日系4世の大統領副補佐官エリカ・モリツグ氏

NYタイムズ紙が活躍ぶり詳報

 バイデン大統領によって2021年4月にアジア・太平洋諸島系米国民を担当する大統領副補佐官に指名されたエリカ・モリツグ氏(51)について、3月13日付ニューヨーク・タイムズがその活躍の様子を取り上げている=写真=。

 モリツグ氏は日系4世としてハワイ州オアフ島で生まれた。オバマ元政権時代に住宅都市開発省で長官補佐官、連邦議会議員の顧問などを務めた経歴を持つ。コロナ禍でアジア系住民への暴力が増えていた2021年、バイデン政権の閣僚となっているアジア系米国人は通商代表部(USTR)代表のキャサリン・タイ氏の1人のみと、その少なさがハワイ選出のメイジー・ヒロノ上院議員(民主党)らから批判されていた。そこで名誉毀損防止連盟と女性と家族のための全国パートナーの幹部でもあったモリツグ氏に白羽の矢が立った。

 大統領副補佐官となってからは、ホワイトハウスのさまざまな会議に参加し、アジア系米国人の視点を取り入れさせている。ホワイトハウスに送られてくる書類や書簡などを確認し、祝日や祝賀会でのアジア・太平洋諸島系米国民の代表者の出席を確保する仕事もしている。最近では今年のホワイトハウスでの旧正月祝賀会を取り仕切った。

 2月19日にワシントンのスミソニアン米国歴史博物館で開催された故ノーマン・ミネタ元運輸長官(昨年5月に死去)追悼イベントに出席し、「あなたがいてこその私です」と元収容者で日系人の名誉回復に尽力した故ミネタ氏を讃えるスピーチをした。3月14日にはカルフォルニア州モントレーパークのアジア人コミュニティーで1月に起きた銃乱射事件現場を、銃規制を訴えるバイデン大統領と共に訪れた。

 連邦議会でも活躍しており、2021年には国会議員と協力してアジア系米国人に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)を取り締まるための法律の制定に関わった。

 モリツグ氏はタイムズの取材に対し、インフラ法案や半導体製造投資および技術研究法案など、最近制定された連邦法がアジア系コミュニティーにも利益をもたらすようにしたいと語っている。記事はモリツグ氏の「あまりに長い間、アジア系米国人は、目に見えない物語をでっち上げられて隠蔽されたりスケープゴートにされて、無視され消されていた。もはや私たちが目に見えないといったことは不可能です」という言葉で締め括られている。