米国で飴細工師として活躍する日本人女性、キャンディ5さん(60)の創業30周年記念イベントが12日、マンハッタンの美容サロン、ジュエルハウスで開催された。会場には天狗や日本の郷土芸能に登場するお面などが並んで、日米来場客の目を楽しませた。特に子供たちにライブで飴細工を作るデモンストレーションは大人気。アニメキャラクターなどのリクエストに応えて名人技を次々と披露した。
キャンディ5さんは富山県出身。高校2年の時、毎日新聞富山支局長だった父が49歳で他界した。大学進学を諦めて就職するも会社勤めが肌に合わず、10回以上も転職を繰り返したが、天国の父の導きとも言える記事に出会い紆余曲折を経て当時80代だった東京の飴細工職人・木村武雄氏の弟子に。ほどなく金太郎飴本舗にディズニーが飴細工師を探しているという連絡があり、高齢者ばかりの業界で紅一点の若者だったキャンディ5さんに白羽の矢が当たった。1996年のことだった。ディズニーのエプコット・日本館でパフォーマンスを始め、たちまち来場者の人気者となった。
5年後、2001年9月11日の同時多発テロで解雇されたが 半年後には元の職場ディズニーから電話がかかり、「戻ってこないか」と打診された。キャンディ5さんの解雇に多くのファンから苦情が届いていたのだった。13年に円満退職するまでの期間には、アメリカ航空宇宙局(NASA)のパーティーにも招かれ、そこで知り合った宇宙飛行士の野口聡一さんがキャンディ5さんの作ったバースデーケーキ飴を宇宙で受け取ったニュースは世界にも流れた。退職後、富山の母親の介護で4年間帰国したが、2017年10月、大学を卒業してディズニーのダンサーになっていた娘をフロリダに残し、ニューヨークに活動の場を移して現在に至っている。
日本文化紹介イベントや子供の誕生会などに引っ張りだこのキャンディ5さん。来場した日本クラブの内藤久也さんも「こどもの日のイベントではいつも大人気ですね」と話す。90のゼッケンをつけたキャンディ5さん「あと、30年、90歳まで飴細工師として頑張ります」と大きな笑顔で答えていた。