野口英世97回忌

NYで墓参会

久野さんに奨学金

 日本が生んだ世界的細菌学者、野口英世(1876〜1928)の偉業を讃え、遺徳を後世に伝え、米国で医学の道を志す若き日本人研究者を応援することを目的に墓守り活動を続ける「ニューヨーク野口英世記念会」(HNMS、本間俊一代表)が21日、ブロンクスのウッドローン墓地で97回忌野口英世墓参会と第7回NY野口英世記念奨学金授与式を開催した。(写真上:野口英世の墓前で記念撮影する97回忌参列者 (本紙撮影))

 記念会副代表の加納良雄さんの司会進行で、本間代表が挨拶、野口の荒れた墓を日本人医師会とロックフェラー大学が協力して守って行こうと2013年に同記念会を設立した経緯などを紹介。

 ニューヨーク総領事の森美樹夫大使は祝辞の中で外務省でかつてアフリカ会議を担当したことに触れ「野口博士の偉業を称え、野口英世アフリカプライズが2025年に創設される。今後もニューヨークで偉業を顕彰する活動を日本総領事館としてもサポートしていきたい」と述べた。

 野口が黄熱病の研究で多くの命を救ったガーナの国連代表部、フレックス・A・ニャルク総領事、在ニューヨークメキシコ総領事館、バネッサ・オルテガ領事が同会の医療奨学金の継続に感謝の言葉を述べた。米国日本人医師会加納麻紀会長が、野口博士の生まれ故郷である福島県猪苗代にある野口英世記念会の倉根一郎理事長からのメッセージを紹介、NY福島県人会の竹田小夜子会長が感謝の言葉を述べた。

奨学金を受けた久野さん(中央)と医師会奨学金委員の加納医師会会長(右)と樋口委員

 第7回「ニューヨーク野口英世記念奨学金」はNYマウントサイナイ医科大学神経科学博士課程に在籍し、精神疾患の病態を生物学的な視点から解明しつつその原因の追求と介入療法の研究と開発に邁進している久野絢子 (くの・あやこ)さん(29)が受賞し、記念の盾と奨学金2000ドルが授与された。

 久野さんは愛知県生まれの愛知県育ち。2020年3月京都大学医学部医学科を卒業し、さらに同年4月から22年3月まで同大学医学部附属病院で初期研修医を務める。23年8月からマウントサイナイ医科大学で研究している。精神疾患の病態を生物学的な視点から解明しつつその原因の追求と介入療法の研究と開発に邁進し、現在もなお様々な精神疾患に共通してみられる社会性発達障害に関わる神経回路・分子制御の解明と原因の究明と開発に打ち込んでいる。

  久野さんは、人類のために科学の道に献身し命を懸けた野口英世博士の生涯を彷彿とさせる有望な日本人の若き研究者として、NY野口奨学金審査委員の間でも格段の高い評価を受け、その研究分野では、将来の成果に大きな期待が寄せられている。