その4:実は「ワイン王国」なミズーリ州

さあ行こう! 魅惑のアメリカ旧国道「ルート66」

 ルート66ファンの皆さん、こんにちは!日本は2年続けての外国人観光客不在の桜シーズンも終わり、夏に向かって日に日に暖かくなっています。先週新年度が始まりましたが、この号が出る頃はもうゴールデンウィークも間近でしょうか。日本の状況はちっとも良くなっていませんが…。

 さて今月のテーマ。私は以前カリフォルニア州ナパバレーの某ワイナリーで働いた経験があるのですが、その時のお客様より「ルート66にはワイナリーはあるのか?もしあるならそこへ行くプランを教えて欲しい」とのご要望を頂いたので、今回はワイナリー巡りを絡めたルート66旅のご紹介をしたいと思います。「えっ?ルート66でワイン?」皆さんの反応が想像できますが、ルート66にだって、NYロング・アイランドに(多分)負けない?美味しいワインがあるんですよ!

 というわけで今回登場するのは「ミズーリ州」。実はこのミズーリ州、結構なワイン王国なのです。そう、何と9つもの「ワイントレイル」が存在します。どうしてまたミズーリで?と言えば、米国開拓史時代に多くのフランス人が交易のためにこの地で生活していたことが挙げられます。セントルイスにはビール工場もあるように、ミズーリ州はワインやビールなどのアルコール産業が発達しました。ルート66が通るのは州の南西部にあたる「オザーク・ワイン・トレイル」地域となり、そのオザークの丘陵地帯St. JamesとRosatiの街を目指すことにします。

 発着空港は同州セントルイス、ランバート国際空港です。中都市の空港としては比較的大きく、機能的で使い勝手が良いので私もお気に入りの空港です。空港はダウンタウンから14マイル、車で20分程度の距離ですので、街へ行くにも南下してルート66方面に向かうにも、便の良い場所にあります。旅のシナリオは2泊3日、初日午前中にセントルイスに着く行程で。移動同日に飲酒をするのは大変ですから、まずは空港から33マイル、車で約30分のEurekaの街を目指します。ここにはRoute 66 State Parkがあり、ビジターセンターも兼ねてますのでワイナリーなどの情報収集をするには絶好の場所です。(お土産屋さんも充実!)お昼はEurekaから26マイル離れたSt Clairまで行き、本場米国の伝統ダイナー、「 Lewis Café」へどうぞ。午後はSt Clairから車でもう15分強、初日のハイライトは、Stantonの街にあるルート66きっての行楽地「Meramec Cavern」(メラメック洞窟)でしょうか。

 メラメック洞窟は全長約5マイルにもなる洞窟で、開園は古く1933年。当時よりルート66の観光名所であり、今でも何と「ミズーリ州内最大の商業洞窟」で、(州内には6000もの洞窟があります)その人気具合も半端なく、毎年約15万人の訪問者数を誇ります。洞窟内を90分かけて廻るレンジャー付ガイドツアーが人気ですが、このメラメック洞窟は、歴史上悪名高いギャング、ジェシー・ジェイムズが逃走中に「隠れ家」として利用したことでも有名です。紙面の都合上、詳細はググって頂きたいですが、かの人気俳優ブラッド・ピットも2007年公開映画「The Assassination of Jesse James 」で主演を務めています。

 洞窟を満喫後は今夜の宿泊地、Cubaへと向かいましょう。この地域の宿泊ではCubaの「Wagon Wheel Motel」を選択しないのはルート66へ行った意味が無いと言っても良い程です。Wagon Wheel に泊まり、夕飯はモーテル隣の「Missouri Hick BBQ」(バーベキューは州の名物)、翌朝はモーテルから徒歩圏内「Shelly’s Route 66 Café」での朝食は「お約束」です。Cubaの特徴は街を彩る歴史的な壁画プロジェクト。モーテルで無料マップをもらって是非街を散策してみてください。

 2日目はCubaから西へI-44を15マイル程行ったSt Jamesまで行きます。ミズーリ・ルート66は、道がフリーウェイに取って代わられた部分が多いので地図で確認しながらI-44での移動をおススメします。St James地域には「Rosati Winery」、「4M Vineyards」、「Meramec Vineyards」、そして「St. James Winery」と、4つの主なワイナリーがあり、特にSt James Wineryでは軽食を取りながらゆっくりできるのでランチタイムに充てるのもいいかもしれません。この日のハイライトはワイナリーなので時間の許す限り複数箇所を楽しんだら、セントルイスに戻りましょう。複路はI-44がGray Summitという街でState Hwy 100(旧ルート66)と交差しますので、そこからセントルイスまではフリーウェイでなく、ミズーリ・ルート66を堪能するのがおススメ。セントルイスでのお宿はルート66に拘れば、「Wayside Motel」をお試しあれ。

 さて最終日、セントルイスは大都市ですので、観光スポットに溢れてますが、街のシンボルである「Gateway Arch」は絶対に忘れないでください。その他、「Old Chain of Rocks Bridge」、「Cathedral Basilica of St Louis」などの名所、そしてバドワイザーの工場見学ツアーもあります。個人的な趣味を言えば、当然MLBカージナルスの試合なんかも(笑)。更にこれを忘れてはけません、「逆さにしても落ちないアイス」で有名な「Ted Drewes Frozen Custard」も是非。皆さんのお好みに合わせて最終日はセントルイス観光を満喫してくださいね。

 ところで、「米国でもワイン飲んで運転したら捕まるんじゃないの?」と心配する方も多いと思います。もちろん米国でも飲酒運転は犯罪ですが、一滴でも飲んだらダメな日本と異なり、「最大血中アルコール濃度」が重要になります。21歳以上の成人は0・08%以上で違反となりますが、それが保たれていて運転に支障が出るほど泥酔していなければ逮捕は免れます。ですが、罰されなければそれで良いわけではないので、皆さん各自、自己の責任で「飲酒はほどほど」に、休憩と水分補給を充分取って楽しい旅になるよう心掛けてくださいね。それではまた来月お目にかかります!

(後藤敏之/ルート66協会ジャパン・代表)