世界平和を祈り国連近くで集会

広島松井市長、長崎鈴木市長
NYへ平和のメッセージ送る

 広島と長崎への原爆投下79周年記念イベント「世界平和インターフェイスの集い2024」が、8月5日から5日間にわたり開催された。(主催:NY平和ファウンデーション、代表・中垣顕実法師)今年は2部構成で、「広島と長崎への原爆投下を記念する第31 回インターフェイス原爆犠牲者追悼式」では、5日(広島の日)と8日 (長崎の日)に生配信のプログラムを開催。また、「広島と長崎を超えて: 地球規模の調和の世界に向けた平和の集い」は、9日、10日、15日に対面形式で開催された。

(写真上)ウクライナで今年4月に完成したキッズ・ゲルニカの絵(9日、国連近くのダグハマショルド広場で、三浦良一撮影)

 記念式典には、地元の仏教、神道、キリスト教、ユダヤ教、ヒンズー教、イスラム教、ネイティブ アメリカンの指導者のほか、日本、ウクライナ、米国のミュージシャンたちが参加。9日午前10時には、国連近くのダグ・ハマショルド広場で、平和祈念と被爆者追悼式典が行われ、松井一實広島市長のメッセージをNY広島県人会の古本武司会長が、鈴木史朗長崎市長からのメッセージをNY長崎県人会会長の木下信義会長がそれぞれ代読した。最後にキッズ・ゲルニカの作品が同広場で披露され、イベント・コーディネーターの渡邊実さんが挨拶し、世界の平和を求める子供たちの作品を紹介した。

 主催した中垣法師は「暴力によって、力ずくで自分の主張を訴えるのではなく、武器を捨て、非暴力で、互いの幸せを願う対話を推進する必要があると思います。ロシア・ウクライナ戦争の戦火にある子供達が描いた絵には一刻も早く戦争が終わり、平和な世界を、笑顔で過ごせる社会・世界を願っている誠実な思いが描かれていると思います」と話している。

世界の子供が参加

 キッズ・ゲルニカ=キッズ・ゲルニカは、スペインの画家ピカソの反戦壁画「ゲルニカ」と同じサイズの大型キャンバスに、世界中の子どもたちが平和の絵を描く国際プロジェクト。地球全体をキャンバスにして平和の精神を表現するアート。すでに50か国で1000枚以上の平和の絵が制作されている。

NYに到着したキッズ・ゲルニカ、ウクライナで完成

過去29年間に1000枚

キッズ・ゲルニカについて説明する渡邊さん
(左端、9日、国連近くで)

 今回、ニューヨークで展示されたキッズ・ゲルニカの絵は Irpin イルピン で今年の4月26日に完成された作品だ。イルピン=ウクライナ語:  (イルピーニ)は、ウクライナの北部の首都キーウのすぐ隣、キーウ州ブチャ地区のイルピニ川沿いに位置する都市だ。イベント・コーディネーターとしてニューヨークにこの絵を持ってきたキッズ・ゲルニカ国際委員会の渡邊実さんは次のように語る。

 「1995年以来これまで、世界50か国以上の子供たちによって1000枚近い作品が制作されてきたキッズ・ゲルニカ・プロジェクトですが、子供たちの平和に対する真摯な願いにもかかわらず、近年のロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるガザの攻撃など、無差別な一般市民の大量虐殺はエスカレートしてきています。これからも罪の無い子供たちが殺され続け、またその子供たちを殺人のために戦場に送り出す時代に向かうことが、本当に、今の大人の責任ある行動なのでしょうか?戦争の痛みに今も苦しみ、その悲劇を繰り返してはならないという強い想いを持つゲルニカ・広島・長崎やその他の戦争被害を伝えようとする世界の街とそこに住む人たちが連帯し、世界に向かって「戦争反対」「同じ過ちを繰り返してはならない」と強くアピールすることこそが、戦争被害者の鎮魂になるのだと考えます。

 これまでさまざまな場所で展示を続けてきましたが、今年の8月はここニューヨークにて、広島、長崎と佐世保(米軍キャンプの子供)の作品、ウクライナと富士山麓の子供たちの作品を展示をすることで、世界の子供たちの平和を願う気持ちを発信したいと考えています」