老後生活困窮の現実

(全ページ:日系社会の駆け込み寺より続く)

日米ソーシャルサービスの社会福祉活動

米制度の狭間から救う

 実際に手を差し伸べたケースを2例紹介する。

 Aさん(シニア男性)は、ニューヨーク市内で独り暮らしをしている。Aさんが経営する会社が倒産し、収入を失った。Aさんの年金額は非常に少なく、生活費が不足する様になった。固定資産税やその他の負債が累積し、困ったAさんはJASSIに相談した。スタッフは、Aさんが申請可能な財政援助のオプションを調査し、ニューヨーク市の固定資産税および利息繰延プログラムへの申請支援を行った。また、高齢者住宅所有者の固定資産税控除プログラムでもAさんを支援する準備をしている。このほかにも、Aさんが申請できる適格な支援を引き続き探して支援しているという。

 Bさんは、夫と共に幼少の4人の子供を育てながら、ニューヨーク市で生活している。Bさんは、専業主婦で子育てに忙しくしていたが、コロナ渦で夫が働く会社が経営不振と知って、経済的な不安を感じていた。Bさんは、ウェブサイトを検索してJASSIの存在を知り、相談するために電話をかけた。電話を受けたJASSIのスタッフは、連邦政府やニューヨーク州及びニューヨーク市からのさまざまな公的支援の情報を提供し、必要な申請手続きを支援した。その後、行き詰まった会社がBさんの夫を解雇し、家族の収入源が途絶えた。貯蓄も無く、生活に困ったBさんは、再度JASSIに相談をした。JASSIのスタッフは、直ちに失業保険の申請手続きの支援をし、無料の医療保険への加入手続きの支援をした。その直後、Bさんが重病で緊急入院した。入院した病院からは、保険の情報なども含めて多くの複雑な情報を要求された。内容がわからないというBさんに変わって、JASSIのスタッフが病院に情報を提供し、Bさんは無事退院して在宅療養することができるようになった。公的支援を請けつつ、幼い子供たちと一緒に生活しながら、Bさんの夫の体調は、少しづつ良くなっているということだ。

 JASSIは、1981年の発足当時から一人一人のニーズに合わせたサービスを無償で提供し続けており、今後も米国制度の狭間で困っている 多くの人へ、米国で生活の基盤を図ることができる支援を続けていきたいという。寄付金は全額税金控除対象となる。JASSIはコロナ前は、KPMGやDTTのボランティアの支援を得て印刷物を折ってもらいラベルを貼る作業などして、ニュースレターを発送していた。その郵送リスト全体の数は個人が1580人ほど、会社のリストは1800ほどで、全部で3380人ほどに上る。ただ、シニアで登録している人は、460人。また、昨年度に支援したシニア432人の中には登録していない人も多く、一度だけのコンタクトの人もいるという。なお、現在では、Eメールで2153人に「Eニュースレター」を発送している。


JASSIを支援する企業・団体

· City Care Family Practice, P.C.

· Eisai USA Foundation, Inc.

· ITO EN (North America) INC

· IHI Americas INC.

· Japanese Medical Society of America;

· Japanese Chamber of Commerce and Industry of New York, Inc./ J.C.C. Fund

·  KPMG LLP

· Law Office of Ryoko Mochizuki & Associates/ LORMA HR Advisory Services

· Maruzen International Co., Ltd.

· Mitsubishi UFJ Financial Group, Inc.

· Mitsui & Co. (U.S.A.), Inc./ The Mitsui U.S.A. Foundation

· Nippon Steel North America, Inc.

· Relo Redac, Inc.

· Sony Corporation of America

· Sumitomo Corporation of Americas

· T.I.C. Restaurant Group

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NY日系社会の駆け込み寺に

日米ソーシャルサービス(JASSI)理事長

望月良子さん

 ニューヨークの日系社会で駆け込み寺として知られる日米ソーシャルサービス(JASSI)の理事長に7年前になった。理事になってからは25年になる。JASSIはニューヨークで、言語や文化の違いから支援を必要としている人へ無料で福祉サービスを提供している非営利団体で、生活に困り果てた時の最後のセーフティーネット、駆け込み寺として機能し、今年で40周年を迎える。

 生活に行き詰まったり、経済的な困窮者となって日本に帰国することもアメリカで安定した老後を送ることも難しい高齢者たちに手を差し伸べている。昨年度JASSIが支援したニューヨークに住む日本人および日系人のうち、822人が公的支援を受けられる低所得者であったという。多くが永住者で、チップや現金収入で生計をたててきた料理人やミュージシャン、アーティスト、個人の自営業など自由業が多い。現地採用でも会社員としてソーシャルセキュリティー(米国社会保障年金)や401(K)
を長年自動天引きされて積み立てて収めてきた人たちと違い、個人の自営業だと十分な積み立てがなされていないケースが多く社会保障の恩恵を受けられていない。

 「ホットライン・プログラム」では、生活面で問題を抱え困っている人を支援している。昨年度は、多くの人からNY州医療保険加入を含めたヘルスケア、コロナウイルス、公的支援、メンタルヘルスに関する問い合わせが多かった。2020年7月1日から2021年6月30日までのコンタクト数は過去最高で延べ6925件で、平均で一週間に133件にも上る。クライアント数は1270人で、そのうちシニアのクライアントは432人。クライアントの8割が貧困層に近い低所得層だ。運営は企業の寄付と政府補助金だけで登録者から会費はとっていない。そもそも援助を求める人からお金は取れないのだ。

 望月さんは、1980年に米国に憧れて来米した。一人でグレイハウンドバスに乗って米国を2か月間かけて走り回り、ヒューストン大学卒業。その後フランス系企業勤務中にCPAと弁護士資格を取得し、日系コミュニティーを個人的に支援したいと思うようになり、1996年KPMGのニューヨーク事務所に入ってすぐJASSIの理事となった。今も弁護士としての仕事を続けながらJASSIの仕事を続けている。

 「困った人たちに必要な情報を提供するホットラインのサービスは、いつの時代でも必要なサービスだと思います。しかし、ニューヨークの日系企業の数は減少する傾向にあり、資金集めは年々難しくなっています。引き続き、皆様からのご支援を頂きますようお願いいたします」と話す。

 (三浦良一記者、写真も)

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年末年始はお酒で楽しく

福島で作るカリフォルニア純米大吟醸

UKA

 福島県とカリフォルニアをつなぐオーガニック純米大吟醸「UKA(うか)」が誕生した。(写真上)UKAとは、日本語の羽化のこと。丹念に育まれた米が、独特の吟醸香と芳醇ながら繊細な味わいが口内に広がる、つまり真に味わう喜びを与える酒に変身(羽化)したものだ。そのUKAに変身する有機米を栽培しているのは、米カルフォルニア州にある国府田ファームだ。

 創業者の国府田敬三郎は、1908年(明治41年)に福島県から米国に移住。同州でさまざまな業種を体験後、邦人の命の源泉である米作・精米農園を設立し、現在もその子孫によって受け継がれている。

 その三代目が、創業者の出身地である福島県の酒の名産地、二本松にある十九代続く人気酒造株式会社とコラボレーションをした酒UKAは、安達太良山からの最良質の伏流水が使われている。国府田ファームのオーガニック米は、最上級の酒とされる純米大吟醸を作るため、極限の40%になるまで磨かれている。UKAのロゴの蝶々は日本の墨絵がインスピレーションで、羽根の下にはカルフォルニアと福島の地図がかたどられ、日米関係の絆を深め、向上し合えるという想いが込められているそうだ。

 ラインナップは、UKAドライ、UKAブラック、UKAスパークリングの三種類。容量はいずれも720ミリリットルと300ミリリットル。米国内での問い合わせは、オオムラサキ・ビバレッジ・カンパニー、マイケル・ジョン・シムキンさんまで。

Eメールアドレスmjsimkin@omurasaki.us

ウェブサイト:https://omurasaki.us/

ブルックリン産飲み物で乾杯

 大人数でのパーティーが楽しめるのはまだ先になりそうだが、夫婦や大切な友人たちと、ブルックリンで作られたワインやビールを片手に食事と会話を楽しもう! お世話になった人への贈り物やお祝い、手土産としても喜ばれそうなものばかりだ。

■ブルックリン・ワイナリー(ワイン)

213 N. 8th St. 

TEL:347-763-1506

http://bkwinery.com

 全米から厳選したブドウを買い付けて、ワインの醸造だけ行うアーバン・ワイナリー。かつてクラブだった建物を改装し、1940年代の壁紙、バーには教会の使徒席に使われていた木材を使用するなど、雰囲気のある店内でワインの飲み比べが出来る。工場見学はワイナリーの歴史や工程の説明を聞き、後半はたっぷり試飲タイムを設けている。店内を貸し切って行われる結婚式も人気がある。

■ブルックリン・ブルワリー(ビール)

#1 Brewers Row, 79 N. 11th St.

TEL:718-486-7422 

http://brooklynbrewery.com

 1988年に創業した、ブルックリンからアメリカ全土のみならず、世界30か国以上にクラフトビールを送り出すブルワリー。人気商品「ブルックリンラガー」はビールの世界大会と称される「World Beer Cup 2018」で金賞を受賞。新作ビールが飲める工場見学ツアーも実施中。大晦日の午後10時からはDJの音楽と飲食、ラッフル付きのパーティーも開催予定。

■グリム(ビール)

990 Metropolitan Ave

TEL:718-564-9767

https://grimmales.com

 アーティストとして活動していた夫婦により2013年に創業したブルワリー。伝統的なスタイルに独自のアイデアを加えた、さまざまなテイストの新作ビールを次々と発表している。醸造所を兼ねたタップルームでできたてビールと軽食も可。新作はオレンジジュース、バニラ、ミルクシュガーなどを使った「オレンジクリームポップ!」、ダブルIPAの「パルスウェーブ」(写真)など。

■キングス・カウンティ蒸留所(ウイスキー)

299 Sands St., Bldg. 121

TEL:347-689-4180 

http://kingscountydistillery.com

 海軍造船所の跡地、ブルックリン・ネイビーヤードにある築123年の建物を改装した工場で、伝統的な製法を守りウイスキーを作っている。禁酒法以来、NY市で最古のウイスキー蒸留所になった経緯や、製粉、発酵、蒸留のプロセスを学べる工場見学(45分または75分)がある。見学ツアー最後のテイスティングタイムにはさまざまな受賞歴のあるクラフトウイスキーが試飲できる。

■ブルックリン・クラ(日本酒)

68 34th Street

347-766-1601

https://www.brooklynkura.com/

 2018年、インダストリーシティとして開発が進むエリアにオープンしたNY初の酒蔵。日本の伝統的な酒蔵で飲んだ日本酒に感銘を受けた2人のニューヨーカーが、アメリカ産の山田錦とカルロース米、ブルックリンの水道水を使用し、ほぼ独学で学んだ醸造技術でつくる注目のクラフトSAKE。お酒が好きな人は、ニューヨーク生まれの純米吟醸の生酒をぜひ一度お試しあれ。

伝道師タミーを演じきるジェシカ・チャステイン

 「ゼロ・ダーク・サーテイー」(2013年)ではアルカイダのオサマ・ビン ラーデンを追う勇敢なCIA調査官を激演してオスカー候補になり、「モリーズ ゲーム」(17年)では五輪スキー選手転じて最高レベルの賭博施設の経営者などなど、鋭い知性と恐れを知らない女性の役をオハコとするジェシカ・チャステインが今回は何と、毛虫のような付け睫毛と濃いメークで一世を風靡したテレビ宣教師のタミー・フェイ・バッカーの役に挑戦。題名も「ジ・アイズ・オブ・タミー・フェイ」とあのヤバイ「目」を強調した新作である。70年、80年代に夫のジムと共に豪華絢爛の暮らしぶりを披露しつつ「お金を稼ぐ程に神はさらに愛してくれる」と唄って独自のミニ王国を築いたものの、スキャンダルに巻き込まれ、葬られてしまったアメリカの歴史の一コマを覚えて居られる方も多いはず。

Jessica_Chastain; XMen_Dark_Phoenix, Photo: Armando Gallo

 ジェシカは今年44歳、サクラメントに生まれ、幼い頃からダンスに励み、有名なビーガン・レストランを経営するシングルマザーの母親に育てられ、名門ジュリアード学院を優秀な成績で卒業、おまけにボッティチェリの女神のような彫りの深いチャステインの古典的なルックスもプラスになって、今やハリウッドでもひときわ格調を漂わせる中堅の存在になっている。

 その彼女がなぜ、崇高とは言い難い、厚化粧の宣教師の役を演じたくなったのか、その辺りを質問してみた。

 「ドキュメンタリー映画を見て伝説の裏に潜むタミー、例えば彼女はウオータープルーフのマスカラを塗っているから泣いても流れないのに、マスコミは目の下に黒いマスカラが垂れたグロテスクな顔にして嘲笑したり、夫の失敗のために罪を咎められ、全米で最初にエイズに注目して、助けの手を差し伸べるなど数々の有意義な行動をしにもかかわらず、歪曲されて報道されるなどに憤慨してしまったから、とでも言おうかしら。本当のタミーの姿を見せたいとすぐに映画の権利権の5000ドルを払ったのです。

 タミーの子供達は全面的に協力してくれましたが、まだ存命中の夫には連絡しませんでした。

Andrew Garfield が、夫のジム ベイカーを演じてます。右が実物のカップル。

 役作りはまず彼女のビデオを朝から晩まで見て、タミーの声を自然に出せるように練習、メークには苦労したのよ。最初は8時間かけて試行錯誤を重ね、慣れてきて4時間、その間、24枚ものアルバムを出したタミーの歌を覚えて、映画の中では全て私が歌ったのですよ! 座りっぱなしで足が浮腫んでしまい、血行を良くするストッキングを履いたりと色々あったわね。毎日、数ポンドにも思えるメークの量を塗っていたために、肌が異常に荒れて、半永久的なダメージを負ってしまったりと女優になって初めての厳しいメークのプロセスでした。

 何はともあれ、タミーの愛することにかけての包容力、差別すること無く誰もが愛される価値を持っていると信じている姿を映画から受け取って欲しいと思います」

 ジェシカはイタリーの貴族にして、モンクレアと言うファッションブランドの重役と17年に結婚、代理母を使って2人の子供を授かり、現在家族はニューヨーク在住。社会意識が強く、犬が大好きでペットのレスキュー活動を情熱的に支持、映画界の性差別問題とも積極的に取り組み、男優と女優のギャラの差にも批判の声を投げかけている。

来年は「ジョージ・アンド タミー」と言う作品で、再びタミー役、今回はカントリー歌手のタミー・ワイネットを演じるそうで、ご自慢の歌唱力を発揮、楽しめそうだ。(写真上:実物のタミー フェイ とメークしたジェシカ(右)1970、80年代の宗教カルト)

ダブルダッチ国際大会、日本チーム大活躍

 

 ダブルダッチ国際大会が12月5日、ハーレムにあるアポロ劇場で開催され、米国、ケニア、ブラジル、日本から延べ51チームが参加し、日頃の練習の成果と実力を競った。日本からは国内大会で勝ち抜いた日本大学など5チーム24人の日本選手団(原竹純団長)が来米し、フュージョン部門のアドバンスドクラスで立命館大学のアルフレッド(Alfred)が優勝。日大のロアー(Roar)が三位に入賞した。ノービスクラスでは小中学生のノア(NOAH)が個人、ダブルスの両部門を制覇、クラス優勝も果たし3冠を達成する大健闘の結果を納めた。

 原団長は「今大会はコロナ禍の中、またオミクロン株が世界中で流行しつつある中で、2年ぶりの現地開催の大会だった。Alfredは大学2年生での優勝を果たし本当に素晴らしい」と語った。

 参加選手代表のコメント Alfred「関西をはじめ多くの方に応援していただき優勝できた。本当に嬉しい」

NOAH「夢が叶った。目標にしていた優勝ができてすごく嬉しい」。

 コーチの及川和宏さん談話「コロナ禍でいつもどおりに練習ができず、苦労したことも多かったが、それらが報われた。優勝は努力の成果が出せた結果。身近な先輩が優勝したことで後輩たちも高い目標をもって練習してほしい」。(写真:© Double Dutch Delight)


大会での結果は次の通り。 

・ FUSION NOVICE

優勝 NOAH (ZERO-ONE)

・ ADVANCED

優勝 Alfred (立命館大)

3位 Roar(日大)

7位 雲外蒼天(日大)

8位 No logic(大森D.D.S.)

・ ROSTERS SINGLE

7th Grade

優勝 NOAH(ZERO-ONE)

8th Grade/OPEN

3位 Alfred(立命館大)

・ ROSTERS DOUBLES

7th Grade

優勝 NOAH(ZERO-ONE)

栗ご飯、アワビとわかめのスープ、ミートローフ・ニューヨークスタイル

プロに聞く、生き生きEATS(イーツ)

元気と美味しいを求めて料理の達人が腕を振るう (20)

 お正月の生き生きEATSは、本紙連載「アートクッキング」でお馴染みの料理研究家、千葉真知子さんに、お正月らしい栗ご飯、食べ応えのあるミートローフ・ニューヨークスタイル、そして鮑とわかめのあっさりスープの3品の作り方を教えてもらいます。


■栗ご飯

 アメリカの栗は日本の栗に比べて甘く感じます。栗を見分けるコツは手で触ると固く、中に空洞を感じないものを選びます。フレッシュな栗ほどからが固く、甘みとホクホク感があります。むくのが大変ですが、今が旬の栗を味わってみてはいかがでしょうか?

材料

栗 18個から20個 

米 3カップ半

水 650cc

塩 小さじ1と1/2

昆布 10cm

【作り方】

①栗は底のザラザラの部分を切り落としてから横半分に切って殻をむく。

渋皮を丁寧に包丁でむく。

②米はよく研いでざるにあけて水分を切って分量の水を加え、昆布、栗をいれる。塩を入れて、浮いてくる栗を手で米の中に入れて炊き上げる。


■アワビとわかめのスープ

 あわびは非常に多くの栄養価が含まれています。ビタミンB1、B2、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、グルタミン酸、コンドロイチンなどが豊富に含まれています。

 コンドロイチンは眼球の成分の一部、軟骨の成分など、改装に含まれる栄養素を濃縮。低脂肪かつ高たんぱく。ダイエット効果、美肌効果、疲労回復、眼神経の改善、

滋養回復に良いとされています。

材料

塩蔵わかめ 20g

アワビ 2個

にんにくすりおろし 大1

オリーブオイル 大1

みりん 大1

ごま油 小1

オイスターソース 小1

塩 小2/3から小1/2

胡椒 小1/3

【作り方】

①若布は水に戻し、塩分を取り1センチメートルに切る。

②アワビはブラシで洗い、身を殻からスプーンなどを使い切り離し、スライスする。

③鍋にオリーブオイルを入れ、にんにくすりおろしを香りが出るまで炒め、①の若布、②のアワビスライス、アワビの濃い緑色の部分であるきもを入れてさっと炒め、水、調味料を加えて煮る。


■ミートローフ・ニューヨークスタイル

 材料を混ぜて焼くだけの簡単ミートローフです。

材料

合い挽き肉 650g              

玉ねぎ微塵 1個  

卵 1個

ニンニク微塵 3片  

パン粉 大さじ5   

カシューナッツ 50g  

ケチャップ 大さじ6  

オレガノ 小さじ1         

 バジル 小さじ1/2          

タイム 小さじ1/2        

塩 小さじⅠ                           

胡椒 小さじ1/2              

パプリカ 小さじ1  

【作り方】

①玉ねぎ、ニンニクみじん切りを炒めて冷やしてからボウルに入れ、ひき肉、カシューナッツ、香辛料を全部加えて手でよく混ぜる。型に入れオーブン200℃で40分から50分焼く。


プロフィール=東京、ニューヨークを拠点に活躍。ニューヨークカリナリー料理学校、タイムワーナーにあるウイリアムソノマ、パリの名門料理学校ル・コルドンブルー本校をはじめ、イギリス、シカゴのコルドンブルー料理学校でも講師を務める。Machiko cooking USAを代表。パーティーのプレゼンテーションや食と音のコンサートの総合プロデュース、食を中心のイベント、企画を手掛ける。10年の歳月をかけて考案をした電子レンジ調理鍋「クック膳」を世界的な商品に育てる。

クック膳は経済産業省大賞受賞。

恐竜のお守り

ニューヨークの魔法
岡田光世

 向こうの大きなテーブルは、障害を抱えた子どもたちのグループでにぎやかだった。何かを楽しそうに作っている。

 私は、アメリカ南東部、ジョージア州のコロンバスという町にしばらく滞在していた。

 その日、友人の知り合いが陶芸工房へ連れていってくれた。ジョージア州は粘土質の赤土で有名だ。私にとって陶芸は初めての体験で、ろくろをうまく回すことができず、悪戦苦闘していた。

 私がろくろを回す手を休め、ふと顔を上げると、目の前に見知らぬ男の子が立っていた。小学四年生くらいだろうか。

 その子は、片腕がなかった。片手で重たそうに焼き物を持っていた。 

 I made this. 

 これ、ボクが作ったんだ。

 筋骨隆々の恐竜が、Uの字に体を曲げ、鋭い目でこちらをにらみつけている。恐竜の目の前には卵が六つあり、それを食べようとしているのだろうか。

 表情がリアルで力強く、今にも動き出しそうだ。指一本一本、卵ひとつひとつにまで、少年の思いが込められているようだ。 

 Do you like it? 

 気に入った?

 素晴らしいわ。気に入ったどころじゃないわ。

 男の子は口元をゆるめた。 

 This is for you. 

 これ、君にあげる。 

 私は耳を疑った。

 そんな。何、言ってるの?   だめよ。一生懸命、作ったんでしょう。

 I like you. 

 君が好きなんだ。

 何度も断ったけれど、男の子はどうしても私にくれるという。 

 He’s attacking the eggs. 

 恐竜が卵を狙っているのね。 

 私がそう言うと、男の子は首を横に振った。 

 No. 

 違うよ。 

 私は首を傾げる。 

 He’s protecting the eggs. 

 恐竜は卵を守ってるんだよ。

 あれから三十年近い歳月が流れ、恐竜はいつしか、私のお守りになった。 

 今もリビングルームのピアノの上にある。 

 住む場所が変わるたびに、卵がばらばらにならないようにテープで止め、丁寧に何重にも包み、恐竜とともに新しい住処へと越してきた。

 あなたの宝物を、ずっと大切にします。

 あのとき、あまりに突然で、言葉にできなかった少年との、固い約束だと思っている。

 

 このエッセイは、文春文庫「ニューヨークの魔法」シリーズ第7弾『ニューヨークの魔法の約束』に収録されています。

https://books.bunshun.jp/list/search-g?q=岡田光世

パワー放出の年に

大江千里(ジャズピアニスト)

 あけましておめでとうございます。

 今年の目標はまず健康でいること。体ももちろんそうですが心もです。

 少しずつ街に笑顔が戻り、僕たちが知っているNYの活気や元気が戻り、新しい年はきっと今までうちに秘めていたパワーを一気に放出する年になります。コロナの前までに頑張ってきた仕事や縁が途切れることにより、なかなか元通りに回復しない中、過去に縛られていてはコロナを乗り越えた意味がありません。あたらしい目線で今までにないやり方でさらに挑戦をしたいと僕は思います。

 この街は時にクールな顔を見せる時がありますが、ゴールを決めてそれに果敢と立ち向かう者に対しては味方になってくれます。この困難を超えて生き続けることへの感謝を込めて全身全霊で夢に向かって駆け抜けたいと思っています。 皆さんが笑顔になって内側から勇気が湧いてくるような音楽を作りたいと思います。ぜひどこかでそれを聞いていただける日が来るのを楽しみにしています。

 皆様にとって素晴らしい年になることを心から願っています。

【編集後記】12月18日号

【編集後記】12月18日号
 みなさん、こんにちは。今日でレギュラーが終わり、明日から新年号です。クリスマスカードも作ってもなかなか出す時間が取れず、編集後記代わりにここに貼り付けます。

A small happiness is around the corner of 2022 and it will stay for a while.
ニューヨークの日本語新聞「週刊NY生活」のご愛読、いつもありがとうございます。本紙も2022年で創刊満18年となりました。これもひとえに読者、スポンサーの皆様のご支援の賜物です。パンデミック以降は、毎週水曜午後にロングアイランドシティーの印刷工場で新聞を刷り終わったあと、その足でクイーンズとマンハッタンを車で配達しています。夕方になり、イーストビレッジの古いクリーニング店の前で信号待ちをしていると、店のテントにどんどんと白い雪が降り注いで来ました。しかし窓から漏れる明かりは温かそうでした。それでは、みなさん、よい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)

【今週の紙面の主なニュース】(2021年12月18日号)

(1)永住者にも投票権 NY市議会が可決
(2)ケネディ元駐日米国大使 旭日大綬章を伝達
(3)棟方志功展始まる ジャパン・ソサエティー
(4)えんとつ町のプペル NY上映で西野亮廣来米へ
(5)ジャズのロン・カーター 旭日小綬章を伝達
(6)「おめん」の品川さん死去  SOHOで一時代築く
(7)ジャズピアニスト白崎彩子さん死去
(8)ホリデーマーケット Xマス商戦大盛況
(9)世界の遺児に教育支援 寺尾のぞみさん
(10)海外児童を経済支援 外務省が在外公館通じて

ケネディ元駐日米国大使に旭日大綬章をNYで伝達

日米相互理解に貢献

 令和3年(2021年)秋の叙勲において、旭日大綬章を受章したキャロライン・ブーヴィエ・ケネディ元駐日アメリカ合衆国大使への叙勲伝達式が8日夕、ニューヨーク総領事・大使公邸で行われ、山野内勘二大使から勲章と賞状が手渡された。(写真:叙勲の喜びを語るケネディ元駐日米国大使(8日、写真提供・NY日本総領事館))

 ケネディ大使は、平成25年11月に史上初の女性駐日米国大使として赴任し、約3年間の在任期間中に多くの歴史的要人往来を成功させたほか、35都道府県を訪問して市民との交流を行うなど、日本国民の幅広い層との関係を積極的に構築し、日米両国の友好親善や相互理解の増進に大きく貢献した。在任期間中、ケネディさんは、東日本大震災被災地の復興支援、日米安全保障体制強化及び在日米軍再編問題への取組、オバマ大統領による広島訪問・安倍総理による真珠湾訪問、女性活躍の促進等の活動に尽力し、駐日大使離任後も日米間の文化交流促進の活動を続けている。