プロに聞く、生き生きEATS(イーツ)
元気と美味しいを求めて料理の達人が腕を振るう (12)
時は1543年8月。種子島の南端に台風の直撃を受けた一艘の中国船が漂着。100人余りの乗客の中に3人のポルトガル商人がいて、彼らが持っていたのが「鉄砲」でした。これをきっかけにポルトガルとの交易が始まり、ヨーロッパの鉄砲や中国のシルクと日本産の銀を交換するようになり、異国の珍しい品物を南蛮、それを売りに来るヨーロッパ人を南蛮人、彼らが伝えた料理を南蛮料理と呼ぶようになりました。その南蛮料理の代表格が「南蛮漬け」。スペインやポルトガルで一般的な料理、揚げた魚や肉を酢を使ったタレに浸けたエスカベシュが起源と言われています。世界中の美味しい料理を和風にアレンジするのが得意な日本人は、エスカベシュも醤油を使ってアレンジ、ご飯のおかずにも良し、酒の肴にも良し、の一品に変身させました。
今回はその南蛮漬けの作り方をアッパーイーストにある寿司屋「いなせ」のオーナーシェフ、板床淳一さんがご紹介。「NYで手に入れやすいお魚とたいていの家庭のキッチンにある玉ねぎと人参を使います。作りたても美味しいですが、荒熱をとった後冷蔵庫で冷やすと味が染みこんで更に美味しくなります。冷蔵庫のお掃除によいメニューで、しかも冷蔵庫で約1週間持ちますので、ぜひお試しください」。
板床淳一さん
「いなせ」オーナーシェフ。福岡県出身。寿司職人歴28年。これまでマリオットマーキスホテルの寿司バーやガリ寿司、Enなどで寿司を握る。3年前に旧オーナーから「いなせ」を引き継ぎ、パートナーの川野彰子さんと二人三脚で切り盛りする。
材料
魚(平目、鯛、鱈など白身魚やサーモン、刺身の残りなど)、人参、玉ねぎ
タレ=酢1、醤油1、砂糖1の割合(甘さ辛さはお好みで調整してください)
片栗粉、塩コショウ 少々、揚げ油
作り方
①野菜を出来るだけ細く千切りにする。
②魚はひとくち大に切り塩コショウをして、片栗粉をまぶして揚げる。コツはお魚に完全に火が通らない様に揚げること。後でタレとからめた時に余熱で仕上げる。
③タレ=酢、醤油、砂糖を鍋に入れて火にかけ、沸騰させずに砂糖を溶かす。
④野菜、揚げたお魚をボールやコンテナに入れ、その上から温めたタレをかけ、満遍なく絡ませる。
⑤出来上がってすぐ温かいまま食べる時はタルタルソースとの相性が良い。ほかにゴマ油やゴマをアクセントに少しかけても美味しい。