国際交流基金
全作品英語字幕付き
国際交流基金が日本映画12本を6月15日まで無料で配信している。全作品英語字幕付き、日本全国の6館のミニシアターが2本ずつ作品を選んでいる。ここでは3月15日まで配信される個性的な6本の作品紹介をしたい(残りの6本は3月15日から6月15日まで配信)。
ドキュメンタリーは2本である。『二重のまち 交代地のうたを編む(Double Layered Town: Making a Song to Replace Our Positions)』(2021年、小森はるか+瀬尾夏美監督)は東日本大震災の津波に遭って崩壊し、嵩上げ工事で新しい地になった町に住む人々にインタビューし、失われたものの記憶に想いを馳せる4人の若者を描く。『風の波紋(Dryads in a Snow Valley)』(16年、小林茂監督)は、雪深い新潟の山中の集落の自然に囲まれた人々の四季の暮らしを丁寧に追う。
『ほったまるびより(hottamaru-days)』(15年、吉開菜央監督)は、古い家に住み着く妖精たちと家主の女性が繰り広げる幻想的なダンス・音楽映画。『ワンダーウオール(Wanderwall: the Movie)』(20年、前田悠希監督)(写真上:『ワンダーウオール』© NHK)は、京都の伝統ある大学寮廃止を進める大学側と対立する寮の学生たちを描く実話を基にしている。『誰かの花(Somebody’s Flowers)』(21年、奥田裕介監督)では、家族を失う悲劇と認知症という誰もが直面し得る問題が静かに展開する。沖縄の孤島、南大東島には高校がないので15歳で島を離れる少女が家族の離散に直面しながら島の民謡の演奏に打ち込む姿を描く『旅立ちの島唄〜十五の春〜(Leaving on the 15th Spring)』(13年、吉田康弘監督)と、どれも日本各地の風景や人々の暮らしを印象的に描いている。
作品選定をした劇場は、フォーラム仙台、高田世界館(新潟県)、シネマテークたかさき、シネマ・ジャック&ベテイ(横浜市)、シネ・ヌーヴォ(大阪市 )、シネマ5(大分市)の支配人たちで、商業劇場では見られない映画上映活動という地方でのコミュニティ活性化を果敢に推進するミニシアターの歴史と現在についての彼らのインタビューも読み応えがある。監督インタビューの映像も作品理解に役立つ。(平野共余子)
視聴方法は、URL: https://jff.jpf.go.jp/watch/independent-cinema/でメールアドレスと名前を登録すると無料でできる。