羽ばたくパワーをNYで充電中

メイクアップアーティスト

赤松 美咲さん

 2015年に東京でメイクアップ・アーティストとして独立した赤松美咲さんは、国立愛媛大学を卒業するまで地元の愛媛で育った。県内の理容美容学校通信コースを卒業し国家美容資格を取得、2012年には坂本龍一(故人)や松田聖子のメイクアップを担当した業界では有名な東京の嶋田ちあきメイクアップアカデミーを卒業。その頃から、自分もいつか東京に拠点を移してファッション雑誌の仕事をしたいと思うようになった。

 社会人になってからは、企画デザイン会社やコマーシャルフォトスタジオで働きながら、広告写真用のメイクアップアーティストとしても活躍。携わったCM撮影の作品はACC賞を数多く受賞した。その頃、雑誌ELLE 、ヴォーグなどで活躍するメイクアップアーティスト松井里加氏に憧れた。嶋田ちあきメイクアップス クールに通うために何度か上京していたタイミングで松井さんにDMを送ると、東日本大震災後の2014年に松井さんが復興支援として主催している岩手県大槌町の「ビューティーボランティア」に誘われた。「松井さんのメイク、手の動き、たたずまいは本当に美しく、間近で見ることができて幸せでした」。独立と同時にしばらくしたら東京にも拠点を構えることを決めていたころ松井さんから東京で活動するためのアドバイスを受けた。有名ファッション誌で活躍しているアーティストは、海外でのアーティスト活動経験者が多いことを教えてもらった。その時、海外に出ることも選択肢の一つだと感じた。「映画をやりたいならロサンゼルス、ファッションならニューヨーク」と勧められ、迷わずニューヨークを選んだ。2022年の夏に3か月だけ滞在した。NYで活躍している日本人の写真家やメイクアップアーティストにNYでの活動について聞いた。日本人アーティストは真面目で繊細な技術を持っている人が多いので信頼されているという。アーティストへのリスペクトも高い。NYの街も文化も刺激的だった。帰国して2か月後に再び来米。現在は自分なりに見聞と体験を広め、将来に備えているところだ。「ニューヨーク行きは突然決めたように見える。でも 長い時間をかけて、感覚的に自分でその道を選んできた。向かうべき道を楽しみながら選んで進んでいきたい」と話した。

 (三浦良一記者、写真も)