【今週の紙面の主なニュース】(2021年7月10日号)

(1)東京五輪で日本メダルラッシュか

(2)大谷翔平投手の大看板登場

(3)アダムズ市長民主予備選勝利

(4)在米邦人の視点でニュース伝える

(5)ヨットマンの街靴

(6)あめりか時評

(7)復活の花火イーストリバーに

(8)RE:OPEN JAM ジャパン・ビレッジ

(9)NJ気球祭が復活

(10)日本画で描く芸舞子

コロナ禍の東京五輪、日本メダルラッシュか

 新型コロナウイルスの影響で1年延期された東京オリンピック・パラリンピック(以下東京五輪)が7月23日に開幕する。日本では新型コロナウイルスの新たな感染拡大の波が起きているため観客制限を行う。すでに海外観客の受け入れは3月には断念すると発表。政府のイベント制限方針である「定員の50%以内で最大5千人」に従い観客5000人以下の場合はそのまま会場に入れ、5000人を超える開閉会式や野球、陸上などの大規模会場と午後9時以降の競技を無観客にする。このため全体の4割ほどが無観客になる見込みという。

 東京五輪に伴う感染拡大をめぐっては6月18日、政府の分科会の尾身茂会長など専門家が提言をまとめ大会組織委員会の橋本会長と西村経済再生担当大臣に「無観客が望ましい」とする提言を提出した。日本はワクチン接種率(2回完了)が13・77%(7月5日現在)ほどで、感染力の強い「デルタ株」の拡大など新型コロナに対する懸念がある。しかし感染を抑えたとする国々では、テニスの全仏オープンやウィンブルドン、サッカーの欧州選手権、米国では大リーグなどですでに観客を多数入れて行われている。国際オリンピック委員会(IOC)は日本は感染を十分抑えているという見方で開催に変更はない。仮に日本側が中止を要望した場合、「開催都市契約」に基づいて、IOCから多額の賠償金を請求される可能性があるという。

 4年に一度しかない五輪は選手にとっては当然開催してほしいものだが、新型コロナは五輪の最終予選にも大きな影響を与えた。野球で6月のメキシコでの最終予選を強豪の台湾やオーストラリアが辞退。陸上もアフリカ選手権が中止、ボクシングや水泳の世界最終予選なども断念された。これにより五輪出場のチャンスを逃した選手が出ることとなった。開催国として予め参加枠のある日本は有利で、米国の陸上チームが千葉での合宿を中止にするなど各国の選手団がコロナ禍で調整に支障が出ているなか、日本のメダルラッシュも予想されている。国民の多くが開催に消極的と言われる東京五輪だが、日本選手の活躍は誰にとっても明るいニュースに違いない。

大谷翔平投手のMLB大看板

 6月29日のヤンキース戦で2打席連続ホームランを打って大きな話題となった大谷翔平投手の巨大写真パネルが、マンハッタンのミッドタウンにある米大リーグ機構(MLB)本部オフィス(6番街と50丁目)に登場した。大谷は今月2日にもアナハイムのオリオールズ戦で2打席連続本塁打、4日も31号ソロを放ち、松井秀喜が2004年にマークした日本選手シーズン最多本塁打記録に並んだ。

 同所はMLBのリテールショップとして昨年10月にオープン。外壁に取りつけられたのはビルの2階分に相当する特大の写真で、ソト(ナショナルズ)、デグロム(メッツ)、ゲレロ(ブルージェイズ)ら各球団のトップ選手たちの横に堂々と肩を並べている。多くの観光客が写真を背に記念撮影をしており、日本人にとっても新たな観光スポットとなりそうだ。(写真・高田由起子)

アダムス氏が勝利

NY市長民主予備選

 ニューヨーク市の選挙管理委員会は6日、次期市長選挙の民主党予備選の集計結果を公表した。得票率はアダムス氏が50・5%、ガルシア氏が49・5%となった。警察官出身でブルックリン区長のエリック・アダムス氏(60)が小差で前市衛生局長のキャスリン・ガルシア氏(51)をリードし、AP通信は、速報でアダムス氏が勝利を確実にしたと報じ、ニューヨークタイムズもアダムス勝利と伝えた。共和党候補を既に決めている「ガーディアン・エンジェルス」の創設者、カーティス・スリワ氏(67)と11月の本選で戦うが、同市は民主党支持者が圧倒的に多いため、アダムス氏が有利な情勢で、当選すればデービッド・ディンキンズ元市長に次ぎ史上2番目の黒人市長となる。

在米邦人の視点でニュースを伝える

FCIキャスター

久下香織子さん

 ニューヨークのフジ・サンケイ・コミニュケーションズ・インターナショナル・インク(FCI)のキャスターとして活躍中の久下香織子さん。来年米国での日本語放送40周年を迎える同社にあって、1998年から勤務して今年で23年になる同社の押しも押されぬ看板キャスターだ。日本でNHKの報道番組を経てフジテレビに移り98年に来米。平日の月曜から金曜まで放送している朝の番組「FCI News Catch!」をふり出しに、スペースシャトルの打ち上げや、同時多発テロ、ハリケーン取材などで全米を飛び回るジャーナリスト生活を続けてきた。

 現在は、ABCニュースが伝えた一週間のニュースを日本語にまとめ直して解説を加えて伝えるコーナー「Weekly Catch!」のキャスターを務めている。このコーナーは、在米視聴者にとって関心が高いと思われるニュースを毎週金曜日に放送している。日本のニュース番組では扱わないような項目でも、在米邦人にとっては大事な内容であれば取り上げる。そんな生活者視点の報道が日本国内の視聴者にとっても新鮮なのかYouTubeでのヒット数も最近伸びているという。

 昨年から1年半続いているコロナ禍での放送も、当初は自宅からの収録や放送を余儀なくされるなど前代未聞の手探りが続いた。パンデミックにおける日本語放送は、米国、とりわけニューヨークの日本人にとっては、緊急事態宣言や出入国制限、ワクチン接種などの情報を分かりやすい日本語で伝えてもらえるかけがえのないニュースソースであり生命線となっている。

 振り返れば、目の前に流れてきたチャンスは迷わず掴んできた人生だ。小学校からインターナショナルスクールで学んだことから英語は得意で、上智大学時代からサイマルインターナショナルでの同時通訳や企業派遣留学生対象の語学教師をこなし、人に勧められて受けたオーディションではNHKのテレビ番組「中学生日記」の教師役に合格して2年間女優生活、モデルとしても活躍するなど常にスポットライトを浴びてきたキャリアウーマンに見える。が、本人は幼稚園時代の人見知りの強い「夢見る夢子ちゃん」だった頃の思いを心の隅に抱えている。「23年も長く続いているのは、きっと1本1分半のニュースが私に向いているから」と笑う。家庭ではジャーナリスト、フレッド・カタヤマ氏の妻であり9月から高校生になる長男の母でもある。神奈川県出身。(三浦良一記者、写真も)

ヨットマンの街靴

イケメン男子服飾Q&A 86
ケン 青木

 夏の日差しが眩しい季節になってきました。ニューヨークは川や池そして海など水辺が近くにあっていいですね。今回はそんな状況で一足持っておられると便利なばかりでなく、足元すべりにくく、より安全という「Sperry Sole(スペリー・ソール)」(駄洒落ではありません笑)と呼ばれるゴム底のスニーカーについて書いてみようと思います。

 昔、ブルックス・ブラザーズ社で仕事をしていた頃、sports tieという12種類のスポーツを紺色ベースのシルク地に刺繍したネクタイが話題となったことがあり、「最も格式が高いスポーツは実はヨット。で、次は乗馬」だと言われ、「へーっ!」と。もちろん12種類の中にはベースボール、アメリカンフットボールにバスケットボールも含まれてはいるのですが。

 アメリカという国家の歴史はたかだか250年未満(あと5年で建国250年ですね!)だと言われる方々もおられますが、歴史には受け継がれ、引き継がれている精神的遺産が必ずあり、アメリカも例外ではありません。

 このアメリカでは古代ギリシャとローマの文化が正にそれなのです。政治面においては民主主義そして共和政。アメリカの大学でAlpha、Beta、Cappaそしてsololityやfratanityなどギリシャ語表記が多いことを不思議に思われた方もおられるでしょう。

 コネチカット州とマサチューセッツ州の間にロードアイランドという全米有数の小さな州があります。州民は「Islanders」と呼ばれ、その呼び名にプライドあり、と。この州はアイビーリーグ・スクールの教授たちが引退後、終の住処とされる方も多いのだ、とも。

 実はロードアイランドとは、古代ギリシャにおいて「知の都」と呼ばれ栄えたロードス島のことなのです。従ってロングアイランド・チャネルとはアメリカにとってのエーゲ海なのであり、またアメリカ版地中海の一部?とでも言うべき感覚なのです。

 古代ギリシャ人は海洋民族であり、彼らの精神面のタフネス、開拓者精神を鍛え、彼らの植民地を航海によって拡げていく原動力となったのが、幼児期から馴染んだヨットという命懸けのスポーツであったのだと。

 歴史的な事実として、近現代における世界覇権はランドパワーではなく、オランダ、英国、アメリカなど全てシーパワーの国家群によって成されてきました。

 加えてマリンスポーツがお好きな方ならお気づきでしょうが、アメリカズ・カップ、そしてニューヨーク・ヨットクラブの格式の高さです。同クラブのアメリカズ・カップ対応のヘッドクォーターは、ロードアイランド州のNewportにあります。ジャズ・フェスティバルやJFKのウエディングで有名なところですね。もう少しニューヨークに寄ったところではイェール大学があるコネチカット州民ニューヘブン、その地で生まれ育ったヨットマンであり、クリエーティブなビジネスマンでもあったPaul A. Sperry(ポール・スペリー)という人物が、彼が自らの経験即ちヨットの船上で滑って海に落ち、命を失いかけたのですが、ふと愛犬を見ると足元のグリップがしっかり、滑らず踏ん張れていることに気がついたのだそう。愛犬の足の裏を見ると幾重にも筋の様なシワがあったのだそう。彼はこれにヒントを得て1935年でしたか、ゴム底に波状の細かい切込みを入れたSperry Soleを開発、2年後には特許も取り、その足元のグリップの良さからアメリカ海軍にも採用されたのでした。1970年代後半に「Preppie」というアイビーリーグ・スタイルのファッションが流行した際、スペリーソールの靴はその中心にありました。

 スペリーソールのゴム底、スニーカーらしい履き心地の良さ、そして夏場にご自宅で水を撒いたり、またマンハッタンのビルの入口など、雨の日には滑りやすいことがあるので、履かれていると安心です。それではまた次回。

 けん・あおき/日系アパレルメーカーの米国代表を経て、トム・ジェームス.カンパニーでカスタムテーラーのかたわら、紳士服に関するコラムを執筆。1959年生まれ。

日本の政治風土はどうして「異様」なのか?

 東京都議選を巡る騒動をアメリカから見ていると、何とも異様としか言いようがない。結果として自公連合は過半数を取れず、反対に惨敗が予想された都民ファーストの会が善戦した。同党は、事実上は小池都知事の率いる地域政党だが、知事自身は過労のため入院して選挙には距離を置いていた。その小池氏は選挙戦終盤で突如復帰し、投票前日には酸素ボンベを傍らに選挙運動を行う姿が報じられたことで同情票が入ったとされている。

 一連の行動を通じて小池氏は、選挙における政策論争には距離を置き、自公政権への批判は避けつつも自らの政治的影響力の誇示には成功したようだ。そのため、今秋に予定されている総選挙においては、知事を辞職して自民党から衆院選に出馬し、次期総理総裁を狙う可能性が取り沙汰されている。反対に、自民党の菅政権に関しては、五輪とコロナに関する世論との対話に失敗した結果の敗北という評価がある。

 話としては面白いが、都議選の総評としては、やはり異様である。政策決定としては何も決まらなかったからだ。オリ・パラ開催に関する民意は曖昧であったし、コロナ対策への審判があったわけでもない。まして、急速に悪化した都財政への対策も、急増する東京の高齢単身世帯への対処も、荒川氾濫に備えた防災体制など東京都の喫緊の課題についての判断もされなかった。

 考えてみれば、ここ数十年の国政選挙において政策選択として意味があったのは、2012年の第二次安倍政権登場における金融緩和政策への支持ぐらいだが、これも民主党政権への批判票が押し上げただけだ。アメリカ流の見方からすれば極めてリベラルな金融政策「アベノミクス」について、意味合いが正確に理解された上での支持ではなかった。その安倍政権は、その後は保守票を政治的求心力にしながら中道政策を続けるという綱渡りを続けたが、具体的な政策について民意を問うことはなかった。そして、現在は菅政権に対しては漠然とした不信感が広がる一方で、政策提案を持たない小池氏の政治的存在感が増している。

 こんなことでは、経済再建のための改革が民意の後押しで強力に実施されるなどということは起こり得ないだろうし、そもそも東アジアの中で民主主義のお手本として胸を張ることも難しい。

 解説ならいくらでもできる。主権者が絶望と不信のあまり代表への委任をしない現象だとか、そもそも日本社会は膨大なノンポリ人口でできているとか、全てを「永田町風雲録」的なドラマにして説明してしまうメディアの罪であるとか、どれも全くの間違いではない。

 けれども、異様な政治風土の背景には構造的な3つの問題が横たわっている。

 1つは、世論形成に大きな影響力を持つ賃金労働者の多くは、終身雇用契約により企業や団体に帰属しているという点だ。彼ら彼女らに取っては、生活設計を左右するのは年功序列集団内における地位の安定であり、景気動向や政策の影響は限定的だ。投票行動が明確な利害ではなく、印象論に左右されがちなのはこのためだ。

 2つ目は、異なる利害を代表する政党が少ないという問題だ。例えば、生活に困窮している非正規労働者を代表する団体はない。子育てや現業の現役世代の代表も少ない。その一方で、自営業や高齢世代、また地方の補助金の絡んだ産業に関しては、利害代表がある。つまり、自分たちの代表を持っている層と、持っていない層が偏在している。

 3点目としては、納税者意識の問題だ。国民がほぼ100%「タックス・リターン」の手続きをするアメリカとは違って、日本では年税額の計算を企業が代行する年末調整制度が残っている。地方税に至っては、1年遅れで企業が月払いで徴収して終わりである。従って、増減税への関心は少なく、財政規律の論議が印象論になりやすい。財政と税負担が厳しい利害計算を突きつけるはずの地方議会選挙が、低投票率下のイメージ選挙となるのはこのためだ。

 日本の民主政治が異様なのは、日本人の民度が低いからではない。問題の多くは制度に原因があり、そこにメスを入れる必要がある。

(れいぜい・あきひこ/作家・プリンストン在住)

復活の花火

独立とコロナ解放祝う

 1976年アメリカ独立記念日の200周年記念として始まったメーシーズ独立記念日花火大会は今年で第45回目を迎えた。

 2020年は人が密集しないよう打ち上げ場所を数か所考案、数日に分けて行われたが、今年は例年のような形でミッドタウン東側のイーストリバーで開催。

大きく打ち上げられる花火とマンハッタンを一緒に観ようと多くの見物客がクイーンズ区のロングアイランド・シティーにあるリバーサイドパークに詰めかけた。

 午後9時25分、1発目の花火が打ち上がると待ちに待ったとばかりにあちらこちらで歓声が上がった。家族で抱き合うグループ、嬉し涙を流す女性、キスをするカップルなどそれぞれ思い思いの表現で6万5000発の夏の夜空の祭典「NY復活の瞬間」を祝福した。 (写真・植山慎太郎)

RE:OPEN JAM

ジャパン・ビレッジ

音楽家支援、大使も一役

 独立記念日の4日午後、ブルックリンのインダストリーシティー内野外音楽ステージ、バンドシェルでアフターコロナのNY在住日本人音楽家支援ライブ「リオープン・JAM・アット・ジャパン・ビレッジ」のオープニングイベントが開催された。主催者を代表してジャパン・ビレッジの好田絵里奈さんが「音楽はコミュニティーを一つにする力がある。ぜひ楽しんでください」と挨拶した。続いて同イベント後援のニューヨーク日本国総領事館の山野内勘二大使が「米国の独立記念日、マスクを外してコロナ禍からの解放宣言、そして音楽を通じた日米の友情交流の3つの今日はお祝い」と祝辞を述べ、自らもメンバーである日本人ミュージシャンバンド@K4と共に演奏を披露し、会場の観客から喝采を浴びた。支援イベントは11(日)から13日間、ジャパン・ビレッジ内コートヤードで開催される。入場無料。雨天時は屋内スペースで開催。期間中は日本人ミュージシャン13組が1日1組出演する。

(写真)抜群の歌唱力で会場を魅了したボーカルのカズ(中央)とカンことリードギターの山野内大使(左)

NJ気球祭復活

レディントン・ソルバーグ空港敷地
23日から25日まで開催

 毎年7月にNJ州レディントンのソルバーグ空港敷地で開催されていた気球祭「New Jersey Festival of Ballooning」が、メインスポンサーをコンビニチェーン「クイックチェック」から宝くじを取り仕切る「NJロッタリー」に変えて今年は復活。第38回目となる今年は、7月23日(金)から7月25日(日)まで行われる。

 気球祭のハイライトは、金土日の午後6時30分と、土日の午前6時30分に、色とりどりの100基にも及ぶ気球が次々と膨らみ、一斉に大空に飛び立つ場面。この光景は鳥肌モノだ。

 また、同イベントでは、有名バンドのライブコンサート(有料)のほか数時間おきに色んな無料ライブが楽しめる。今年の目玉出演者は土曜夜のベアネイキッド・レディースと日曜午後のスティクス。また、迫力満点のスタントショーやアクロバットショー、ヨガ教室などのレクチャーやマジックショーなども行われる。移動遊園地もあって子供たちを飽きさせない。フード屋台も数多く並ぶのでよりどりみどりの食事も楽しめるし、スポンサーブースでは数々のギブアウェイグッズをもらえるので、お得な気分にもなれる。とにかく、朝から晩まで、家族や友人と丸1日ゆっくり楽しめるイベントだ。

 一般入場料は、サイトから前売り券購入で、1日大人32ドル。4歳から12歳までの子供は1日12ドル。3歳以下は無料。但し、返金は不可。尚、昨年は前売り券発売後に開催が中止になったため、2020年度のチケットを持っている人は、それを今年使用できるそうだ。また、事前予約制で一人240ドルから295ドルと高額だが、気球搭乗体験を申し込むこともできる。そのほか、目玉のコンサートには別料金が発生するが、音だけならステージの近くに行けば聞こえてくるのでちゃっかり無料で楽しむこともできる。

 チケット購入や気球祭の詳細は、ウエブサイトにて。https://www.balloonfestival.com/

黒川雅子展

日本画で描く芸舞妓

日本クラブWEBギャラリー

 日本クラブWEBギャラリーは、艶っぽく華やかで洗練された芸舞妓や太夫を描き続ける日本画家、黒川雅子氏の作品を紹介している。黒川氏が初めて舞妓を描き始めたのは30年前。以来、毎月祇園甲部に、そして時には宮川町や嶋原に写生に通っている。「芸舞妓や大夫を写生する度に、伝統工芸を全身に纏った生きた美術工芸品のように感じます。日本画は天然の岩石やガラス質の絵の具、金、銀、プラチナ等、鉱物で描く大変珍しい絵画。海外の方々にもご覧いただけたら嬉しいです」と語っている。同ギャラリーでは、輪違屋の如月太夫をはじめ、芸舞妓を描いた作品を解説とともに紹介する。詳細はhttps://nippongallery.nipponclub.org/を参照。

編集後記 7月3日号

【編集後記】7月3日号

 みなさん、こんにちは。本紙でも、毎年国連総会の開始と重なる国連平和デーに関連して紙面にたびたび登場する「国連の平和の鐘」。このほど、国連平和の鐘を守会(本部・東京都、高瀬聖子代表)が国連NGOとして正式に承認されました=本紙今週号7面で詳報=。ニューヨークに本部を置く国際連合グローバルNGOエグゼクティブ委員会(パトリック・シアラッタ会長)は6月26日、日本の国連平和の鐘を守る会から申請が出されていたNGO(非政府組織)への加盟について、前日開かれた25日の委員会で審査・協議し申請が承認されたことを通達したのです。即日国連NGOとしての身分が発効しました。これにより、同団体は国連の民間の外郭団体としての位置付けを得られ、さまざまな国連主催のイベントへの参加、配布物の支給、職員採用情報などの提供を無償で受けることになります。国連憲章に基づくNGOは、国際連合と連携を行う民間組織と定義されており、この文脈での非政府組織は、国際連合と協力関係にある国際組織と同義と考えられ実際に、国際連合が連携・協議する国際的な非政府組織は、国際連合NGOとも呼ばれ、国際政治を動かすほどの影響力を持つ組織として同等と認知された訳です。営利団体、政党、基金は除外されています。今回、快挙と言えるのは、ニューヨークの国連本部に直接申請して、本部からダイレクトに承認を受けたことでしょう。国連職員採用試験もそうですが、外務省を通して日本という国が後ろ盾になって国連に関わりを持つことが多い今日、徒手空拳で直に申請して、国連と独自のパイプを地道に築いた努力は多とします。国連平和の鐘は1951年、第6回パリ国連総会に出席した日本国連協会理事で、元愛媛県宇和島市市長の中川千代治氏が、「国を越え宗教の違いを越えて、平和を願う世界の人々のコインを入れた平和の鐘を造りたい」と当時の国連加盟国に訴え、国連事務次長ベンジャミン・コーヘン氏の協力を得、趣旨に賛同した65か国の代表者からのコインとローマ法王ピオ12世から受けた金貨9枚を入れて日本が国連に加盟する2年前の1954年に寄贈されました。毎年春分の日と9月21日の国際平和デーに合わせて、国連総会の開催時に国連本部前の日本庭園にあるこの鐘が鳴らされ、国連日本政府代表部がイニシアチブを執って例年国連事務総長と国連総会議長が国連幹部、各国代表者出席の下、世界平和を祈念して鐘打式を行っています。高瀬代表は、鐘を国連に寄贈したこの中川千代治氏の娘さんです。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)