永住帰国者の手続きを支援する

一般社団法人日本リレーションサポート協会代表理事

山口 里美さん

 米国在住の多くの在留邦人の関心事は、「いつか日本に帰国するかもしれない。だが、それはいつ?」ということだ。

 ニューヨーク日系人会で、第18回秋のヘルスフェアが開催されており、6日、一般社団法人日本リレーションサポート協会代表理事で司法書士の山口里美さんが、「最新版!!日本への永住帰国に向け、抑えたい7つのポイント!」と題して講演した。この帰国後の準備と日本の社会保障制度などをテーマに講演するのは今年で7年目。パンデミック以降、5年ぶりの対面式NY講演とあって、会場は入室定員上限の70人いっぱいの超満員となった。

 日本の現状は1年間に157万5936人が死亡する。これからの相続対策は、認知症対策がポイントになる。内閣府の調査で2025年は認知症は5人に1人なのが、2060年には3人に1人になる。そんな中で増えているのが一人暮らしの高齢者数で700万人を超す。

 「米国からメールで連絡いただきZOOMで、そして、帰国されてから弊社オフィスでと、約10名の方々のご相談をお受けしております。内容は、施設をお探しする、遺言書を作成する、死後事務委任契約を結ぶなど、さまざまです」という。例えば、帰国後に自分で高齢者施設を探そうとしても、そもそも、情報がゼロからのスタートだと探すのに相当な時間がかかる。事前に情報を得ておくことで、目的に合った施設を早く探すことが可能となることを講演会で解説した。

 「誰に相談してよいかわからなかったけれど、山口さんのセミナーを聞いて、お願いすることができて本当によかったと言われます。『私の友人にもこのサービスを紹介したい』とお友達を紹介して下さった方もいます」という。

 また、米国在住者で帰国する人の経済面での大きな関心は、米国で受け取っている米国年金をどのように日本での受給に切り替えるかだ。「日本とアメリカは年金協定国であるので、日本の年金事務所の手続きを行えば、基本的には年金を受け取ることが可能です。具体的なお手続きがわからない場合、日本の専門家をご紹介することも可能です」という。日本への帰国相談窓口として、山口さんに相談すれば大体の解決策は見つかるところが心強い。

 「自分で自由に動くことのできる健康なうちのご決断をお勧めします。帰国後、手続きで役所に行く、住居を探すなど、結構体力の必要なことでもあります」と話す。(講演要旨5面に、三浦良一記者、写真も)