アニメ「千年女優」 全米700館で上映

 今は亡きアニメ監督兼漫画家、今敏(こん・さとし)のアニメ映画『千年女優』(2002年)が13日(火)から、全米700館以上の劇場で公開される。英語字幕に加えて英語吹き替え版も新たに製作され、19日(月)から上映される。
 「千年女優」のストーリーは、伝説的な銀映スタジオが老朽化により取り壊されることとなり、それを機にフィルムメーカーである立花源也は、彼のアシスタントでありカメラマンでもある井田恭二とともに、30年前に引退して人里離れた場所に住む大女優の藤原千代子のインタビューに出向く。千代子が彼女の人生を振り返るなかで、立花と井田は彼女の記憶の中に引き込まれていく。今監督ならではの記憶と現実が混在する世界。今監督はほかに「パーフェクトブルー」「東京ゴッドファーザーズ」「パプリカ」などの作品を手がけている。
 上映劇場などの詳細はウェブサイトwww.fathomevents.com/events/millennium-actressを参照。

【今週の紙面の主なニュース】(2019年7月27日号)

今週のデジタル版は表紙をクリック↓

(1)京都アニメ放火事件米に衝撃 1面
(2)猛暑の夏到来        1面
(3)和モダン融合対談      2面
(4)ジャパンカッツ開幕     3面
(5)月面着陸から50年      5面
(6)三原綱木さん大使表敬    10面
(7)ウーマン下田幸知さん    15面
(8)原爆討論の課題図書     16面
(9)NYエンタメTiA       22面
(10)映画ライオンキング     22面

京都アニメ放火事件に衝撃、米国から支援続々

 18日に発生し34人の死者を出した京都アニメーション(京アニ)の放火事件は海外でも大きく取り上げられた。米国ではAP通信社はじめ、ニューヨークタイムズ、ワシントンポストなどの主要紙、CBSなどの全米ネットワークやCNNなどケーブル局、チャンネル12ウエストチェスターなど地方局でも速報された。ニューヨークタイムズは17日に続報も掲載し「涼宮ハルヒの憂鬱」「聲の形」など京アニが手がけた作品を紹介、「優れたスタジオ」と評した。
 事件はインターネットを通じ、世界中のアニメファンに衝撃を与えた。カリフォルニア州サンディエゴでは18日から20日まで第50回コミコン・インターナショナルが開催されていた。米国で京アニはスタジオ・ジブリほど有名ではないが「フリー!」「けいおん!」などの熱心なファンがいる。「聲の形」がこれまで見たアニメで一番だと語る男性は「本当にひどいことが起きた」と語った。スタジオジブリの元社員で現在は怪談作家として活躍する木原浩勝さんはイベントで「京アニ頑張れ」とファンらとともに声援を送った。
 テキサス州ヒューストンに本部を置き、「けいおん!」のブルーレイディスクなどを販売するアニメ配給会社センタイ・フィルムワークスは事件後たたちにクラウドファンディングで京アニへの募金を開始。同日当初の目標額50万ドル(約5400万円)を超え、22日現在5万6000人以上が参加し、約196万ドル(約2億2千万円)を集めた。

米アニメ業界が追悼声明
アップル社のCEOもおくやみ

 京都アニメーション事件でセンタイ・フィルムワークスが集めたクラウドファンドの募金にはイラストレーターやフォトショップなどのソフトで知られるアドビシステムズの5万ドルなども含まれている。
 アップルのティム・クックCEOは「京アニのアーティストたちは作品を通して世代を超えて世界中に喜びを与えました」とツイート、最後は「心よりご冥福をお祈りいたします。」という日本語で締めくくっている。個人ではこのほかスーパーマリオの声優のチャールズ・マーティネーシさん、アニメ紹介サイト「アニメ・ニュース・ネットワーク」のマイク・ツール編集長、元フィギュアスケート選手のジョニー・ウィアーさんなどが追悼するとともに応援のメッセージをツイートした。
 アニメコンベンション組織では,ニューヨーク最大のアニメNYC、北米最大のオタコンなどもツイッターで犠牲者を悼むとともに応援のメッセージを送った。アニメなどの動画配信サイトのクランチロール、アニメ専門チャンネル「カートゥーンネットワーク」のアニメ枠「トゥーンナミ」のファンサイト、ジブリ映画の上映などで知られる映画配給会社GKIDSなども同様の声明を出した。

水の都ベニスで洪水。地球温暖化で海面が上昇

「水の都ベニス」の水は旅行者をびっくりさせることがある。3泊したベニス(ベネチア)での最終日、5月18日は朝からシトシトと雨が降り、傘をさして出かけたが、まさか街の真ん中で膝下まで浸かる洪水を体験するとはまったく予測しなかった。
 ヨーロッパ独特の趣ある古い石造りの建物を縫って通る石畳の細く曲がりくねった道。まるで中世のイタリアに足を踏み入れたようなベニスでの1日目は、雲ひとつないコバルトブルーの空を楽しむ。アカデミア美術館をゆっくりとまわり、14世紀から18世紀にかけてのヴェネツィア派やトスカーナ派の作品、特にティツィアーノの「ピエタ」やティントレットの「聖マルコの奇跡」などを鑑賞した。ベニスもローマやフローレンス(フィレンツェ)同様、カトリックの文化を強く反映させ、ルネッサンス美術も含めてヨーロッパ文明の根底が学べる。
 2日目はホテルに近いサン・マルコ寺院から観光を始め、鐘楼からベニス一帯を眺め、ドゥカーレ宮殿ではティントレットの世界最大の油絵と言われる「天国」やヴェロネーゼの絵画を見て歩いた。さらに、ドゥカーレ宮殿の地下に降りて観光名所となっている牢獄を見学した。宮殿と「溜息の橋」でつながっているこの地下牢獄は満水時には水牢となり、「溜息の橋」を渡って牢獄に入ると2度とこの世に戻れないと言われたとのこと。「溜息」とは、橋の小窓からこの世との別れを惜しみ溜息をついたという逸話によるもの。
 ベニスの象徴みたいなゴンドラをはじめ、船がベニスの主な交通手段であることが終点のサンタ・ルチア駅から一歩出るとよく分かる。中世のままの石畳の通りは狭くて普通車の入る余地がない。だから観光客は駅に到着すると行き先を確かめてから、近ければ歩き、遠ければ「乗合船」を使う。
 ベニスの最終日はあいにくの雨。傘をさしてアカデミア橋を渡ってスクオーラ・グランデ・サン・ロッコ(大同信組合)から観光を始めた。16世紀のルネッサンス様式の建物で、天井はティントレットの70点余りの絵画がある。「受胎告知」「嬰児虐殺」「ブロンズ蛇の奇跡」「最後の晩餐」「キリストの磔刑」のほか、ティツィアーノの作品もある。その近くにはヴェネツィア派の作品が飾られているスクオーラ・ダルマータ・サン・ジョルジョ・デッリ・スキアヴォーニ(同信組合)があるが、結婚式が行われていて、観光客は入れなかった。
 人が通れるだけの細い石畳の道を魚市場まで歩いて近くのレストランで昼食を取り、「リアルト橋」を渡って、もと来た道をサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会まで歩いた。ベニスの象徴とも言えるヴェネツィアン・バロックの白い大理石の八角形の中にある壁画と天井は、「カナの結婚」「カインとアベル」「イサクの犠牲」など、ティツィアーノとティントレットの絵で飾られている。
 雨は夕方になっても止まない。ベニス最後の晩なので、ディナーの後は9時からサン・ヴィダル教会でヴェネツィア室内合奏団によるヴィヴァルディのコンサートに出かけた。途中、サイレンが鳴り、ゴミの回収が行われていたが、何の事か分からず、ともかくコンサート会場に足を速めた。本場で聴く「四季」の演奏にすっかり魅了されて教会を出たが、雨はまだ降る一方。100メートルほど歩くと、深さ15センチ程の水たまりに出くわした。旅行者たちは立ち止まってどうしようか考えている。平気で歩くのはビニールやゴムの長靴をはいた人たちのみ。靴を脱いで裸足で歩く若い旅行者もいるが、私は裸足で怪我をするのも否、靴を台無しにするのも否。洪水のない道を探して歩くが、どこへ回り道しても洪水止めとなり、夜は更けていく。さまよい続けるうち、まだ開店している雑貨屋でビニール長靴を売っているのを見つけ、「天の助け」とばかりに9ユーロ(11ドル)を払ってサイズを選び、靴の上から履いた。底には滑り止めのゴムがついていて、水は一滴も入ってこない。洪水は一か所や二か所だけでなくホテルまでの道のほとんどが洪水だった。やっとホテルにたどり着いて、この「災難」をフロントで捲し立てたら、こんなことは日常茶飯事とばかりに夕方聞いたサイレンは洪水注意報、ゴミは洪水のまえにの回収されいることなどを淡々と説明された。
 帰宅して調べると、ベニスでの洪水問題は温暖化による海面上昇と地下水の汲み上げによる地盤沈下だ。10月から12月にかけて低気圧の影響で雨が降りやすい。かつては冬の風物詩だった高潮被害だそうだが、近年では6月や8月など一年を通して起きるようになった。ベニスには「モーゼ(Modulo Sperimentale Elettromeccanicoの頭文字をとったもの)」と呼ばれる2003年に始まった防潮堤の建設プロジェクトもあるが、汚職事件や財政的な問題、構造上の問題などで進行していない。
 2018年の国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書によると、1901年から2010年までに世界の海面は平均19センチ上昇。このまま地球温暖化が進めば、2100年までに水位が140センチから150センチに上がりベニスは海中に沈むという説もある。
(ワインスタイン今井絹江、写真も)

猛暑の夏到来

 米国東海岸一帯は20、21日の週末、体感温度華氏107度(摂氏42度)という記録的な猛暑に見舞われた。ニューヨーク市のクイーンズとブルックリンの広域で電力会社の判断で5万世帯で停電となった。予定されていた各スポーツ競技なども中止となった。
 ビル・デブラシオ・ニューヨーク市長は17日記者会見を開き、プール時間の延長を含む今夏の猛暑対策を発表した。
 今年は、エアコンが完備された誰でも利用できる公共施設が約500か所オープンし、最寄り駅や営業時間はmaps.nyc.govで確認できる。同市営プールに関しては、金曜から日曜に限り利用時間を午前11時から午後8時に延長。また同市環境保護局は、主に歩行者が多い地域に水飲み場を増設することを計画している。
 そのほか猛暑時の注意点は次の通り。急激な体温変化で身体にショックを与えないよう氷のように冷たいシャワーはなるべくさける。道路の消火栓を開けて水浴びをする場合は最寄りの消防署で消火栓蓋を調達しいざという時に水圧を保てるよう使用する水量を制限する。充分な水分補給は必須だが、カフェイン入りやアルコール飲料は脱水症状を引き起こすため避ける。熱中症の疑いや水分補給や日陰で体調が改善しない場合は、直ちに911に連絡する。(関連記事4面に)

マンハッタンの市営プール
■Hamilton Fish Park
場所: Pitt and Houston Sts.
1936年6月24日にオープンした歴史あるロウワー・イーストサイドのプール。
52年に開催されたヘルシンキオリンピックの前にはアメリカの
オリンピックチームが練習のためにここを使ったという。
■John Jay Pool
場所:77th St. & Cherokee Place (East of York Ave.)
■Lasker Skating Rink/Pool
場所:セントラルパーク内
110th St. & Lenox Ave. 地下鉄2番または3番の110丁目駅近く。
公園の入口から入り、水辺の遊歩道を歩くと、緑に囲まれた巨大な円形のスイミングプールが現れる。
水遊びにはしゃぐ子供たちや、日光浴をする若者などでいつも混雑している。=写真=
■Tony Dapolito Recreation Center
場所:1 Clarkson St. (7th Ave. South & Hudson St.)
屋外プールは無料。キース・へリングが壁画を描いたことでも有名。

オープン時間など詳細はウェブサイトを参照。
www.nycgovparks.org/parks/

和モダンの融合表現 中里博恒×大石育子

対談:陶芸とテーブルコーディネート
NYで来春コラボ展示会

大石育子(おおいし・いくこ)インテリアコーディネーター、食空間プランナー、英国式紅茶インストラクター。食空間プロジェクト(FSPJ)認定サロン、初級ディプロマ発行校Atelier de Ikuko New York主宰。「東京ドームテーブルウエア・フェスティバル2019」特別審査部門入選。日本クラブ・カルチャー講座講師。マンハッタン在住。 https://atelierdeikukony.amebaownd.com/

日本で双子の陶芸家として人気の中里博彦さんと中里博恒さん。兄の博彦さんが染付けをして弟の博恒さんが器を作る。現在有田に工房を構え、陶房心和庵(こよりあん)で三川内焼の作品づくりに専念する。2人の作品は、日本各地の百貨店で展示され、さきごろ銀座SIXのFENDIのオープニングや服飾デザイナーの丸山敬太氏とのコラボでも話題となった。来春、中里兄弟とニューヨークでインテリアコーディネーターとして活動する大石育子さんが、日本クラブで「器とテーブルコーディネート」をテーマにしたコラボ展を開催する。2人に展示会に向けた抱負を語ってもらった。(聞き手、本紙・三浦良一、写真も)

来春の展示会は、大石さんがインテリアコーディネーターとして講座を持つ日本クラブで開催を予定している。大石さんと中里さんの共通の知人の引き合わせで実現する和食器の伝統と洋食テーブルコーディネイトとのクロスオーバーの世界が表現されるという。
博恒「今回こういうご縁をいただき、ニューヨークに導いていただいて期待に胸が膨らんでいます」
大石「実はいろいろ無理難題な注文を私がつけてるんですよ(笑)。テーブルセッティングの立場と器作りの立ち位置は、当然ちょっと異なっていて、伝統400年の中で作り出されてきた造形美と私がアメリカの生活の中で見ているものとのカルチャーの融合と衝突を実感しながら、こういうのが欲しいっていうものをどんどんとお願いしてるんです」
博恒「たとえば、ゴブレット。冷酒を飲むぐい飲みなんかはよく作るんですが、脚のついたものは難しくて今回初めて作りました。焼き物は、窯に入れて焼いてみないと分からないので大きいとステムが曲ったり倒れたりリスクがあるんです。リムの広い皿も手作りですから磁器で和の形を洋の器に落とし込むのに本当に技術を必要とします」
大石「テーブルセットでも、日本ではたぶんそういう使い方はしないでしょうというのを結構提案したりしてます。たとえば小皿をコースターとして使ったり、お皿をトレイのように使ったり、大きなお皿に小石を敷いたりなど、和洋折衷をクロスオーバーと言いますが、日本人のそれをはるかに超えていて、私にしかできないらしく、よく「黒船和モダン」と呼ばれています(笑)。先日、九州にもお訪ねしてお兄様にもお目にかかって、お二人の作品作りに込める情熱に触れたんです。九州は外来の文化が古くから入っている場所なので、純和風からモダンなテイストにも寄せていきやすいという印象を持ちました。日本のテーブルセッティングはどちらかというとフラット、平面的ですが、こちらは、アフタヌーンティーのお皿のように立体的。日本で見つけたお一人様用アフタヌーンティーのようなディスプレイも可愛いらしくてアメリカでは新鮮です」
博恒「来年春の展示会は、テーブルとのコラボレーションなので大石先生とご相談しながら作品の方をブラッシュアップしていきたいと思います。また、せっかく世界の文化の中心であるニューヨークでやるのですから、新しい釉薬を使ったオブジェやアート的なものや、絵柄が分かりやすい全体的に柄の入っているものやメタリックな黒を基調としたものなど新しいものにも挑戦してみたいです」

中里博恒(なかざと・ひろつね)1975年、長崎県佐世保市の三川内焼窯元「松雲窯」の双子の次男として誕生。高校卒業後、中里廣松、田沢大助氏に師事。三川内焼の伝統的な風合いも継承しながら、現代人の生活スタイルに合わせた器づくりを目指す。koyorian@me.com

大石「日本の展示会などよくリサーチしますが、今は黒い食器がとても多いですね。陶器で黒っぽいものはよく見かけますが磁器で黒というのはなかなかないです。中里さんの作品は、炭っぽい感じがとても素敵ですね。コーヒーカップや紅茶のカップなど。紅茶は色が大切なので内側は白くしてくださいとか、黒い器でも裏側は白くしてリバーシブルで使えませんかとか、ニューヨーク限定のものもぜひ作っていただきたいとか注文は盛り沢山(笑)」
博恒「今回、打ち合わせに来てとても刺激になりました。兄も私も日本の文化を学んできた訳ですが、アメリカの文化に触れ、日本人の感覚もお持ちの大石先生のお人柄にも触れられてとてもラッキーです」
大石「日本クラブは、米国人の陶芸マニアの人たちが足を運ぶ場所でもあり、今回は作品性の高いものも発信できるよいチャンスだと思います。展示会はもちろん『器ファースト』ですが、テーブルセッティングの方も、少し大きいテーブルなどを使ったディスプレイ性の高いコーデイネートにして私もアートに寄せてみようかと思い始めて、来春が今からとても楽しみです」
本紙「今日はどうもありがとございました」
(対談場所・NY・マンハッタン)

日本映画祭「ジャパンカッツ」開幕

ダンスウィズミー上映後
矢口監督と三吉が登壇

 ジャパン・ソサエティー(JS)主催の日本映画祭「ジャパンカッツ」が今年も19日から始まり、28日(日)まで長編26本と短編16本が全作英語字幕付きで上映されている。
 オープニング作品は、米国初公開の矢口史靖監督によるミュージカルコメディー「ダンスウィズミー」。上映後は日本から駆けつけた矢口監督と主演女優の三吉彩花さんを迎えて質疑応答が行われた。
 三吉さんは、撮影の始まる2か月前からの歌とダンスの猛練習のために入院したという。「主人公のしずかと私では共通点がほとんどありませんでしたが、監督に従って何も考えずに役を演じることができました」と語った。矢口監督は、「社会批判の映画ではなく、トップクラスの稼ぎをしている女性が、本当の自分の幸せを発見していく映画」と話し、トロントと上海でも試写会をしたが今回特に後方の席でニューヨークの観客の爆笑と反応を肌で感じて1か月後に控えた日本での公開に自信を得たと結んだ。
 上演後は、オープニングパーティーがあり、観客らの間では同映画の話題も含めて賑やかな会話が交わされた。映画配給会社に勤めるウィル・チャオさんは、「キュートで人を笑わせるセリフが多く、米国でも受ける映画だと思う」と、また観客の一人であるケイティーさんは、「とても面白くて最初から最後まで笑いが止まらなかった。これまでアジア映画祭には行ったけど『ジャパンカッツ』は初めて。これからも見に来たい」と話した。(ワインスタイン今井絹江、写真も)

月面着陸から50年、アポロ11号 全米で記念行事開催

 人類初の月面着陸から50年を迎えた20日、全米各地で記念行事が行われた。米航空宇宙局(NASA)はウェブサイトに、当時世界中で視聴されたCBSの中継映像を掲載した。ニール・アームストロング船長(2012年死去)は米東部時間午後10時56分に左足を月面に踏み下ろした際に「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大いなる飛躍である」という有名な言葉を発した。
 フロリダ州のケネディ宇宙センターでは、アポロ11号でアームストロング船長とともに月面へ降り立ったバズ・オルドリン元宇宙飛行士(89)が顔を見せた。ペンス副大統領は「30世紀になっても多くの人々の記憶に残るだろう20世紀の出来事は、これだけだ」と讃え、「米国は5年以内に月へ戻る。月に到達する次の男性、そして初めての女性は米国人だ」と述べた。
 アポロ11号の司令船で着陸を見守ったマイケル・コリンズ氏(88)は連日、米国各地での記念行事に参加した。
 テキサス州のスペースセンター・ヒューストンでは50周年を記念するカウントダウンイベントなどが行われ、ワシントンDCではワシントン記念塔にアポロ11号を打ち上げたサターンV型ロケットやミッションの映像が投影された。
 ニューヨークではイントレピッド海上航空宇宙博物館で映画「ファーストマン」上映やNASAの月偵察オービターからの画像上映、ノア・ペテロNASA研究員によるアポロ計画についての講演、プラネタリウムショーなどが行われた。ニューヨーク・ホール・オブ・サイエンスでは「アポロ・パーティー」が催され、アメリカ自然史博物館は「スペースフェスト」を開催。それぞれアポロ11号に関連する映像や資料展示などを行った。メトロポリタン美術館は展覧会「写真の夜明けから現在までの月の視覚的表現」を9月22日(日)まで開催中。
 ニューヨークの競売大手クリスティーズでは18日、実際に使われた着陸手順のマニュアルが競売に掛けられたが予想落札額700万ドル(約7億5千万円)に届かず、落札されなかった。
 月面着陸を記録したビデオテープ原本3本は20日、競売大手ササビーズで競売にかけられ、こちらは182万ドル(およそ2億円)で落札された。NASAでインターンとして働いていた大学生が1976年に政府関係の放出品テープ約1150本を217ドル77セントで購入、そのなかに含まれていた。

三原綱木さん 山野内大使を表敬訪問

 KJ国際アーティスト協会(梶木敏巳代表)が主催するKJジャパニーズ・アーティスト・ショーのカーネギーホール公演にゲスト出演する音楽家の三原綱木さんが24日午前、梶木代表とニューヨーク総領事の山野内大使を表敬訪問した。
 三原さんは、ビートルズが初来日した時に共演し、日本人で初めてエドサリバンショーに出演した日本のグループサウンズ「ブルーコメッツ」の元メンバー。その後、NHK紅白歌合戦の指揮者を34年間務め、現在は全国でライブ活動を続けている。
 ロック音楽の大ファンで自らもエレキギターを演奏する山野内大使が、感激ぎみに執務室で三原さん一行を迎えた。デビュー当時はまだ小学生だったという大使、「ブルーシャトー」の音楽を携帯からすかさずかける歓迎ぶりだった。エリック・クラプトン、ビートトルズなど60年代の英国ロック談議に花を咲かせた。