「猟銃」NY公演4月15日まで
女優の中谷美紀が演じる舞台「猟銃」が16日、マンハッタンのバリシニコフ・アーツ・センター(37丁目450番地、9番街と10番街の間)で始まった。
井上靖の小説の舞台化で、4人の恋愛心理を描く悲劇。素封家で狩りが好きな三杉譲介に3人の女性から同時に手紙が届く。それは、妻のみどり、愛人の彩子、その愛人の娘の薔子からの手紙だった。13年にわたる不倫を知っていたとする妻、母の浮気を知った娘、永遠の別れを告げる愛人。
開演2日目の17日の舞台はほぼ満席で、拍手喝采、スタンディングオベーションのうちに幕を閉じた。禅の美学を取り入れたというユニークな舞台も美しく、共演する伝説のバレエダンサー、ミハイル・バリシニコフは哀切漂う深遠な身体表現で圧倒的な存在感を伝えたが、3人の女性を一度も舞台から下がることなく一人で演じ続ける中谷の熱演に圧倒された。観客からは「彼女は本当に素晴らしい」「舞台に釘付けになった」「辛い気持ちになる話だが美しい舞台だった」などの声が聞かれた。
同舞台は2011年にカナダで初演、日本では同年および16年に上演された。中谷が初舞台にして第46回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞、話題となった作品で、7年ぶりの上演となる。
4月15日まで、火曜から土曜は午後7時30分、日曜は2時から。日本語で上演、英語字幕あり。上演時間95分、休憩なし。料金は35〜150ドル。詳細はウェブサイトwww.thehuntinggun.orgを参照。 (小味かおる)
(写真)Photo: Pasha Antonov