在米邦人と国政とを紙面で結ぶ
本紙は今月から月1回、前国会議員で民主党国際局長、財務副大臣を務めた藤田幸久・国際IC日本協会会長による新企画「海外日本人サポート」を連載します。
在外有権者100万人の時代、昨年10月の衆議院総選挙で投票した人はわずか2万人と言われています。投票しづらいという制度改革を求め、いま海外から日本の在外選挙制度を改善したいという大きなうねりが起こっています。
また、海外で生まれた日本人の子供の二重国籍問題など、海外で暮らす在留邦人の抱える悩みが日本の国政の中心部に伝わりにくいという現状があります。
その弊害を除く一助として国政と在米読者とを紙面のパイプで結びます。海外の日本人を支援するサポートと国政の現状を報告するレポートを併せた連載は毎月第1週に掲載します。
ニューヨーク生活プレス社
在外有権者約100万人の中で昨年10月の総選挙で投票した人は約2万人と言われています。憲法第15条が定めた選挙権が行使されない、ゆゆしき事態です。海外日本人はさまざまな不平等や被害を受けています。その実態をお伝えして改革するサポートについて、今月から連載させていただきます。
約1%の人しか投票に行けない在外投票制度には次の驚くべき実態があります。①在外公館が遠い(片道8時間。往復に丸一日。600キロ) ②公館までの費用が高い(飛行機代6万円。交通費3万円)③投票期間が短い(公館での投票が1日や、2日間のみ可能。土日は投票できない公館)④郵便投票機能不全(請求書が投票日後に選管に到着。選管が投票用紙の発送日を間違え。国がコロナで国際郵便を停止)
これらに怒り、昨年の総選挙後ニューヨークの子田雅子さん、イタリアの田上明日香さん、ドイツのショイマン由美子さんがオンライン署名「在外ネット投票の早期先行導入を求めます!」を始めました。そして1月31日に署名2万6027筆が林芳正外務大臣に手渡されました。林大臣は「時代が変化しており在外選挙の見直しが必要。2万人投票の現状を一桁増やしたい」と応えました。
早速、4月1日から在外選挙人名簿登録が、一定の条件のもとビデオ通話を通じた本人確認及び事前送付された書類の原本確認によって、在外公館に赴くことなく申請ができるようになりました。
署名では、本年7月の参院選での在外投票でネット投票の実証実験を実施し、2025年参院選からの在外ネット投票の全体運用開始を求めています。
これは歴史的快挙です。私も在外投票推進議連の会長として活動しましたが、行政の不作為と霞が関の壁を破れませんでした。しかし3人の女性の決起が局面を大きく変えました。3人は、日本の問題は外の方がよく見えることと、行動しなければ変えられない、ということを示してくれました。
コロナ「禍」は、世界中で問題が共有され、ネットで繋がった人同士が連携して行動するという武器を提供してくれました。この新兵器を「福」として、さまざまな日本の問題を外からchange してまいりましょう! ネット選挙はその「さきがけ」です。 (つづく)
ふじた・ゆきひさ=水戸一高、慶大卒。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身政治家。衆議院・参議院議員各二期。財務副大臣、民主党国際局長、民進党ネクスト外務大臣、横浜国立大講師等歴任。対人地雷禁止条約加盟、アメリカ元捕虜(POW)の訪日事業を主導。世界52ヵ国訪問。現在国際IC(旧MRA)日本協会会長