日・韓・朝という歴史的難問

西村 秀樹・著
三一書房・刊

 ロサンゼルスにはチャイナタウンやコリアンタウンが存在する。オリンピック・ブルバードの両脇のショッピング・モールはハングル(韓国語)で溢れ、アメリカ人さえ、その店が何を売っている商売なのか分からない。
 現在、日本は北朝鮮、韓国とも厳しく対立している。北朝鮮は解決不能と思える拉致問題や核・ミサイル開発で対話はゼロ。韓国とは竹島領有、従軍慰安婦や朝鮮人労働者徴用問題、半導体材料の輸出規制強化と先鋭化するばかり。なぜ、こうも日本と朝鮮・韓国は複雑でややこしいのか。

NY発信のアートと文化を支援

アートコンサルタント
下田 幸知さん

 ブルックリンのパークスロープ地区に日本文化と芸術を発信する場所としてJコラボという施設がある。今月27日、そこに併設する形で、ファッション、化粧品、ヘア、ネイルアートなどが入居するブルックリン・ビューティー・ファッション・ラボ(BBFL)が内装や展示販売商品を一新して生まれ変わる。日本全国から送られてきた現代的な日本の商品やファッション、携帯ケースから手ぬぐいまで並び、さながら「日本文化のマーケットプレイス」のような賑わいだ。日本の地方、その土地を代表する名品や工芸品がところ狭しと並ぶ。マンハッタンから近いとは言えないこの場所に、京都市長を始め、日本全国の地方自治体の視察があとをたたない。最近では地元ブルックリンの住民やコミュニティーの溜まり場、日本文化との接点としての役割も果たしている。この場所を使って日本文化発信の拠点にしたいと言う現Jコラボ代表の佐賀関等さんに、ポンとこのビルを提供したのがアートコンサルタントの下田幸知さんだ。
 下田さんは1964年にそれまで東京で勤めていたコングロマリットの秘書を 辞めてパーソンズ・スクール・オブ.デザインに留学、グラフィックデザインを学んだ。2年後に移ったNY市立大を卒業後、コルベット百貨店の宣伝部に就職して広告作りに従事した。「でもね、百貨店の宣伝部の仕事は、当たり前だけど百貨店の仕事の枠を出ない。ディレクターにでもならない限りどのポジションに行っても堂々巡りなのよ」と見切りをつけて自立を決めた。エージェントがついてイラストレーターとして活動を始めると、日本の友人に贈るために作ったクリスマスカードが売れ、大手スーパーのA&Sや書店バーンズ&ノーブルで販売された。そのころ彫刻家の下田治と結婚、80年代にはコマーシャルアートから日本で美術館ブームとなり、日本から美術関係の仕事が殺到し、コンサルタントとして多忙を極める日々を送った。日本の大手新聞数紙にもニューヨーク通信を書いた。2000年に夫の治が亡くなったあとは、アート活動に戻り、画家の西田翔冠さんと共に芸術交流拠点を作ったのが現在のJコラボの前身だ。下田さんによると「ニューヨークで活動する日本人作家は、発表の場所を探すのに苦労することが多い。日本に向けて自分の作品を発信する手段を確保するのも難しい」という。そんな芸術家たちにビルの部屋を住まいやアトリエとして提供したり、食事を作ったり、若手作家を支援してきた。自らも創作活動に励み、今月27日までチェルシーのプリンス・ストリート・ギャラリー(西25丁目530番地4階/Prince Street Gallery 530 wsest 25th St./電話646・230・0246)で個展「最後の晩餐2019」を開催中だ。レオナルド・ダヴィンチ没後500年を記念し制作した新作15枚余りの大作が並ぶ。
 ダヴィンチの最後の晩餐は誰もが口を閉じているが、手の動きだけは饒舌だ。下田さんは、絵から人物を抜き、食卓の食べ物を抜き、引き算のアートを油彩で表現している。最終日27日夕には個展会場で作家トークを予定している。
「私の運命は、ホラを吹いていればそれが現実になるのだとか翔冠さんが私のことを言ってましたが、確かに、ライフ・イズ・ア・シリアス・ジョーク(Life is a serious joke=『人生は大真面目な冗談』)かもしれないわね」といってサングラスの中で目を細めた。  
 (三浦良一記者、写真も)
     ◇
■BBFLオープニング=
 ブルックリン・ビューティー・ファッション・ラボ(BBFL)のグランド・オープニング・フェスティバルは27日(土)と28日(日)の両日ともに午後1時から午後6時まで開催。場所は BBFL & J+B Design( 300 7th Street Brooklyn, NY 11215  電話・ 347・ 987・3217)詳細はE-Mail : jplusbcafe@gmail.com

原爆討論の課題図書、『ある晴れた夏の朝』(偕成社)

第65回青少年読書感想文全国コンクール
中学の部締め切り9月30日
在米小説家 小手鞠さん執筆

 ニューヨーク州在住の小説家、小手鞠るいさんの小説『ある晴れた夏の朝』(偕成社)が第65回青少年読書感想文全国コンクール(中学生の部)の課題図書として選出された。
 同書は、アメリカの8人の高校生が広島・長崎に落とされた原子爆弾の是非を肯定派・否定派に分かれて公開討論(ディベート)する様子が描かれる。登場人物は主人公である日系アメリカ人のメイをはじめ、アイルランド系、中国系、ユダヤ系、アフリカ系とルーツはさまざま。日米双方から見た歴史について、また、アメリカの高校生がディベートのために資料を準備し、どのように議論をするのかなどを知ることができる。
 公益社団法人全国学校図書館協議会(SLA)と毎日新聞が主催する同コンクールは、小学生から高校生までを対象に読書活動の振興等を目的に1955年から毎年開催されている。対象図書は「課題図書」と、自由に選べる「自由図書」があり、近年は毎年400万編を超える応募がある。
 感想文は個人応募ではなく学校単位での参加となるが、海外にある日本人学校からの応募も可能。海外日本人学校、補習授業校、私立在外教育施設在籍者の応募は9月30日(月)必着でSLAにて受け付ける。現地校のみの在籍者の応募は不可。入賞者は在籍校を通じて本人に通知され、来年2月に毎日新聞などの紙上で発表される。
 著者の小手鞠さんは「来年東京で開かれる入賞者受賞式典には著者として出席するが、同じニューヨークからの入賞者がそこにいたらうれしいですね。いまからでも間に合うのでぜひ読んでほしい」と話している。
 小説『ある晴れた夏の朝』は小手鞠さんによると「本書は、純粋なフィクションで、人物、場面、会話など、すべて私の創作物」なのだという。
 そうであるならば、なお一層のこと、米国の現地校と日本語補習授業校に通う在米の日本人中学生たちこそ「事実としての原爆の是非を問う教室の現場の体験」を伝える絶好のチャンスではないか。在米読者ならではの現実の教室や生活体験を通した視点で感想文を書くならば、読み応えのある肉厚の読書感想が書けるはずだ。本の帯にある通り、あなたが、9人目の登場人物として論を展開してはどうか。 (三)
 応募要領など詳細はウェブサイトwww.j-sla.or.jp/を参照。

ゴスペル歌手TiAさん、チャンスは自分で掴む

NYエンタメの会で講演

 俳優の大久保全也とダンサーの前澤珠理が主催する「NYエンタメの会」が20日午後7時からグローバルラボで開催された。今回は実力派ゴスペルシンガーTiAさんが米国ツアーの合間をぬって駆けつけた。彼女はニューヨークタイムズ紙の1面に取り上げられたり、「クーリエ・ジャポン」誌の「世界が認めたジャパニーズ6人」として、大谷翔平選手らと共に選出されたりと、圧倒的な歌唱力で数々のコンペティションで優勝を勝ち取ってきた経歴を持つ。
 講演では、ハーレム在住中に悲しみから抜け出すきっかけを与えてくれたゴスペルとの出会い、アメリカ最大級のマクドナルド・ゴスベル・フェス出場時の話を交え『自分らしさを大切にする』気持ち、NYタイムズ1面で取り上げられた時の「自分自身でチャンスを掴む」心構えの大切さなどを伝えた。日々周りで色々な出来事が起こる中で、彼女はプラスの出来事もマイナスの出来事も、出逢った事自体に「感謝」するという。
 最後に、オーガナイザー大久保全也から「これからの野望は?」という質問に、「アメリカでアジア人のGospelシンガーとしてアルバムを出したい」と答え、続いて「それを実現するには多くの障害を乗り越えないといけないのは承知の上で、できる可能性が1%でもあるのならそこに賭けてみたい」と締めくくった。
 TiAは6月5日にソニーミュージックからデビュー15周年のニューアルバム「Miracle」を7年半ぶりにリリースしたばかりだ。(写真・文・植山慎太郎)

皆がくれた勇気 The Lion King

 1994年のディズニー・ヒット・アニメ「ライオン・キング」の実写風リメイク版。オリジナルのアニメはもちろん、97年に初公演されたブロードウェー・ミュージカル、その海外版など最も人気のあるデジズニー作品だけに本作も興行成績は大ヒットが確約されている。
 コンピューター・グラフィックにより、背景から登場する動物まで、まるで実写映画を見ているような完成度で、ディズニーネイチャー」(ディズニーの動物ドキュメンタリー部門)作品に匹敵するほどのいわゆるバーチャル・シネマトグラフィーでの成果だ。
 ボイスキャストはサバンナを治める王であり主人公シンバの父ムファサに94年版と同じジェームス・アール・ジョーンズ。シンバにはコメディアンでラッパーのドナルド・グローヴァー。幼なじみでシンバの将来の妻となるナラにビヨンセ・ノール。音楽はオリジナル版のハンス・ジマー、エルトン・ジョンらに加え本作ではビヨンセも重要な役割を担っている。監督は「アイアンマン」シリーズ1と2のジョン・バヴロー。 
 シンバは生まれた時からプライド・ランドの王ムファサの後継者として動物たちの平和を守る王の心得を父親に教えられてきた。しかし、遊び盛りのシンバにはまだピンと来ない。それをいいことにムファサの弟でシンバの叔父にあたるスカーはムファサを亡き者にするためシンバを巻き込み自分が王となる策略を実行に移す。
 物語そのものはオリジナル版とほとんど同じ。前半は暗いムードだが故郷を追われたシンバを助けるイボイノシシのプンバァとミーアキャットのティモンのコンビが登場するやいなや一気に明るくなり爆笑の連続。落ち込んでいるシンバに「どうにかなるさ」と勇気づける「ハクナ・マタタ」の歌はいつ聞いても楽しくなる。
 ディズニー・アニメの実写版は今年「ダンボ」「アラジン」が公開され、どちらもオリジナルにはなかった物語展開やキャラクターの描写があったが、ライオン・キングにはそれがほとんどない。期待外れと感じるかオリジナルのままがいいと満足するかは見る人次第だ。1時間50分。PG。 (明)

■上映館■
Regal E-Walk Stadium 13 & RPX
247 W. 42nd St.
AMC Empire 25
234 West 42nd St.
AMC Loews 34th Street 14
312 W. 34th St.

ミステリー番付全制覇

アンソニー・ホロヴィッツ・著
創元推理文庫・刊

 編集者である「私」は世界的著者アレン・コンウェーの最新作にして、名探偵アティカス・ピュントシリーズの最新刊を読み始めた。これを読み終わったあと、「私」の人生を左右する大事件が起きるとは知らずに…。
 2019年版「このミステリーがすごい!」「ミステリが読みたい!」「本格ミステリ・ベスト10」で全て1位を獲得したアントニー・ホロヴィッツの作品「カササギ殺人事件」はこのようにして始まる。今作は編集者である「私」が主人公であるにも関わらず、冒頭の数ページを過ぎると架空の著者が描く作品が200ページに及んで語られる。
 この架空の著書こそ『カササギ殺人事件』であり、その内容は20世紀後半のイギリスを舞台にしたミステリー作品で、一見書き古されたような館物の殺人事件はミステリー小説を愛読する者にとって退屈に感じるかもしれない。しかし、アガサ・クリスティーを彷彿させるような文章で描かれる多種多様な被疑者や緻密に描かれた謎の散乱、それにナチス捕虜経験を生き抜いた老紳士の探偵が織り成す世界観は読む者をどんどん引き込む魅力をはらみ、ページを繰る手が止まらなくなる。そうしてあと最終章の謎解きだけというところまでたどり着き、とうとう犯人がわかるところでページを繰るその瞬間、今作のツイストが待ち受けている。そこにはミステリー小説の最も重大な解決編が抜けており、そこで初めて本編が始動する。
 今作を読むものはここで一度必ず動揺し、前のページで読み落としたところがないかどうか調べることだろう。実際、本編の主人公で架空の小説の編集者スーザン・ライランドも同じ動揺を見せる。彼女は生粋の読書家であり、特に『カササギ殺人事件』のようなフーダニット系のミステリー小説に目がなく、このように解決編が提示されていないと落ち着けない節を見せる。そんな彼女が苛立ち、自力で作品内の謎を解こうとするなど、共感できる行動が読者の気持ちを代弁してくれているようで、途中参加したような登場人物でもきちんと主役として読むことができる。だが、ライランドや我々読者が望む物がそう簡単に手に入るわけもなく、このすぐあと著者アレン・コンウェーが不審死を遂げたと知らされる。こうしてライランドは予期せぬ作家の死を調べることになり、原稿の最終章の行方がわらぬまま、物語の内で終わらぬ、現実の殺人事件へと巻き込まれていく。
 館物の殺人事件に始まり、未完の原稿を残したまま死んでしまう作者など、ミステリー作品にありきたりな展開がオンパレードである。物語の中に物語を組み込む話法自体、決して新しいスタイルだとは言えない。しかし、この作品を読み終わり、一番印象に残ったのは真犯人の動機にあった。今作を読もうと思っている者の好奇心を踏みにじってしまう怖れがあるので言えないが、この本を読み終わったあと、ぜひこの問いに答えてほしい。
 作品とは作者のものであるのだろうか、それとも大衆のものであるのだろうか。 (多賀圭之助)

【今週の紙面の主なニュース】(2019年7月20日号)

今週のデジタル版は表紙をクリック↓

(1)引退後に必要な金額は170万ドル             1面
(2)NY流?フランス流の粋な革命               1面
(3)夏のビジネスカジュアル・スタイル              3面
(4)フランク・ロイド・ライト建築世界遺産         3面
(5)NY真夏の大停電その時マンハッタンは            5面
(6)寿司バーガー登場!22ドルで売り出し          10面
(7)iiwiiオンライン美術館NYで展覧会           12面
(8)人参ホットドッグを小林さんがPR              12面
(9)自己のファインアートを見つめる菊池あをな 15面
(10)宇宙飛行士の星出さん日本クラブで講演         16面

退職後に必要なお金

米国人の希望的金額はできれば170万ドル

 米国人は退職後、170万ドル(約1億8300万円)が必要と考えていることが金融サービス会社チャールズ・シュワブの調査で分かった。しかし、同社の退職プランサービスのマネージングディレクター、ネイサン・ボリス氏は「ほどんとの人がその数字にはたどり着かない」と述べている。
 調査は個人年金制度401kに積立をしている全米の1000人を対象にしたものだが、積み立てているのは大半が給与の10%未満、平均で年8788ドル(約95万円)で、170万ドルにはまったく追いつかないという。
 従業員給付研究所(EBRI)の今年1月の調査(現役労働者と退職者各1000人調査)によると米国の勤労者の3分の2は退職後も快適な暮らしができると確信しているという。しかし、実際に計算していたのは42%で、また医療費にどれくらいの医療費がかかるかまで計算していたのは3人に1人だった。
 401k年金の最大の取扱会社であるフィディリティーによれば、現在401kの平均残高は約29万7700ドル(約3200万円)。過去10年間で466%増加したという。
 快適な引退生活を送るために必要な金額は個人で違うが、65歳退職時に受け取れる金額を50万ドルとした場合、年平均6%の利回りがあるとして、20代で始めた場合、毎年年収の10%から15%を積み立てる必要がある。45歳以上で始めた場合は35%以上積み立てていく必要があるとボリス氏は指摘している。
 日本では金融庁が6月、95歳まで生きるには夫婦で約2千万円の金融資産の取り崩しが必要になるとの試算を示した。公的年金では足りないため若い頃からの資産形成など「自助」を勧める内容であったことから野党側が与党を批判、7月4日に公示された参院選の争点のひとつともなっている。

NY流? フランス流

 ニューヨークにはまだ、こんな粋な叔父さんが街を闊歩しているんだなあ。フランス革命のきっかけとなった1789年のバスティーユ牢獄襲撃事件から230年目の14日、マンハッタン五番街とレキシントン街に挟まれた60丁目でパリ祭が賑やかに開催された。フランスは、ファッションの世界でも「着こなし」の革命を世界にもたらしてきた。叔父さん、カメラを向けるとサッと敬礼。フランス義勇軍の魂が襟を立てたままのレジメンタルタイから漂う。

夏場のビジネススタイル

イケメン男子服飾Q&A 70

 いよいよ夏本番ですね。日本ほどではないですが、ビジネス・カジュアルということで上着を脱いでシャツ姿となることがオフィスの内外に関わらず多くなってまいります。今回は夏場のビジネス・スタイルについていくつかポイントを記しておきたいと思います。
 もちろん、夏場であっても理想はきちんとしたスーツ姿なのですが、タイ(ネクタイ)をしないケースが多くなってくるでしょう。 
(1)まず注意をしていただきたいのはシャツなのですが、日本で売られている「クールビズ」(こんな英語はありません・笑)対応と言われている襟や袖のステッチ、またボタンホールなどが紺、黒、赤など色付きであったり、ボタンが色付きであったりするものは適切とは言えません。日本だけ許されている独特な装い、習慣だからです。もしボタンダウン・シャツがお好きでしたらそれで全く構いませんが、ごく普通の真っ当なモノであればそれで必要充分なのです。ボタンダウン・シャツはニューヨーク生まれの、文字通りアメリカを代表するビジネスシャツで皆様もよく御存知のアメリカン・トラディショナルとかクラッシック等と呼ばれているブランドであればまず大丈夫です。
(2)ベルト。上着を脱いだ時に意外に目立つのがベルト。ベルトの穴がくたびれていないかチェックしておきましょう。ベルトと靴の色を合わせることも基本中の基本です。加えて、もし靴がバックル付きであれば、ベルトの金具の色と合わせておくとスッキリ、スマートです。
(3)スラックス。夏場のビジネス・スタイルにおいて最も重要なアイテムです。コツはヒップ・サイズを最重要視して、ウエストを調整するようにするとスッキリ履きやすくなります。アメリカで売られているスラックスにはウエスト部分の縫い代がたくさんあってウエストを出して大きくすることが可能なのです。スラックスのシルエットはアメリカでも細身が多くなっていますが、股上浅めで結構ですが、いわゆるテーパードと言わている、腰から裾にかけて徐々に細くなっていくものではなく、細身で結構なのですが、なるべく裾幅と膝幅にあまり差がないシルエットのものをお選びください。膝と裾の幅に大きな差がないと膝の位置を高く見せる効果があり、股上が浅くとも脚を長く見せてくれるのです。加えて、裾幅は19〜20センチ程度のものが多いようですが、この様なモデルでは裾をあまり弛ませない方が、つまり長めではない方がスッキリ脚長に見せることが出来るものです。是非一度、姿見で、しかも3メートルくらい離れて御自分の全身をじっくり他人目線で御覧になられてみてください。 
 それではまた次回。
けん・あおき/日系アパレルメーカーの米国代表を経て、トム・ジェームス・カンパニーでカスタムテーラーのかたわら、紳士服に関するコラムを執筆。1959年生まれ

フランク・ロイド・ライト 米国内8か所の建築物、世界遺産に承認

 ユネスコは7日、アゼルバイジャンの首都バグーでの世界遺産委員会で、建築家フランク・ロイド・ライト(1867〜1959)が手掛けたソロモン・R・グッゲンハイム美術館を含む米国内8か所の建築物を世界遺産として承認した。
 これまで20世紀の現代建築としてはフランス人建築家ル・コルビュジェの作品が登録されているが、米国人としてはライトが初めて。同委員会は今回登録されたライトの建築物について「大学中退後に移住したシカゴの影響や自然豊かなプレーリー様式、さらに現代主義者としての創造的な試みなどの経歴が多種多様な住宅や美術館の建築に活かされている」と伝えている。
 今年の同委員会開催前までに世界1092か所が同遺産に登録済みだが、米国内には23か所と少なかった。
 トランプ大統領は今年初旬、同機関がヨルダン川西岸のヘブロンをパレスチナの遺産として承認したことを「反イスラエル主義」として、イスラエルと共にユネスコ正式離脱を決定した。米国は11年以降、同機関への資金援助を停止しており、会議の参加は認められているが、今年のライトの建築物を含め世界遺産認定の権利はない。