被災地への義援金募る

アート公演会JAAで盛大に開催
日本に恩返しブラジル太鼓チームも

NY日系ライオンズクラブが主催し満席

 能登半島地震被災地を救済するための寄付金集めを目的としたアート公演「ファンドレイジング・チャリティショータイム、ニューヨークから北陸へ歌声・旋律届け!」が2月3日午後3時から6時30分までニューヨーク日系人会館ホールで開催され100人近い来場者で満席となった。

 当日は、在NYエンターテイナーが被災地救済に集結し、 被災地の早期復興を願い、全力投球した。出演者は全員ボランティア出演。このイベントにかかる経費を控除した収入はライオンズクラブ組織を通じて全て能登半島地震被災地へ届けられる。当日の寄付総額は9500ドル。また、これまで4回の募金活動では合計約3000ドルになっており、目標の2万ドルになった時点で送金する。

開会の挨拶をする三木会長

 当日のイベントの冒頭で挨拶した主催者のNY日系ライオンズクラブの三木伸夫会長は「今日ここに登場されるパフォーマーさん達はヒーローです。皆さんボランティアで被災地救済のため立ち上がってくれました。そして今日ここに来てくださっている皆様方もヒーローです。本イベントが少しでもそのお役に立てれば幸いです」と挨拶した。

 出演者はMeg Bless(歌) 浅井賢美& Mambembe NY(パーカッション) Adam Robinson(尺八) 翔士(ジャズ、歌) Triple D Dance Unlimited (キッズダンス) 上井雅代(メゾソプラノ) 由水 南(ブロードウェイ俳優、歌、石川県人会) 田村麻子(ソプラノ) 愛世梨乃(三味線、歌) リッチ亀田(マジック) 阿部公美、市川純子、松井綾香(ピアノ伴奏)。ブラジル打楽器チームのMambembe NYのエバートン・イサドロ音楽監督は「ブラジルの経済復興に日本が1950年代に助けてくれた恩返しに今日来ました」と話し、日本人リーダーの浅井さんは「自分にできることを考えているときに出演の声がかかったのでとても嬉しくて参加した」という。(写真上:ブラジルの太鼓が響いたMambembeの演奏(3日夕、JAAで、写真・三浦良一))

舞台終了後に挨拶する宮本NY石川県人会会長

 NYから支援の寄付公演

NY石川県人会の宮本ボーグ麗会長が感謝の挨拶
出演者が熱演「被災地へ元気付けになる」

 金沢市出身のNY石川県人会の宮本ボーグ麗会長は「今回のファンドレイジングイベントでは、絶え間ない日系ライオンズクラブ、県人会ボランティア、団体、個人の皆様のご支援に感謝の気持ちでいっぱいです。いただいた寄付金は、被災者を助けるだけでなく、国境を超えてアメリカのたくさんの人たちが被災者を応援していることが伝わり、元気付けにつながると思います。本当にありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。

「ニューヨーカーらしい応援だ」
満員の観客席気持ち合わせて

 今回のイベントを見た来場者からは「すごく遠く離れた世界の出来事のように一瞬思ってしまうが、こういう集まりがあると身近に感じ、何かできることがあるんじゃないかなと感じます」(筒井智子さん、在米40年)、「支援の力が伝わる感じで、本当に何ができるのよくかわからない中で、寄付だけでなく声を届けることでエルギーを届けられるんじゃないかなと思う」(古川明代さん、在米40年)、「パフォーマンスすごく良かったです。みなさんに元気つけできると思います。こうやってパフォーマンスをするのはニューヨーカーらしいと思います。ニューヨークの人たちは、人を助けるのが上手だし好きだし、とても良かったです」(鈴木奈美恵さん、在米36年)。

 石川県出身のブロードウエー俳優・由水 南さんは、オーバー・ザ・レインボーを見事な歌声で披露した。

 ソプラノ歌手の田村麻子さんはグノー作曲 オペラ「ファウスト」から宝石の歌と朧月夜の2曲を歌った。「みんなで心を寄せあう機会に、わたしも歌うことで協力できたとしたら、これほど歌手冥利に尽きる事はないですし、とても嬉しく誇らしいことでした」と話す。キッズ・ダンシングチームの代表8人は、パフォーマンスの後、お小遣いを集めた寄付金を、日本語が書ける子は日本語で、英語が得意な子は英語でそれぞれメッセージを添えてNY石川県人会の宮本会長に手渡した。

「復興したら来て下さい」
帰省中に地震に遭った小山さん

報告 昨年クリスマス後に帰省した金沢出身の小山秀子さんは元旦、初詣の最中に地震に遭った。経験したことのない揺れ。お互い手を握って耐えていた。本当に大好きな景色が一瞬で変わってしまった。

  「地震大丈夫でしたかってよく聞かれるんですが、大丈夫な訳ないですよね。でもほとんどの被災した人たちは大丈夫ですと答えるんです。その意味は生きていたから大丈夫ということです。私たちは生きていればこれからなんでもできるという気持ちで答えています。なので今は、大丈夫ですかと聞くより応援していますと言って欲しい気持ちです。被災地でボランティアで炊き出しをしたミシュランシェフら60人、食材を提供してくれた人たち、それを支えてくれた人たちは皆、自分たちも被災しているにもかかわらず避難所の人たちに温かいものを食べてもらいたいという一心で金沢内外から駆けつけてくれました。

 被災地はこれからが大変です。私の実家がある七尾市は今も断水で停電の地域もあります。通信状況も良くないです。そしてこれから報道もどんどん少なくなっていくと思います。寒い冬の中でできることは限られており、春になると今まで見えなかったことが見えてくるでしょう。多くのクラウドファンドがあってどれを選ぶか迷うでしょうが、自分の心が動いたところに寄付して貰えればいいと思います。数年後、能登が復興して、観光でみんなで美しい景色を見て、美味しいものを食べようと思ってくれるだけで力になります。能登が復興したらみんな遊びに来まっし、うまーいもの食べて楽しんでくださいね」と挨拶した。