NYファッションウィーク、活躍する日本女性たち

ネイルなら名取さんご指名

 ニューヨーク・ファッション・ウイークが10日から15日まで市内各所で開催された。今回、ラカン・スミス、アルツザラ、ビビアン・タムなどのファッションデザイナーの7つのランウエーのネイルを担当したのが、名取由稀江さん(=写真右)率いるYNNY(YUKIE NATORI NEW YORK)のネイリストたち8人。

 13日にロックフェラーセンター56階のレインボールームで開催されたラカン・スミスのショーに登場するモデル35人のネイルを手際良くつけていく。あらかじめサロンで用意したつけ爪だ。「あなたとても指が美しいわ。写真撮らせて」「ああいいよ」とモデルとの会話も弾む。名取さんはこれまで春と夏のファッションウィークに15年間も有名デザイナーたちのご指名に応えている。日本のネイル学校を経営するのと同時にニューヨーク市内ではスキン・ディープNYCという美容皮膚クリニックも開業しており、日米の女性たちを美しくすることがライフワークだ。

羊毛ファッション、ニューヨーカー魅了

北海道美深町で羊と暮らし創作

逸見さん手応え

 北海道美深町で10頭の羊と暮らしながら、草木染めでフェルト服を作っている逸見吏佳(へんみ・りか=写真左、中央)さんが12日、ニューヨークファッションウィークで羊毛ファッションをランウエーで披露した。この日、マンハッタンのチェルシー地区26丁目の会場となったハドソン川を臨む14階のカノエ・スタジオは、昼前から熱気にあふれる盛況で、大勢のファッションジャーナリストやバイヤーたちが詰めかけた。そして観衆の見守る中、トップバッターで逸見さんの作品を纏ったモデルたちが颯爽とランウエーを歩きギャラリーの注目を集めた。札幌市出身の逸見さんが羊のいる風景に憧れ、2004年に美深町に移住して現在は牧場で羊を家族と共に飼いながら羊毛ファッションを手がける。

 昨年、バンクーバーファッションウィーク参加後にニューヨークファッションウィークの主催者から案内のメールが届き、興味を持って今回の参加となった。「私たちの暮らしとは真逆の世界一の都会ニューヨークで、ショーをして、大勢の笑顔を送っていただき、なんというか、共感を得ることができました」とショーの後、興奮気味に逸見さんは話していた。薄い生地に羊毛を載せる布フェルトで、縫製することなく無駄なく作りあげる洋服作りを発案。身近な植物で草木染めするなど、周囲の環境に調和したものづくりを目指している。コンセプトは「生きている服」。そこには命として感じられるような愛が溢れる服を作りたいという思いがある。ロングコートやショールカラーは、縫い目がなく、一体化しているウエアで、「見た目の良さだけではなく羽織った時の心地よさがあります」という。ブランド名は「粗清草堂」(soseisodo)。8作品のショーはあっという間だったが、それは、天然素材を使った手作りファッションのローライフスタイルがニューヨーカーたちを魅了した瞬間でもあった。(三浦良一記者、写真も)