【編集後記】 みなさん、こんにちは。音楽家の坂本龍一さんが3月28日に71歳で亡くなりました。本紙でも一度、坂本さんに直接お目にかかってお話を聞いていました。調べてみたら2010年10月1日号でのインタビューでした。しかし残念ながらインタビュー記事そのものは、デジタル版が2018年以降しか残っておらず、手元にもなく、書いた私本人も読み直すことができなかったのですが、幸いその時のことに触れた当時の編集後記がまだネット上に残っていました。以下で改めて紹介します。原文ままです。 「アカデミー賞受賞ミュージシャンで、作曲家・俳優・環境保護活動家としても知られる坂本龍一さんが10年ぶりに北米ソロ・ツアーを実施します。今回は珍しいソロ・ピアノを披露、オーディオとビジュアルを駆使したパフォーマンスを見せてくれるそうです。具体的にはどういう感じか、マンハッタン西50丁目にあるユニバーサル・レコード本社に行って聞いてきました。「ピアノを2台使って、1台は自分が予め弾いたものをセットしておいて、それと一緒に演奏するというか、まあ、時間差はあってもどちらも自分が弾くわけですけど」とちょっとシャイな感じで静かに話す坂本さん。18年前から環境問題にも音楽を通して意識的に取り組んでいます。若者たちに「エコはクールなものだという意識を持ってもらいたい」と。帰りがけ、握手の手を差し出してくれた坂本さん。握ったその手は意外にも大きく、ずっしりとしていたのでびっくりしました。ピアノを弾くには大きい手が鍵盤をより広い範囲で弾けるのですね。なんか、マグマ大使と鉄腕アトムの握手みたいな光景でした。それでは、みなさん、よい週末を」というものです。そして、それより遥か25、6年前を遡る1981~2年ごろ、イエローマジック・オーケストラ(YMO)がロサンゼルスに来て、A&Mレコードの野外駐車場広場の特設会場でライブ演奏をした時に、私は、前の会社のLA地元新聞社の記者として取材していましたよ、と伝えると、ホテルの部屋のランプを背にした逆光の顔が、懐かしそうにニヤっと微笑んだことだけは覚えています。今週号では5面で、日本の主に70年代80年代のレコードを輸入してNYで販売しているブルックリンのFACEレコードで、坂本さんの訃報に接して、全米のファンがYMOなどのレコードを買い求めに殺到したという記事を掲載しています。合掌。それでは皆さんよい週末を。(週刊NY生活発行人兼CEO、三浦良一)