日本クラブビルを売却

来年秋に移転を計画

 ニューヨークの会員制社交クラブ、日本クラブ(上野佐有会長、会員約1000人)が来年秋に移転することになった。6月の理事会で決定、ビルの所有権を共同保有していた竹中工務店に同月30日付で800万ドルで売却したもので、現在移転先候補との最終契約交渉を進めている。年内には移転先との契約を完了する見込み。

 計画によると、新しい日本クラブ会館は既存ビルに賃貸テナントして入居し、現在ある57丁目のビル2階から7階までを使った総延床面積2万3000平方フィートの約半分程度の広さになる予定。2階以上の4フロア程度を使い、日本クラブ事務所のほか現在の同クラブにある展示ギャラリー、宴会場、会議室、各種パーティー、セミナー、ミーティングなど多目的に利用できる部屋、レストラン設備なども規模は小さくなるが、すべて存続する形で移行するという。来年10月から順次引越しを始め、2026年1月の新年名刺交換会は新会館で実施したい考え。

 日本クラブは1905年に、日本倶楽部として創設され、初代会長には、化学者の高峰譲吉博士が就任。野口英世が在米中、同クラブで将棋を指していたという由緒あるクラブだ。以来日米交流と在ニューヨーク日本企業人と家族の親睦を図っている。1963年には、現在の57丁目にクラブ会館が移転され、その後91年に新館を竣工落成し、日本クラブ・タワーとして現在まで利用されている。新会館には、これまで同様、ニューヨーク日本商工会議所(JCCI、河手哲雄会頭、会員会社数約280社)、JCCファンド(和田知徳会長)の事務所がテナントとして入居する予定だ。日本クラブでは「現在交渉中の場所が正式に決まれば、マンハッタンの中でもこれまで以上に便利で利便性の高い会館となり、日本文化紹介のイベントや、物産展の会場、県人会など各種会合などのコミュニティー活動の場として広くニューヨーク日系社会の親睦の場所に活用してもらい、これからも会員数をさらに増やしていきたい」としている。企業の駐在員中心の同クラブが、移転を期に広く日系社会に親しまれる場となれるかも課題だ。