色彩美に芸術の力

千住博が現代を彩る

 画家、千住博さんの展覧会「スペクトラム」がチェルシーに新しくオープンした画廊、サンダラム・タゴール・ギャラリーで来年1月15日まで開催されている。千住さんといえば、青を基調とした滝の日本画で有名だが、今回は、心機一転、カラフルで色彩に溢れた作品が並ぶ。春夏秋冬の四季を彩る黄色や緑、ブルー、赤といった今までにない色使い。何があったのか。

 「アトリエで40年間使わなかった絵の具が出てきて使ってみた」というのは千住さん一流の照れだが、本当は、今までとは逆に、滝の内側から外を見た時に世の中が色彩に満ちていることを伝えたかったからだ。

 「コロナだからこそ、この色彩豊かな作品を描いてみたいと思った。滝の内側から世界を見てみたら、こんな閉塞感に満ちていたと思われるCOVID-19 の時代だけど、なんて、世の中は色彩に満ちているのか。そうやっていつの時代も足りないものを補完していくのが、アートの役割だと僕は思う。例えば、クロード・モネやルノワールのあの温かい光に満ちた絵を描いていたのは、実はヨーロッパが第一次世界大戦の暗い時代なんですね。で、日本の狩野永徳が戦国時代に花鳥図を含む四季図を1枚にまとめて描いて秀吉に贈ったのもピース・メーキング・プロセスとして描いたわけです。四季は別々に描いたらいいじゃないかと思うじゃないですか。でもそれを平和創造として、利害関係が全く異なる概念がハーモニーを奏でることができる、これが芸術なんですね。今の時代に何が足りないかを考えた。それはやっぱり色彩だろうと。世の中でCOVID-19のようなものが山奥から引っ張り出されてきて、時に猛威を振るうのを改めて感じるわけです。東日本大震災の3・11の時もそうでした。

 こんなに色彩に溢れていることを見ることによって活力を得て、それがやっぱりアーティストからのメッセージだと思うんですよね。やっぱり人々が生きるためには美が必要。見て元気出して勇気もらって生きる力を回復して、それも自然が私たちに与えてくれている。自然の中で生かされているということです」と熱く語る。

 現在、シカゴ美術館でも大規模な展覧会が同美術館の安藤ルームで来年3月13日まで4か月間開催されている。コロナの先にあったのは鮮やかな色彩だった。

(写真)「滝の裏側から外を見た色彩に溢れた世界。コロナの時代だからこそ描きたかった」と絵の前に立つ千住氏(16日、写真・三浦良一)

はい、奥様! ご主人が作る手料理

プロに聞く、生き生きEATS(イーツ)

元気と美味しいを求めて料理の達人が腕を振るう (19)

  今月は、ニューヨークのお寿司好きなら知っているクイーンズ区サニーサイドにある竹寿司オーナーのロビン川田さんに、ご主人が奥さんに作ってあげられる簡単で美味しいメニューあれこれを紹介してもらいます。竹寿司といえば1980年代半ばまでグランドセントラル駅横のバンダービルトに店を構え、日本企業の進出拡大で大賑わいを見せた寿司店。その繁盛ぶりは『ニューヨーク竹寿司物語』(朝日新聞社・刊)の本にもなったほど。仕入れは今も昔と変わらずフルトン市場からの直買いを守っているからネタはとびきり上等だ。

竹寿司 Takesushi

43-46 42nd Street

Sunnyside, NY 11104

Tel (917)577-3969


■マグロのガーリック焼き

材料(1人前)

マグロの丸太切りをスライス

もしくは店で買った刺身用マグロの残り

塩 少々

胡椒 少々

ニンニク 少々

オリーブオイル

【作り方】

 マグロの刺身全体に塩と胡椒をふりかける。

フライパンにオリーブオイルを敷いてみじん切りしたニンニクを入れ、茶色に色つくまで焦がす。

マグロの全ての面を約5秒ほどフライパンに押し付けて、色がしろくなるまで焼く。

 表面全体が白く焼けたらまな板で1センチ幅にスライス。見た目はカツオのたたきのようになる。

ポン酢醤油、わさび醤油でいただく。中身は刺身なのに表面はステーキ。和洋折衷の美味い味。


■中国茄子のしぎ焼き風

材料(2人前)

中国茄子 1本

生姜 少々

ネギ 少々

オリーブオイル

【作り方】

 中国茄子は皮が柔らかくて中は甘く、紫の色も発色が綺麗で和食料理にも使える。フライパンにオリーブオイルを入れて皮の方から焼き始め、2〜3分で皮が黄色く焼けてくるので、裏返し、水を1ミリほど入れて蓋をして水分がなくなるまで中火で煮る。柔らかく焼き上がるので皿に盛り付け、ネギと生姜を乗せて、わさび醤油でいただく。とろっとしいて中がジューシーで茄子の美味しさが凝縮され香ばしさがいっぱい。甘くて美味しい。


■サーモンのベリー(腹トロ)焼き

材料(1人前)

皮と脂のついたサーモンの大きな切り身 1個

【作り方】

 中国茄子は皮が柔らかくて中は甘く、紫の色も発色が綺麗で和食料理にも使える。フライパンにオリーブオイルを

 皮の方を先に焼き、焦がし気味に。脂の方はさっと炒める程度。サーモンスキンのつまみとは別に

おかずとしての香ばしさがあり、食が進む一品だ。口の中で、パリパリのサーモンスキンと魚の脂身が混ざり合い、脂の乗ったかなり濃い味の焼き魚風を楽しめる。


■サワラの味噌焼き

材料(2人前)

味噌 200g

みりん 大2

酒 大2

水 50cc

砂糖 大5

【作り方】

 魚の切り身を1日から2日冷蔵庫で漬ける。ラップに包んで冷凍して保管。食べる時に解凍。味噌を洗ってとって焼いて食べる。オーブン、魚焼き器などを使う。


■ヤリイカ

材料(1人前)

なるべく大きいヤリイカを一杯

【作り方】

 手を中に入れて引き出し、背骨を抜く。目玉から下はゴミ。下足は5秒、沸騰したお湯に入れる。中まで熱が通らないように、足は柔らかくなる。身は、手のひらの大きさくらいにして調理する。なるべく細かく縦横に碁盤の目よりも細かい切れ目を入れる。寿司にも使える。出す時には「イカがですか」と出す。

日本人女性の働き方改革とワークライフバランス

コロンビア大学ビジネススクール日本経済経営研究所

12月1日ライブウェビナー

 コロンビア大学ビジネススクール日本経済経営研究所は12月1日(水)午後7時から8時まで、ライブウェビナー「日本人女性の為の働き方改革とワークライフバランス」を開催する。

 「日本人女性の為の働き方改革とワークライフバランス」のこれまでの軌跡、現状、そして今後の展開や課題について、各分野において日本の第一線で活躍する3人が登壇する。パネリストは、タサン志麻さん(パーソナルシェフ、ライフスタイルアドバイザー)、轟麻衣子さん(株式会社ポピンズホールディングス代表取締役社長)、二瓶美紀子さん(株式会社ワーク・ライフバランス ワーク・ライフバランスコンサルタント、社会保険労務士)。

 タサンさんは、大阪あべの・辻調理師専門学校、同グループ・フランス校を卒業。ミシュラン3つ星レストランでの研修を終了し帰国後、老舗フレンチレストランなどに約15年勤務。結婚を機にフリーランスの家政婦として活動。各家庭の家族構成や好みに応じた料理が評判を呼び「予約がとれない伝説の家政婦」としてメディアから注目される。轟さんは、1987年に母である中村紀子が設立した「働く女性を支援する」株式会社ポピンズの取締役に就任し、0歳からのグローバル教育を担うポピンズアクティブインターナショナルスクール代表理事を兼務。2017年にはマッチング型ベビーシッターサービスを展開するスマートシッター株式会社取締役に就任。二瓶さんは、地方都市の中小企業や自治体から、IT企業、大手総合商社まで幅広い分野でコンサルティング・研修を実施。前職の外務省にて多文化・多言語での環境下、コミュニケーションを重視したマネジメントを実践した経験を持ち、労働法制や労働政策にも詳しく、グローバルな視点からのアドバイスに定評がある。

 視聴無料だが要事前申し込み。言語は英語。申し込み・詳細はウェブサイトwww.gsb.columbia.edu/cjeb/を参照。

在日米国大使館のビザ特別措置、眞子さん来米時期と重なる

 在日米国大使館が今年9月21日から12月31日までの期間限定で学生(F1とM1)および交換交流プログラム(研修・インターンシップ)の新規ビザ(査証)申請と更新手続きで、通常は必要とされる面接を免除し、申請書の郵送だけでビザの申請をすることができる暫定的な特別措置が現在も施行されている。

 申請資格は、日本国籍を有する者、日本に滞在していること、学生ビザ(F、Mまたは一部のJビザ(中高生、大学生、教授、研究者、短期滞在学者、専門家に限る)を申請する者となっている。

 小室圭さんと10月26日に結婚した眞子さんが入籍後約3週間という異例の早さでビザを取得し、今月14日にはニューヨークに降り立てたのもこの特別措置があったからとみられる。在日米国大使館と領事館のサイトに「重要なお知らせ」として郵送申請の特別措置がアナウンスされている。米国向けのビザの発給は全世界共通ではなく、各国の米国大使館が裁量権を持って独自の方法を取っている。今回の期間限定特別緩和措置は、日本の米国大使館のみで実施、その理由については明らかにしていない。

 NYの移民専門の加藤恵子弁護士は「眞子さんが複雑性PTSDで大使館員との面接により精神的な負担をかけないようにという米国大使館の計らいとも考えられる」と話す。11月8日から米国はワクチン接種を条件に海外からの来米者を受け入れているが、それまでは英国、アイルランド、ヨーロッパ諸国、中国、インドなどの米国大使館では各種ビザの発行は停止していた。日本だけが9月から学生ビザの発行を行っている。加藤弁護士の言うことが正しければ、眞子さんの来米のための米国ビザ取得は、事前に「超法規的な」お膳立てをされていたことになる。在日米国大使館は23日、本紙の取材に対し、「プライバシーの問題のためコメントはしない」と回答した。

眞子さんの短期査証取得、在日米国大使館がコメント

「プライバシーの問題につきコメントできない」

 在日米国大使館に学生ビザ手続きの特別措置と眞子さんが短期でビザを取得して渡米できたことの関係性を問う11月22日付の本紙のeメールでの質問に、東京の在日米国大使館は翌23日次のように回答した。

【質問】

My name is Ryoichi Miura, Japanese journalist in New York. I have a question;  Could you tell me the reason why US special application for F -1,M-1 and J visa started September  21 to December 31 was set to be  postal mail apply only and without interview process?   Former Princess Mako-sama came to New York on November 14th after got married in just three weeks before, so did US embassy prepared for the Mako-sama go abroad to US with this special short term process? Please send me your reply as soon as possible.

【米国大使館の回答】

Dear Miura-san,

We have received your inquiry.  For privacy reasons, the U.S. Department of State does not comment on specific visa applications.  Thank you for your understanding.

Best regards,

The U.S. Embassy in Tokyo

(原文まま)

(関連記事)在日米国大使館の学生ビザや交換交流ビザに対しての特別措置

在日米国大使館の学生ビザや交換交流ビザに対しての特別措置

 小室圭さんとご結婚された眞子さんが入籍後に約3週間という異例の速さでビザを取得されニューヨークにいらしたことは、日本国内および先週号の本誌でも記載されました。いくつかの起因する点は考えられますが、その一つは、学生(F-1とM-1)および交換交流プログラム(研修・インターンシップ)の新規または更新でビザを申請する人たちが、面接を受けずに郵送でビザ申請がすることができるという在日米国大使館の暫定的な措置でしょう。9月21日より12月31日までの短期間のみ認められた措置で、下記の条件を満たしていなければなりません。

・ 日本国籍を有する

・ 日本に滞在している

・ F、Mまたは一部のJビザ(中高生、大学生、教授、研究者、短期滞在学者、専門家に限る)を申請する

・過去にESTA(電子渡航認証システム)の申請を拒否されたことがない

・ 日本、米国、またはその他の国で逮捕されたことがない

 これは、在日米国大使館と領事館のサイトに「重要なお知らせ」として掲載されています。郵送による申請方法のURLもそのサイト内に記載されています。

 各国の米国大使館は、ビザ発給に大して独自の方法を取っております。幾つかの米国大使館のサイトを調べてみたのですが、今回の措置は、日本の米国大使館のみのようです。眞子さんが複雑性PTSDで大使館員との面接により精神的な負担をかけないようにという米国大使館の計らいとも考えられます。ちなみにコロナ状況下で、イギリス、アイルランド、ヨーロッパ諸国、中国、インドなどの国では米国大使館で各種ビザの発行を停止したりしておりました。ようやくビザ発行も再開され、FDAまたはWHOが認可したワクチンを2回摂取した人は、11月8日から米国に入国できるようになりました。

 この大使館の措置で巷では12月31日までにF-1、M-1ビザやJ-1ビザが無制限に発行される、また就労ビザなども審査が緩和されるようだなどという噂がでているようですが、それは違います。たとえ面接が免除されたとしてもビザの審査は通常通り行われ、書類の不備または必要な書類が足りないと大使館で判断した場合は、電話またはEメールで要求があり、その要求に即して足りない情報や書類を再郵送しなくてはなりません。そして、あくまでの特別措置はこの3つのビザのみで、他のビザに関して新規申請の場合は面接を受けなければなりません。(加藤恵子/ニューヨーク州弁護士)

(関連記事)在日米国大使館のビザ特別措置、眞子さん来米時期と重なる

アニメ祭5万人、日本勢に長蛇の列

 アニメや漫画など日本のポップカルチャーの祭典「アニメNYC」が11月19日から21日までの3日間、マンハッタンにあるジャビッツセンターで開催された。前日までに5万人分が売り切れ、初日の18日は入場するのに4時間も待たされる混雑ぶりだった。(写真:「鬼滅の刃」のコスプレをしたファンたち)

 コロナがまだ収まっていないこともあり日本からのゲストは少なかったが、英語吹き替え版の声優の参加が充実しており、ドラゴンボールZの孫悟空役のショーン・シュメルや「進撃の巨人」のエレン・イェーガー役のブライス・パペンブルックら人気声優が集結。「鬼滅の刃」の主人公竈門炭治郎役の声優ザック・アグラーさんらのシンポジウムには1600人収容の会場に入りきれないほどの盛況となった。日本からは「アップルシード」(2004年)や最近では「攻殻機動隊 SAC2045」で知られるアニメ監督の荒牧伸志氏のパネルディスカッションやサイン会が行われ好評だった。「僕のヒーローアカデミア」などで知られる作曲家・林ゆうきさんのコンサートや、日本のVチューバーと回線でつないでの初のホロライブなども行われた。「ベルセルク」で知られる漫画家で今年5月に54歳で亡くなった三浦健太郎さんを追悼する大型ボードが設置され、多数のファンが書き込んでいた。

 日本企業はおなじみのバンダイナムコや紀伊国屋書店などに加え、講談社USAが「進撃の巨人」展、エン・プレス(KADOKAWA)が「トイレの花子君」、アニプレックスが「鬼滅の刃」などの展示で参加した。日本政府観光局(JNTO)もブースを出し、コロナ後をにらんだ観光キャンペーンを行った。在ニューヨーク日本国総領事館も協力し、総領事の山野内勘二大使が19日のオープニングに先立ち「鬼滅の刃」のテーマ曲「紅蓮華」を同館SNSでギター演奏し公開した。(武末幸繁、写真も)

ニューヨーク日系人会、新会長に佐藤貢司氏

 ニューヨーク日系人会(JAA)は18日の総会で2022年度からの役員選挙を行い、佐藤貢司副会長(62)=写真=が新会長に選出され、満場一致で承認された。現在オリエント・コーポレーション・オブ・アメリカのシニア・バイス・プレジデント兼現地最高責任者。ニューヨーク州弁護士。日本の外立法律事務所、NYのケリー・ドライ・ワーレン法律事務所で弁護士を務めた。JAAに2003年入会。04年から理事、09年から21年まで副会長。奨学金制度委員長、年次晩餐会委員長を歴任。米日協会カウンシル・リーダー。JAAの佐藤登元会長(在任1989〜90)の長男。二世代目の会長。

 以下役員は次の通り(敬称略)副会長・安西弦、ジュリー東、デビット広村、本間俊一、石田圭子、伊藤リキ、岩原誠、金重ユキ、スーザン・マッコーマック、満仲恒子、村瀬悟、カマール・ラマニ、竹田勝男。主事・石塚信久、副主事・ジュリー東。会計・長谷川久美子、副会計・下村昌樹。名誉理事・スキ・寺田・ポーツ、小野山弘子、大島襄。

 スーザン大沼前会長は通算11年間、初の女性会長として務め、2007年にJAA100周年記行事を開催、同年からシニア・ウィーク(現秋のヘルス・フェア)を始め、高齢者問題協議会や女性実業家の会の発足に尽力した。今後は名誉会長となる。

アンディ・ウォーホル展

ブルックリン美術館で開幕

 ポップアートの巨匠と呼ばれたアンディ・ウォーホルの展示会「Andy Warhol: Revelation(啓示)」が19日から来年6月まで、ブルックリン美術館(200 Eastern Parkway)で開催されている。彼の作品に頻繁に登場する信仰とその生涯にわたる関係を探ることをテーマに、最後の晩餐シリーズなどを展示する。入場料は一般25ドル、学生・シニア16ドル、4〜12歳10ドル、3歳以下・会員は無料。チケット・詳細はhttps://www.brooklynmuseum.org/を参照する。

 また、マンハッタンのフォトグラフィカ(パーク街281番地)でも写真展「Andy Warhol Photo Factory」を来年1月30日まで開催中。こちらは代表作のシルクスクリーン作品や有名人たちとのポラロイド写真など120点以上を展示している。

(写真)David LaChapelle (American, born 1963). Andy Warhol: Last Sitting, November 22, 1986. Chromogenic print. Courtesy of the artist

世界の女性の自立を支援するセラピスト

PARAFUSE. アカデミーアソシエーション代表理事

藤川恵美子さん

 「こんにちは」白衣を着た笑顔の女性がバカラホテルのロビーに現れた。ニューヨークのタイムズスクエアの電光掲示板、大晦日のカウントダウンで新年を告げるボールが下がってくるその世界が注目する広告塔の真下に、このほど宣伝広告を出した女性。米国ではまだ無名に近いエステサロンのパラフューズの代表、藤川恵美子さんだ。現在、藤川さんの分身とも言える9人が日本、ロシア、台湾、ベトナムを中心に全世界で4600人の同サロンセラピストを指導してパラフューズ式小顔調整テクニック「脳洗浄」を展開して活躍している。「脳洗浄」という言葉に「脳を洗浄?」とギョッとする読者もいるかもしれないが、ひとことで言うと夜、寝ている間に頭の中で作られ洗浄液の役割がある脳脊髄液を日中に流すというもの。足から始まる痛みのない施術により、全身の緊張を解き副交感神経を優位にさせて心地よい眠りに導くことで体内の老廃物を流れやすくさせていく新しいメソッド。道具を一切使わずに両手だけで頭部をマッサージすることで脳の疲労を回復させる同エステサロンが提供する施術名だ。2020年3月26日に特許庁にて商標登録されている。

 自律神経を整える脳洗浄は、疲れた現代人にむくみの解消をはじめに、深いリラックスを短時間で提供するのが特徴。藤川さんは「道具を一切使わずに両手だけで施術を行うので誰もが自立がしやすく、脳疲労が和らぐため日本では家族のために資格を取る方も増えている」と話す。

 1975年に福岡県久留米市生まれ。高校卒業後、いくつかの大手エステサロンで活躍の後、2016年に小顔&美容整体スクール「PARAFUSE」を港区白金台でスタートした。以降、誰にでも習得可能な独自のオールハンドメソッド「脳洗浄」を自らの自立と誰かの幸福のための技術、また、シェアリングモデルとしてアカデミー化し、現在「HAND&PEACE」をテーマに女性の自立支援を展開中だ。「アジアでは女性の社会的地位が低く、また、マッサージ師に対する社会的評価が低い。脳洗浄の技術を習得させ、全世界に同じマインドを持つセラピストたちを増やしていきたい」と目を輝かせる。2022年にはNYサロンオープンのため、藤川さん自身がNYに拠点を移す予定だ。来年9月には脳洗浄のセラピストを世界に増やすため船で世界一周の計画も進行中だ。(三浦良一記者、写真・植山慎太郎、ヘアメイク:Aya Iwakami)

 

ハレルヤ!

ニューヨークの魔法
岡田光世

 サンクスギビングに、サウス・ブロンクスの教会に行った。この辺りは犯罪多発地帯として悪名高い。午前九時半、礼拝堂にはすでに二十人ほどが集まり、静かに祈っている。祭壇の前の床にも数人がひざまずき、祈りを捧げている。

 最後列に男の人が三人すわり、祈っていた。やがて別の男がやってきて、三人を後ろから抱え込むようにして、一緒に祈り始めた。

 彼らはみんな、長いことホームレスだった。お金が手に入れば、ドラッグをやった。クッキーやリンゴを買って、腹の足しにしていた。この教会に出会い、メンバーがアパートを探してくれた。

 やがて礼拝堂はいっぱいになった。礼拝は延々と二時間続いた。牧師の説教のところどころで、人々が両手を高く掲げ、ハレルヤ! アーメン! と大声で叫ぶ。歌い、踊り、体中で神を賛美する。

 傷ついた者たちよ。前に来なさい。

 牧師がそう呼びかけると、人々が前に集まってくる。牧師が祈りながら額に触れると、彼らは崩れるように床に倒れる。体が震え出す人もいる。肩を抱き、泣き合う姿が、あちこちに見られる。

 女性教会員がホームレスの男の人の隣にすわり、肩や頭を優しくなでている。完全に目のすわったその男の人は、彼女の手が頭に触れるたびに、意識を取り戻したかのように目を開け、彼女が開いた聖書のページに目をやる。

 礼拝のあと、メンバーらが外を歩き回り、道をうろつく人たちに、サンクスギビングのディナーに来ませんか、と呼びかける。

 この辺りにはドラッグ・ディーラーもたむろしている。ホームレスの人たちのために、メンバーが手分けして、八十羽のターキーを焼き、ピラフを作り、テーブルを用意し、給仕しているのだ。

 しばらくすると、教会の前には長蛇の列ができた。

並んでいるホームレスの男の人が、仕事でカメラを持っていた私に声をかけてきた。

 俺の写真を撮ってくれよ。今日、この場にいたことの証拠にさ。来年はここにはいないように、頑張るからよ。

 You never know.

 どうなるかは、誰にもわからない。ひょっとしたら、来年のサンクスギビングには、彼はホームレスを迎える側にいるかもしれない。

 このエッセイは、文春文庫「ニューヨークの魔法」シリーズ第1弾『ニューヨークのとけない魔法』に収録されています。

https://books.bunshun.jp/list/search-g?q=岡田光世

編集後記 11月20日号

【編集後記】
 みなさん、こんにちは。今週一週間を振り返るとやはり、ニューヨークの日本人社会にとってのビッグニュースは、眞子さん、圭さん夫妻の来米だったでしょう。日本でも連日、眞子さん、小室さんに関するニュースがテレビやネットで溢れかえっていて「静かにお二人の幸せな生活を見守っていきたい」と言っているその口で「ニューヨークで二人の生活はどんな感じになるのだろう」と関心を寄せてしまうのが下世話な世界に生きる一般庶民の心情でしょうか。女性皇族が結婚によって皇族を離脱するすることは決まっていることなので珍しいことではないですが、「二人にとって結婚がかけがえのないもの」として世間の様々な声とは別に、しっかりと愛を貫いたことは、ドラマチックな出来事として結構日本の歴史に残るエポックメーキングな出来事だったかもしれないです。何か大事なものを得るということは何か別の大事なものを捨て去るということでもあるとどこかで聞いた気がしますが、今週号では、本紙としては珍しく、個人的なマターであるお二人の来米の記事に紙面を割きました。飛行機から降りて、ロビーで待ち受ける報道陣の前を通ってガラスドアを出て行くまでの20秒足らずの短い時間で分かったこと。それは眞子さんの目尻が終始垂れていてマスクの下で笑顔になっている様子がうかがえたこと。車に乗り込む時に何度も(後から数えたら7度も)誘導関係者にお辞儀をしている姿に明るい一人の若い女性の顔があったこと。「20秒の到着劇場」、紙面でお読みください。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2021年11月20日号)

(1)NY到着 小室眞子さん圭さん夫妻 

(2)現代舞踏家の田中いづみ 宣言直後の初公演

(3)JAL東京ーNY就航55周年 JFKで祝賀特別イベント

(4)住まいは ヘルズキッチン ワンベッドルーム 

(5)街の中のPCR検査で帰国可能か? 安心確実なのは指定医療機関

(6)手作り石鹸に挑戦 大人の教養講座

(7)現代日本の戯曲を英語朗読

(8)6人の監督作品 ジャパン・ソサエティーで 

(9)横尾忠則その創造と歩み

(10)心の糸を美術品のように紡いで