敗れはしたけど女王の誇り胸に

大坂なおみ選手

 クイーンズにあるUSTAナショナル・テニス・センター行われているテニスの全米オープンで2日、女子シングルス4回戦で第1シードの世界ランキング1位、大坂なおみ選手(日清食品)は第13シードで世界ランキング12位のベリンダ・ベンチッチ選手(スイス)に5-7、4-6で敗れた。
 ベンチッチ選手は今季2度戦い2度とも負けた苦手な選手で、第2セットはブレークポイントすら奪えなかった。昨年、同大会でセリーナ・ウィリアムズ選手(米国)を破り優勝、2連覇を狙ったがベスト16止まりとなった。
 大坂選手は、8月31日の3回戦で主催者推薦で出場した世界ランキング140位のコリ・ガウフ選手(米)に6-3、6-0で快勝した。ガウフ選手は7月のウィンブルドン選手権で4回戦まで進出し、一躍脚光を浴びた15歳の「天才少女」。大坂選手は試合が終わると泣いている6歳下のガウフ選手と握手、抱き合った。そして「シャワーで泣くより、ここにいる人たちにあなたの気持ちを伝えましょうよ」と、通常は勝者だけのインタビューを一緒に受けようと提案。ガウフ選手は一度は断ったもののこれを承諾。インタビューでは「学ぶことがたくさんあった。なおみ、本当にありがとう」とガウフ選手が泣きながら言えば、大坂選手も「一緒に努力してこの舞台に立った。本当に素晴らしかった」と涙を見せた。
 大坂とガウフはフロリダ州デルレービーチのプロワールド・テニスアカデミーで一緒だった時期があるという。ただし対戦したことはないそうだ。
「1試合1試合を全力で。常に前向きに挑みたい」と試合前ホテル・キタノ・ニューヨークで行われた記者会見で語った大坂。「なおーち」の次に向けての明日が始まる。

表現の自由か煽動か

NY画廊であいちトリエンナーレ報告会
「明日少女隊」のメンバー、慰安婦を語る

 この夏、芸術表現の自由をめぐり、日本で大きな議論が巻き起こった。あいちトリエンナーレ2019が名古屋市でオープンした2日後の8月3日、「表現の不自由展その後」展が中止されたからだ。同展に韓国の作家キム・ウンソンとキム・ソギョンによる「平和の少女像」のインスタレーションが入っていた。これは第2次世界大戦中にアジアで日本軍のために性的労働を強制された慰安婦を象徴するものだ。トリエンナーレの事務局には、同インスタレーションに関する約1400件もの苦情が殺到し、8月2日、河村たかし名古屋市長が大村秀章愛知県知事に同インスタレーションの撤去を要求した。
 ニューヨークのハーレムにあるアートギャラリー、ホワイトボックス・ハーレム(東121丁目213番地)は17日(火)午後7時から、戦後日本美術を研究するネット集団「ポンジャ現懇(富井玲子主宰)」と共催し、ラウンドテーブル形式でこの問題の経過について報告し、日本における美術と政治を取り巻く問題について考えるトークイベントを開催する。
 出席するのは、同トリエンナーレのアーティスト(加藤翼氏)と2013年愛知トリエンナーレのキュレーターで、アーツ前橋館長/東京藝術大学大学院准教授の住友文彦氏の2人がスカイプで参加、手塚美和子ポンジャ副主宰が事件の経過報告と最新情報を提供する。コンメンテーターは、ニュージャージー市立大准教授の由本みどり氏。またフェミニストのアート集団である「明日少女隊」のメンバー、尾崎翠さん、ケイト・ミレットさんの2人が、男女平等と人権の問題として慰安婦の社会史的背景を語る。 
 同ギャラリーの日本人キュレーター、佐藤恭子さんは開催の動機を「世界に情報発信をして皆さんに話をしてほしい。世界のアート最前線のニューヨークからの声をポジディブな風として日本に送りたいというのが理由」だという。慰安婦像の芸術展参加について「芸術を隠れ蓑にした政治プロパガンダではないのかという意見もある」との本紙の質問に対し、「アーティストは、市民としてそれぞれ意見を持っている。その上で『表現の自由』が守られねばならず、政治が介入することは民主主義の考え方に反する」と佐藤さんは語る。

今年もやります「グレイト・ジャック・オーランタン・ブレイズ」

 ウエストチェスターのハロウィーンイベントと言えば、何と言ってもバン・コートランド・マナーで開催される「グレイト・ジャック・オーランタン・ブレイズ」が一番人気だ。18世紀の風景を残す邸宅美術館の広大な敷地に首なし騎士を始め、恐竜に自由の女神、機関車など7000個を超えるカボチャのイルミネーションが並ぶブレイズ、これを見ずして冬は迎えられない、と毎年たくさんのリピーターが押し寄せる。
 本紙ローカルスクランブルでも毎年10月第1週号で紹介してきたが、実はその頃にはハロウィーン間近のチケットはソールドアウトになってしまい、10月初旬または11月のチケットしか入手できない。混雑を避けるために入場時間指定の前売り券を購入するシステムで、当日券の販売は一切せず、チケットを持っていない人は入場できない。昨年行きたかったのに希望日のチケットが入手できなかった人、今年初めて行ってみようと思っている人、チケットは早めに手配しよう。開催日:9月20日(金)〜22日(日)、26日(木)〜29日(日)、10月3日(木)〜31日(木)、11月の毎週末(金・土・日)、最終日は11月30日(土)。
入場料:大人23ドル〜、子供(3〜17歳)17ドル〜(いずれも日程により異なる)、2歳以下は無料。
場所:Van Cortlandt Manor(525 S Riverside, Croton-on-Hudson)メトロノース・ハーレムライン Croton-Harman駅から徒歩10分。駐車場あり(無料。チケットの入場時間30分前から駐車可)。 
詳細およびチケット購入はウェブサイトhttps://hudsonvalley.org/events/blaze/を参照。

シドニー最終日

ジャズピアニスト浅井岳史のオーストラリア旅日記(6)

 今日はオーストラリアの最終日、実はあるオーストラリアの作曲家とのミーティングを私は今日と提案していたが、どういうわけか彼は昨日だと勘違いしていたことがわかった。昨日とは打って変わった曇り空を見ながら、昨日はミーティングではなくシドニーのハイライトに出かけてビーチを堪能できて本当によかったと思った(失礼)。
 さて、最終日はシドニータワーから始める。昨日のウォーキングツアーで紹介されていたので、早速行く事にした。入場料がベラボーに高いが、このあと行きたい自然動物園もセットになっているので、チケットを買って上に登る。このタワー、何処かハチミツをすくう道具に色も形も似てる。展望は予想通りハーバーのオペラハウスとブリッジが目玉である。何故か展望台には中国の屋台が出ていて、そこで焼売を売っている。急に食べたくなったが我慢して下に降りた。
 そこから、動物園へ。そう、ここに来たら見なければいけない動物がある。南半球で独自に発達を遂げた有袋類、特にコアラとカンガルーである。その昔、コアラブルーというブランドがあった。歌手のオリビア・ニュートン・ジョンがプロデュースしていて、私の父親がオーストラリアのお土産に買ってきてくれた。しばらくしたら実家の近所に店が出た。動物園は、蝶や、ヘビ、ウォンバット、ワラビー、タスマニアンデビル、ダチョウのような大きな鳥から巨大なワニまで、ありとあらゆる種類の動物がいる。でも、やはり圧巻はコアラだ。間近で見ると顔が面白すぎる。必死に木の上で葉を食べるか、爆睡するかしている。隣で、人が写真を取っているのに寝続けられるという神経にびっくりした。夏にユーカリの油を含んだ葉から出火して山火事になっても、動きが緩慢すぎて逃げられないという哀れな話はどうやら本当のようだ。
 カンガルーはそれに比べて非常に繊細な動物のようだ。手足のバランスが著しく違うので、一見大変そうだが、平和な顔をして大根の葉っぱを食べていた。初めて知った事だが、彼らは直立するために二本の足に加えて尻尾を使う。尻尾で立って両足の向きを変えたりもする。よく見ると、尻尾は脚よりも太く、地面につくところは平らになっている。奇妙だが、愛らしい動物である
 他にも夜行性なので極度に暗い檻に入ったトカゲ、巨大なゴキブリやハエなどあまり見たくもない昆虫もいっぱいいた。綺麗な若い女性スタッフが手にウジ虫を乗せて見せてくれた。
 さて、「コアラと記念撮影をするとシャツを破かれる」と忠告してくれた友人がいたので、眺めるだけにして、動物園をあとにした。海辺の綺麗なスポーツバー風のテラスに、オージーステーキ9ドルという看板が出ていた。それは食べるしかない。早速注文して出てきたステーキは単純な味付けだが、とても美味しく幸せな気分にしてくれた。海辺を行き交うさまざまな国籍の人々を眺めながら、非常に国際的で住みやすい街なんだろうと感じた。
 さて、夕刻迫るシドニーで私たちが選んだ最後のアトラクションはFish Market。さらに歩いて閉店間際の魚市場に入った。さすが海に囲まれた街だけあって、立派な魚市場がある。この海と大都会という立地条件はシアトルに非常に似ていると思う。ここにも中華料理店が入り、新鮮な魚を美味しそうに調理してくれているようであった。お腹が空いていればさぞかし美味しいシーフードを楽しめるだろうと思いながら今回は諦めて、大人しくバスでホテルに帰る。
 ホテルの近くにはUTS(Universiry of Technology Sydney)のキャンパスもあり若者が大勢いて活気がある。その近くに、今回の旅ですっかりファンになってしまったアイスティーをもう一度楽しむ事にした。Cocoという名の小さな店には列が途絶えることはない。ほとんどが中国系の若い女の子で、中年の男性は私一人であった。でも、その冷たさと香りの良いティー、そこにタピオカが沈んでいて、最後にストローで吸い上げるこのドリンクはたまらない。ニューヨークにも早く進出してほしい。
 オーストラリアは本当に面白いところだ。これだけアジア系とヨーロッパ系が混じり合っている街を見たことがない。食べ物も日本人の私たちには優しい。
 ニューヨークからは地球の裏側に当たるこの遠い国だが、秋の忙しいスケジュールをやりくりしてやって来て本当に良かった。まさにアジアパシフィックだけあって、今たくさんの移民がやってくるメルティングポットだ。遠いので簡単には来れないが、三年後かどうかは別としてまた戻って来たい。コンサートを企画してくれたピーター、スタッフの皆さん、街の人、本当にありがとう!(終わり)
(浅井岳史/ピアニスト&作曲家)www.takeshiasai.com

日本三大盆踊りを披露

ガバナーズ島で日本のお祭り

 マンハッタンの夜景と自由の女神を眺望するガバナーズ島で8月30日と31日、日本の3大盆踊り、秋田県の西馬音内盆踊り、岐阜県の郡上踊り、徳島県の阿波踊りが披露された。日本の伝統文化継承をテーマに活動するジャパン・パフォーミング・アーツ・インク(JPA、濱田裕子代表)とNY市との共催。約9000人のニューヨーカーや観光客が日本の夏を楽しんだ。 Photo: Robert & Yoko Essel

障害乗り越え NYでアート

松嶺貴幸の表現に喝采

 宇宙服のような白い服にゴーグルをつけて登場した松嶺貴幸(タカ)。8月22日、ホワイトボックス・ハーレムの夏のパフォーマンス・シリーズのフィナーレでアシスタント二人に自分の体をキャンバスに横たえるよう指示をする。二人はその後、絵の具を体に撒き散らす。そして顔にも撒き散らすようにコントロールするタカさん。絵の具で人型ができると服を脱がせてもらい、そのあとはキャンバスを壁に移して、筆を口にくわえて描き始めた。描いたのはバラ。彼の作品の中で「希望」を意味するシンボルだ。そして描き終わってぐるりと聴衆に向かってタカさんは狂喜のうちに叫んだ。「Here is my ability, thank you New York! これが僕のできることだ、ニューヨークよ、ありがとう!」。2001年にスキー事故で脊髄を損傷し車椅子の生活に。2013年単身でロサンゼルスに渡りサンタモニカカレッジでインダストリアルアートに出会う。「夢に見たニューヨークでアート表現を実現できて嬉しい。これからも高みを目指して活動を続けていきたい」と笑顔を見せた。会場では三味線奏者の史佳がエネルギッシュな演奏を聞かせた。(三浦)

(写真左)筆を口にくわえて作品を仕上げるタカさん(8月22日夕、 ホワイトボックスで)

浴衣美人大集合

NY京都倶楽部主催のクルーズ
260人が乗船

 ニューヨーク京都倶楽部は8月24日夕、浴衣を着てマンハッタンの夜景を楽しむクルーズを開催し、260人が参加する大盛況となった。午後6時、イーストリバー23丁目のピアからクルーズ船ジュエル号が出航。ブルックリン橋の下を通り、自由の女神、エリス島、ハドソン川を北上してまたニューヨーク湾へ戻る3時間の船旅。船内では飴細工師のCandy5さんや竹細工師の清水貴之さん、コメディアンでマジシャンの小池リオさんがテーブルをまわって乗船客を楽しませたほか、浴衣コンテストも行われた。京都で8年間料理修業をした博多トントンのシェフ山田大介さんの料理、京都伏見の地酒やビールなど豪華な食事が出され、参加者たちは日本食と夜景と着物美人たちの笑顔を楽しんだ。

国連の日本庭園 京都風の品格に

国土交通省から造園指導員

 国連本部正面に日本庭園がある。ボストンの造園家、阿部紳一郎さん(68)が1999年に作った庭園だ。真下が会議場になっているため、大きな岩や石を地中に埋めることができず、石の下を切って平らにして置く形で庭を作ったという。設置当初はなかなか紅葉しなかったそうだが、2年前の天皇陛下ご訪米の際にはここを訪れ、敷地内にある平和の鐘をご視察、美しい紅葉に包まれたそうだ。
 国土交通省と外務省は、3年前から海外にある日本庭園の再生プロジェクトを始め、世界に約500か所近くある日本庭園から選んで年6〜8か所の再生指導を行っている。
 国交省から委託を受けた日本造園建設業協会の国際委員長、山田拓広さん(55)が今回、国連の日本庭園の再生指導のため派遣された。オリジナルの庭園を作った阿部さんが経営するZENアソシエイツのマイケル・スミスさん、ジャスティン・クーニさんのスタッフに剪定指導をした。
 山田さんは「日本庭園を通して、世界平和の精神をこの国連の場から発信してもらえたら嬉しい」と話し、阿部さんは「指導を受けて京都の日本庭園のような品格が出てきた。さすがです」と喜んでいた。同庭園では毎年国連総会の初日、国連事務総長が平和の鐘を打つ式典があり、今年も今月20日に行われる。
 9月20日の式典で、日本が国連に加盟する2年前の1954年に平和の鐘を寄贈した中川千代治さん(故人)の娘で一般社団法人「国連平和の鐘を守る会」の代表、高瀬聖子さんが来米し、同日午後ニューヨーク市内の日本食レストラン「あずさ」で講演会を開催する。参加無料。定員20人。申し込みはEメールでykadota@msn.com(門田さん)宛に申し込む。講演は日本語で行う。

(写真)阿部さん(左端)と作業を指導する山田さん(左から2人目)

魂の響きを舞台に賭けて

ケイコフジイダンスカンパニー主宰
振付師 舞台芸術演出家
ダンサー・ダンス講師

ケイコフジイさん

 ダンサーで振付師として日米で活躍するケイコフジイさん。空港出入国時、セキュリティーポイントを通る際に、パスポートと共に必ず手に持っている書類がある。身に付けている貴金属や財布などをトレイに入れて金属探知機を通ると必ずブザーがなる。口で説明しても時間がかかるので、見せるのがレントゲン写真。両方の股関節に大きな金属が埋め込まれている。サイボーグ状態の股関節写真を見て検査官は笑顔で通してくれる。ダンサーに故障はつきものだが、長い年月で肉体の限界を超えた。
 今月19日から21日まで、マンハッタンのギブニーで「魂響 ソウル・バイブレーション」=写真下=を公演する。ニューヨークでの舞台は1987年6月のリンカーンセンターでの初演「やまと」から数えて13回目、今年で35周年を迎える。
「自分が振り付けから演出、オーディションなど何から何まで全部一人でやるのはもうこれが最後の舞台になるかもしれませんねえ」と他人事のように笑う。
 舞台のコンセプトは「心の沈黙に耳を傾ける」。「誰の心の中にも存在する何かに向かって燃える炎」を訴えかける舞台。
 もともとは、大阪教育大学を卒業して大阪府吹田市千里第二小学校の教員をしていた熱血教師だった。6年の春休みに2週間の休暇でハワイに来た時に立ち寄ったダンスセンターでの体験が人生を変えた。マーサ・グラハムと並びアメリカン・モダンダンスのイコンともいえるベティー・ジョーンズに出会ったのだ。新学期から小学1年の担任が決まっていたが「10年後より今」と退職。81年、ジョーンズ・ルディンダンスセンターにダンス留学した。4年後に帰国。ダンススクール、スタジオKを創立、ケイコフジイダンスカンパニーを結成。ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、アトランタ、ハワイで、自らのダンスカンパニー公演を行ってきた。関西を中心に現代創作ダンスの第一線で活動を続ける一方、ゲストアーティストとしてハワイ大学で教鞭をとり、日米間を行き来しながらダンサーの育成に務める。熱く語る素顔に遠い日の熱血教師の顔を見た。
(三浦良一記者、写真も)

公演情報=「魂響 Soul Vibrations」開催場所はGibney 280 Broadway (Enter at 53A Chambers St.)、電話646・8376809。 9月19日(土)、20日(日)、21日(月)午後8時から開演。入場料は15〜20ドル。後援はニューヨーク日本総領事館、Japan 2019、共催はGibney

星野源がNY公演 11月25日にソニーホールで

 歌手、俳優、作家としてマルチに活躍する星野源が11月25日(月)午後8時から、ソニーホール(西46丁目235番地)にてDJ/音楽プロデューサーのマーク・ロンソンをスペシャルゲストに迎え「星野源ワールドツアー・イン・ニューヨーク」と題した一夜限りのコンサートを行う。
 星野は2010年にソロデビュー。16年にリリースしたシングル「恋」は、「逃げるは恥だが役にたつ」の主題歌として社会現象とも呼べる大ヒットを記録。18年はアニメ映画「ドラえもんのび太の宝島」の主題歌、挿入歌を担当。またアルバム「POP VIRUS」はオリコン週間アルバムランキング、ビルボード ジャパンホットアルバムにおいて4週連続1位を記録。今年2月からは5大ドームツアーを開催し、日本人男性ソロアーティストとして5人目の快挙となる同ツアー全8公演のチケットはすべて即日完売、計33万人を動員した。入場料は85ドル、VIP席175ドル。チケット・詳細はウェブサイトwww.sonyhall.com参照。

愛の誓いは怖いかも Ready or Not

「もーいいかい」「まーだだよ」のかわいい子どもの声が聞こえてきそうな「かくれんぼ」が殺人ゲームと化す。シンデレラ・ストーリーで幸せをつかんだと思った花嫁が結婚式の夜に世にも恐ろしい世界に突き落とされるホラーとブラック・コメディのドッキングだ。
 ホラー映画「Devil’s Due」(デビルズ・バースデー、2014年)のマット・ベティネッリ=オルピンとタイラージレットの監督コンビが腕によりをかけ、怖さと可笑しさで観客を引き込む。
 主演の花嫁に扮するのはサマラ・ウィーヴィング。「マトリックス」シリーズでエージェント・スミスを演じたヒューゴ・ウィーヴィングの姪に当たるオーストラリア女優。人気女優マーゴ・ロビーにそっくりでハリウッドで活動するようになってからはコメディが多く本作もその線上。アンディ・マクダウェル、アダム・ブローディらが共演。
 グレース(ウィーヴィング)は幼いころから養護施設で育ち、温かい家庭を築くことをずっと夢見てきた。アレックス・ル・ドマス(マーク・オブライエン)と恋に落ち、しかも彼が富豪の御曹司というまさにシンデレラ・コースに乗り、真っ白のウエディングドレスで晴れの日を迎えた。
 しかし式の後でアレックスはル・ドマス家に伝わる儀式に参加してほしいとグレースに頼む。儀式が終わった後でグレースは正式にファミリーの一員となれるのだ。ボードゲームで財を成したル・ドマス家ならではの趣向は新たに花嫁(花婿)になる人が一枚のカードを引く。そこに書かれているゲームが行われる儀式になる。
 グレースが引いたのはル・ドマス家にとっては30年ぶりとなる「かくれんぼ」だった。もちろん隠れるのはグレースでグレースを探す鬼はアレックスの親(マクダウェル)、兄(ブローディ)らいわゆる義理の家族7人。幸福の絶頂にあるグレースの前でいよいよ地獄の扉が開く。
 B級ホラー風だが結婚への聖約と責任、結婚後の義理の家族との関わりを誇張したダークな物語でもある。
アレックスの伯母ヘレンに扮するニッキー・グァダーニの姿はこの映画のシンボル的存在。1時間35分。R。 (明)
https://www.foxsearchlight.com/readyornot/


■上映館■
AMC Loews Lincoln Square 13
1998 Broadway
Regal Union Square Stadium 14
850 Broadway
Cinepolis Chelsea
260 W. 23rd St.