Furiosa: A Mad Max Saga
「Mad Max: Fury Road」(2015年)の続編でマッドマックス・シリーズでは5作目。物語は前作より十数年ほど遡る前日譚の位置づけだ。
前作のヒロイン、片腕の女戦士フュリオサの子供のころから成人するまでを背景に世界崩壊後の荒廃した無法地帯で地域に君臨する長と数百人の残虐なバイカー族のトップに立つ親玉らが死闘を繰り広げる。その中でフュリオサの復讐劇がすさまじい展開を見せる。
監督・脚本は前作と同じジョージ・ミラー。主人公フュリオサはシャーリーズ・セロンからアニャ・テーラー=ジョイにバトンタッチされ、「マイティ・ソー」のクリス・ヘムズワースがバイカー族を率いる悪玉ボス、ディメンタスを演じる。
つけ鼻・特殊メイクのヘムズワースはイケメンからヴィラン顔に変貌、クマのぬいぐるみをぶらさげながら、かなりクレイジーなキャラで独特なオーラを放つ。規模、スピード感を含め前作に続き、とびっきり斬新なアクションシーン満載の2時間半。瞬きするのがもったいないほどの迫力だ。
フュリオサは水も豊富で食物も育つ「緑の地」で生まれ育った。ある日、部落から少し離れたところで友人と果実を採っているときにバイカー族の下っ端にさらわれてしまう。母親は連れ去られた娘を助けようと命を失い、結局、少女フュリオサはディメンタスによって砦を仕切るイモータン・ジョーに売られてしまう。
髪を切る、おしのふりをするなど、血に飢えた男たちから我が身を守りながらフュリオサは必死に生きるための知識と技術を身に着け成長していく。彼女の目的はだた一つ、ディメンタスへの復讐と、いずれ故郷である緑の地に帰り着くこと。フュリオサの願いはかなうのだろうか。
今日一日を生き延びられる保障がない殺伐とした状況で彼女が唯一、心開く時がある。生身の人間と初めて心通わせたとき、怒りに燃えるフュリオサの胸に熱いものが走る。全編が荒地の褐色と張り詰めたシーンの連続だからこそ際立つ瞬間だ。 (R)指定。(明)
(写真)ジャックを助けに行くフュリオサ(テイラー=ジョイ)Photo : Warner Bros. Pictures