベーターの中に閉じ込められた人などの救出で緊急車両が出動した。週末の夕方とあって多くの市民や観光客が街に繰り出している時の停電に、人々はビルの外で立ち尽くしたり、ロックフェラーセンターでは地面に座り込んでいる人が多くいた。かきいれ時のレストランも軒並み早じまい。日系のペッパーランチや麺くいてい、東、丼屋などウエストサイドの日本食店も閉まった。ラジオシテイーホールのネオンサインが消えた。在ニューヨーク日本国総領事館は、ニューヨーク時間21:10 (18 分前)在留邦人に次のような緊急メールを送った。【緊急】ニューヨーク市ミッドタウン地区アッパーウェスト地区における停電について=7月13日20時現在、ニューヨーク市ミッドタウン地区、アッパーウエスト地区において大規模な停電が発生しています。つきましては、今後の報道等をご確認いただき、不要不急の外出は控えてください。7月13日20時現在、ニューヨーク市ミッドタウン地区、アッパーウエスト地区において大規模な停電が発生し、同地域の信号機やエレベーター、地下鉄等が停止している模様です。電力会社によると、停電の原因は不明ですが、現在、復旧に努めているとのことです。つきましては、同地域に滞在または訪問予定の方は、今後の報道等をご確認いただき、不要不急の外出をお控えください。以上(現地午後9時37分/三浦良一記者、写真も)

編集後記 7月13日号

みなさん、こんにちは。米国の風刺・パロディー漫画雑誌『MAD」(マッド)』が、現在発売中の2019年8月号をもってニューススタンドと一般書店での発売を中止すると発表した。今後はコミックストアか郵送による定期購読で買えるが、10月に発売される第11月号からは新しい内容はなく過去のハイライトを再掲載するだけになる。年末には新しい内容を入れた特別号を出すが定期刊行物としては事実上の廃刊で、67年の歴史に幕を下ろす。同誌は1952年にハーベイ・カーツマン氏とウィリアム・ゲインズ氏によって漫画本として創刊され、1955年に現在の雑誌の形式に切り替えられた。マスコットであるアルフレッド・E・ニューマンが表紙を飾り続け、おもに政治とポップカルチャーを取り上げた風刺・パロディー雑誌としてベビーブーマー世代の圧倒的支持を受けた。全盛期の1973年には280万部を誇ったが、近年は読者離れがひどく、トランプ大統領が民主党大統領候補のピート・ブーテジェッジ氏(37)を「マッド・マガジンのマスコットに似ている」と揶揄したが、ブーテジェッジ氏がなんのことか分からなかったことがニュースになったばかり。2015年に特別編集長を務めたパロディー音楽家で知られるアル・ヤンコビック氏は「本当に残念だ。さらば、アメリカが生んだ史上最高の雑誌よ」と廃刊を惜しんでいる。共同創刊者で生存していた一人、ハーベイ・カーツマン氏が死亡した1986年にマジゾンアベニューの同誌編集部に取材に伺ったことがある。シニカルなねずみが主人公の「マウス」が出たばかりの頃で、これは面白いと当時の編集長が見せてくれたのを覚えている。廃刊の報が流れて3日目、ニューヨークのコミック専門店「フォービドン・プラネット」にはまだひっそりと最終号と今回本紙の表紙で使った「トランプ特集」がたてかけてあった。アニメ化で巨大に成長したDCコミックやマーベルの出版物やムックが溢れんばかりの店内で、反骨精神を貫いてきた「MAD」マスコット、アルフレッドは、店内の片隅で静かにいつもの「笑顔」を見せていた。それでは、みなさんよい週末を。(「週刊NY生活」発行人兼CEO三浦良一)