自動運転を実用化

ネイビーヤードで6台走行開始

 ボストンに本社を置くハイテク企業オプティマス・ライド(Optimus Ride)が、ブルックリン・ネイビーヤードに6台の自動運転車を6日、配備した。
 現在、乗車は無料で、ネイビーヤードでの通勤ルートを自動運転走行中だ。時速15マイルで走り、当面各車には、同社の技術者2人が前の座席に座り、運転はしないが、万が一の不測の事態の対応を行う。
 自動車にはハンドルなど運転装置が付いていて人間が運転操作をすることもできる。技術者が同乗するのは、万が一不測の事故を予防するのは勿論だが、障害物や歩行者などの情報を分析して走行する車の特製などを分析し、調査するのも目的。6台のマイクロバスはゴルフカートに車体を乗せたようなコンパクトな設計。月間2万人の通勤客の足として利用される。来年の半ばには、技術者同乗なしの完全無人化した自動運転を目指すという。

精米したてでどうぞ

ライスファクトリー
24日にオープン

 日本のお米を直輸入し、精米したてのお米を販売するワッカUSAインク(ライスファクトリー)の店舗兼精米所が24日(土)にウエストチェスターのスカースデールにグランドオープンする。住所はセントラル・アベニュー1019番地、電話914・357・6765。                                   店主の伊藤聡さんは「世界一の日本産米を最高の状態でお届けします」と話す。同社では、日本全国の生産者から仕入れた米を、最適環境に保った低温コンテナで玄米のまま米国に輸出し、現地でも同様の低温倉庫で保管。スカースデールの自社精米所で精米し、その場で鮮度・品質ともに最高の状態で販売するのが特徴。
 同店のイチオシ銘柄は、北海道産ゆめぴりか(旭川 農業生産団体「稲穂の里」生産)で、コシヒカリに追いつけ、追い越せと、11年の歳月をかけて品種改良が進められてきた北海道産最上級ブランド米。強い粘りに適度な柔らかさと甘みがあるのが特徴。アイヌ 語で「美しい」を表す「ピリカ」が表しているとおり、非常に艶やかな炊き上がりで見た目にも美しいお米。お弁当・おにぎりなどに向いている。
 このほか、北海道産ななつぼし(北海道/後志・農業生産法人数社生産)、山形県産つや姫(山形県/庄内・菅原専一さん生産)、富山県産こしひかり(富山県/入善・米山農産生産)、新潟県産こしいぶき(新潟県/新発田・新発田市長の厳選生産者)、長野県産カミアカリ(長野県/伊那 ・自社農場the rice farm生産)など9種類を販売。

USオープンテニス大会 無料のファンウィーク19日から

 世界四大テニス大会の一つ、全米オープンテニス大会が26日(月)からフラッシングメドウズで開催される。本大会前の19日(月)から25日(日)までは「ファンウィーク」と称して、予選大会や練習風景を一般公開、子供向けスポーツ体験やエンターテインメントなどさまざまなイベントで大会を盛り上げる。
 選手の練習風景は、今年初めて「アーサー・アッシュ・スタジアム体験」として19日(月)午前11時から午後3時までセンターコートを一般開放する(要事前登録)。また、20日(火)から23日(金)午前10時30分から午後4時30分まではグランドスタンドでの各選手の練習を公開。事前登録で「ファンアクセスパス」を入手すればコートに近い列での見学が可能になる。
 予選大会は19日(月)から23日(金)午前11時から午後8時まで、フィールドコートで開催。若手など男女各128人が闘い、3回勝ち抜いた男女各16人が本戦に出場できる。 
 そのほか、子供向けのスポーツ体験ゾーン、フェイスペインティング、無料食事イベントや、クイーンズ発信のエンターテインメントを楽しむクイーンズデー(21日)やインスタ映えするスポンサーブースなどもある。
 入場パスの取得はウェブサイトwww.usopen.orgのスケジュール欄から「ファンアクセスパス」を申し込む。男子準決勝の入場券などが当る特典もある。

NY日系社会に寄り添って

ニューヨーク日系人会事務局長

野田 美知代さん

 ニューヨークの日系3団体のひとつ、ニューヨーク日系人会、英語名ではジャパニーズ・アメリカン・アソシエーション・オブ・ニューヨーク、略してJAAと呼ばれている。今年で創立112周年を迎える歴史ある団体で現在メンバーは約1000人。日々の相談や、春と秋のヘルス・フェア(元シニア・ウイーク)、桜祭りなどニューヨークの日系コミュニティーの中核となって活動している。野田美知代さんは1987年からJAAで働きはじめ、2002年に事務局長に就任。日系人会の無料相談室、敬老会の段取りから桜祭り、日系学生向け奨学金授与式や募金活動の晩餐会などの準備、事務を2人の職員と共にJAAの大番頭として切り盛りしている。
 大分県出身。地元の高校を卒業後、大阪の看護学校を卒業して1971年から大阪赤十字病院に看護師として勤務し、フロアマネージャーの時にアーティストの野田正明さんと結婚し、78年に来米。子育て中にマンハッタン子供クラブ代表として日系人会に出入りしていた時、日系人会で働かないかと誘われパートで仕事を始めた。当時は44丁目、日本食レストランが1階にあるビルの6階で広さは現在の3分の1。部屋の本棚に無縁仏の骨壷が並んでいた。野田さんが事務局で働き始めて、日系人会は組織や社会との関わりが少しずつ確実に変わっていった。転機は91年から会長を務めた稲垣茂さんの時代に訪れた。まず移転。隣のビルに倍の広さの会館を設置した。次にフラッシング・メドウズ・コロナパークに桜の苗木168本を日系人会から寄贈した。それがきっかけとなって現在も毎春、桜祭りが盛大に開催され、地元米国社会との接点が人脈の面として広がった。
 江見啓司氏、佐藤登氏、稲垣茂氏、村瀬二郎氏、楠本定平氏、木曽敏夫氏、スーザン大沼氏、ゲーリー森脇氏と30年余り歴代の会長に仕えてきた。3年前に現在の45丁目に移転。家賃高騰のなかで常に財政基盤の確保と活発な社会活動の両輪を動かす立場に。アジア人コミュニティーの中で日本とジャパニーズアメリカンの存在観を高める上で大切なセンサスが2020年にやってくる。「いろいろな情報とサービスを日本語で提供し、ニューヨークに住む皆さんの健康で安心した生活を支援することができればと思っています。心配なことがありましたらお電話ください」話す。 (三浦良一記者、写真も)

京都展始まる

メトロポリタン美術館
お茶の歴史など展示

 メトロポリタン美術館では「京都」展を開催中。同展は京都をテーマにした工芸美術品にスポットを当てる。日本で知られている茶室で一番小さいサイズのものは1・75畳と言われているが、同展のためにその大きさの茶室を設置。その茶室には千利休直筆の手紙を掛け軸にした作品や、利休が自ら削ったとされる茶杓、利休の理想に叶う茶碗を創り出した初代烙長次郎の抹茶茶碗、また豊臣秀吉や足利尊氏ゆかりの作品などが並ぶ。
 また、幻の茶碗として知られる「12世紀の中国の天目茶碗」も出展されている。中国では作られなくなって久しく今ではどのように作られたのかも謎の「幻の天目茶碗」を日本人の現代作家が作ることに成功、同館の収蔵品となった。
 「京都」展は米国で推進中の日本文化芸術紹介事業「Japan 2019」の一環で、来年夏まで一年間にわたり京都の工芸文化を大々的に展示する。総出展数は200点以上で4回の展示替えを行う。日本の社会、政治、宗教の変化がどのように日本のアート(芸術)に影響を与えてきたかをテーマに、同館の日本工芸美術専門のキュレーターであるモニカ・ビンチクさんが企画した。同展は、日本文化と美を「京都の粋と技術」を通して堪能できる展覧会に仕上がっている。
 7日には、裏千家の茶道家を招いて日本館の書院室でティーセレモニーのプレゼンテーションが行われた。同館の広報担当上級オフィサーの高渕直美さんは、「この展覧会を通して茶道の精神もたくさんの方に理解していただけたら幸い」と話している。
 同展の詳細はウェブサイトwww.metmuseum.orgを参照。

主婦だってギャングになれる The Kitchen

 DCエンターテインメント傘下ヴァーティゴ・コミックによる同名物語の実写版。オリー・マスターズとミン・ドイル原作のミニ・シリーズで刑務所行きになった夫に代わってアイルランドギャング組織を引き継ぐ妻たちの生き様を描く。
 脚本・監督は「ストレイトアウタ・コンプトン」(2015年)でアカデミー脚本賞にノミネートされたアンドレア・バーロフ。彼女の監督デビュー作でもある。
 女性が主役のちょっぴりアンチヒーロ風とでもいおうか、早い話が女性ギャングの台頭ストーリーだ。
 主演はメリッサ・マッカーシー、エリザベス・モス、ティファニー・ハデッシュの3人。マッカーシーは「Bridesmaids」(ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン」などの人気コメディアンだが、「Can You Ever Forgive Me?」(ある女性作家の罪と罰、18年)ではシリアスな役柄に挑戦、アカデミー主演女優賞にノミネートされるなど演技の幅を広げている。モスは人気TVシリーズ「マッドメン」でブレイクし「トップ・オブ・ザ・レイク」などTVミニシリーズで人気急上昇中。この2人に「ガールズ・トリップ」(17年)のハディッシュが加わる期待のキャスティングだ。
 1978年、マンハッタンの南北は34丁目と59丁目、東西は8番街とハドソン川に囲まれた地区は当時、ヘルズキッチンと呼ばれ最も危険な地域とされていた。ブルックリンがイタリアン・マフィアの根城なら、ヘルズキッチンはアイルランド・ギャングの縄張りだ。ある日、組織の幹部3人が強盗で捕まり実刑判決を受ける。残された家族の生活は手下が見ることになっていたが実行されず、幹部の妻(マッカーシー、モス、ハディッシュ)はやむを得ず組織を自分たちが仕切る決心をする。
 普通の主婦だった妻たちの変身ぶりもさることながら、その原動力となった過去の苦い経験、男社会への不満が一気に噴き出る。フリートウッド・マックの「ザ・チェイン」、ハートの「バラクーダ」など70年代のヒット曲がノスタルジーを誘う。 主役3人の演技は大いに評価されるがストーリー的にはやや説得力に欠ける。1時間43分。R。 (明)

■上映館■
Regal E-Walk Stadium 13 & RPX
247 W. 42nd St.
AMC Empire 25
234 West 42nd St.
AMC Loews 34th Street 14
312 W. 34th St.

秋の舞台芸術2作品

「アンティゴネ」と「曾根崎心中」
国際交流基金ジャパン2019

 国際交流基金(ジャパン・ファンデーション)は米国で推進中の日本文化・芸術紹介事業「ジャパン2019」秋のハイライトとして、9月と10月にマンハッタンの2会場で舞台芸術2作品を上演する。
 9月25日(水)から10月6日(日)まで、アッパーイーストサイドにあるパークアベニュー・アーモリー(パーク街643番地、67丁目)で、フランスのアビニョン演劇祭でアジア圏の劇団初のオープニング作品となった宮城聰演出「アンティゴネ」を上演。独創的な空間設計と、人を敵と味方に区別しない王女アンティゴネの思想に日本人の死生観を重ねた演出による作品。入場料は35ドル〜。詳細はウェブサイトhttps://armoryonpark.orgを参照。
 10月19日(土)から22日(火)まで、ジャズ・アット・リンカーンセンター内ローズシアター(コロンバスサークル10番地、59丁目)で人形浄瑠璃文楽に新たな魅力を与えてきた現代美術作家・杉本博司による「杉本文楽 曾根崎心中」を上演する。リンカーンセンター主催のホワイト・ライト・フェスティバルのオープニングを飾る。入場料は20ドル〜。詳細はウェブwww.lincolncenter.org/white-light-festivalを参照。

リハビリからアートの世界広がる

MASA(石合昌史)NY展を開催へ
Jコラボで9月14日から

 ブルックリン・パークスロープのJコラボギャラリー(7丁目300番地)は9月14日(土)から22日(土)まで、長野県上田市で活動するアーティスト、MASA(石合昌史)の個展を開催する。
 MASAは8年前、32歳の時に患った脳硬塞の後遺症で、右半身まひと失語障害があるなかで、入院中に利き手ではない左手で描き始めた絵画がきっかけでアートの世界に引きずり込まれていった。きっかけは入院中に弟から贈られた一冊のスケッチブックとクレヨンだった。
 以来、毎朝スケッチブックに絵を1枚描くのが日課となり、現在はそのスケッチブックも82冊になった。配色が明るくデフォルメされた芸者や力士などが強烈な力強さと個性で迫ってくる。展示会ではアクリルで描いた作品を出品する。どれもテーマは「最前線、刺激的、日本人がいない町」をイメージしたという。
 もともとは上田市内の菓子店でパティシェとして勤務していたMASA。人生の半ばで遭遇した試練とそのリワードとしてもたらしたアートの世界観ある未来。ニューヨークはMASAにとって何をもたらし、アートの魂をいかに揺さぶるのか。ニューヨーク展、そしてそのアフターもまた気になる作家だ。2013年7月からはリベルテ「スタジオライ」ト所属。グループ展・出展は14年「スタジオライト展」(軽井沢町・軽井沢ニューアートミュージアム)、16年「地方とアート 地域活性とアートの可能性」(上田市・犀の角)、18年「四国素展〜Resources」(高知市文化プラザかるぽーと)、個展 は16年「Ishiai Masashi Exhibition」(松本市・ゲストハウス kajiya)など。

編集後記 8月10日号

妹を背負って火葬場に立つ少年—。広島、長崎に落とされた原爆の写真展のパネルの前で動かなくなった男性がいた。竹下宏さん(72)。

【今週の紙面の主なニュース】(2019年8月10日号)

今週のデジタル版は表紙をクリック↓

(1)広島・長崎原爆平和式典 (1〜4、5面)
(2)マドラスチェックの夏 (3面)
(3)平和式典来場者の声 (5面)
(4)ブルックリン美容発信  (5面)
(5)DAISOがNJに開店 (13面)
(6)ウーマン青木恵子さん (15面)
(7)ジャパンカッツ  (22面)
(8)映画 Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw(22面)
(9)史佳演奏イベント  (23面)
(10)ハロルド・プリンス追悼記事  (24面)

体験を伝える、NYで広島・長崎平和式典

 妹を背負って火葬場に立つ少年—。写真の前で動かなくなった男性がいた。竹下宏さん(72)。
母親が長崎で原爆に遭い、その2年後に生まれた。小学校3年生ぐらいの時に長崎市立西坂小学校の校庭で花壇を作っていた。土の中からチョコレートのように溶けたビール瓶が何本も出てきた。今でもその時のことを鮮明に覚えている。