ニューヨークで20年間、現代舞踊家として活躍しNY大学で講師を務めた田中いづみさんが7月26日、東京の練馬文化センターで主宰する「石川須姝子・田中いづみダンスアカデミー」(東京都練馬区)の第68回発表会を開催した。
同アカデミーは、田中さんの母で日本の現代舞踊界の巨匠として知られる石川須姝子さんが、前身の石川須姝子舞踊研究所を1950年に創立した。発表会は創立以来、コロナ禍の2年間を除きほぼ毎年行っている。昨年の発表会は予定1週間前の5月末に石川さんが97歳で亡くなったが、生前「死ぬまで踊り、舞台に立ち続けたい」と話していた故人の意志を追悼し予定通り開催した。
今年は3歳児からシニアクラスの79歳までが、童謡やポップ、ジャズ、コンテンポラリーの音楽に合わせ、石川さん、田中さんらが振付したすべてオリジナルの作品を披露した。ソロを得意とする生徒は、深海や沈黙、誰もいないストリートなどを描写した自主制作作品を発表し、グループ作品では、初舞台の生徒たちもベテランの講師たちと一緒に踊る姿も見られた。
田中さんは、レッスンでは母の石川さんから受け継いでいる「楽しんで踊る」ことをまず大事にしているという。また自身としては「生徒の『個』を大切にすることを意識している。レベル、年齢に関わらず、今、その人に何が大切かを考えた指導をしている。心を閉ざしている人でも、自分を表現出来る様に。その行く先は、個性を生かした踊りが出来る様になる」と話している。 (浜崎都)