プロに聞く、生き生きEATS(イーツ)
元気と美味しいを求めて料理の達人が腕を振るう (10)
マンハッタンの老舗レストラン「しんばし」閉店後、その名を受け継ぎつつ、より大衆的な和食店としてオープンした「しんばし72」。今号ではその「しんばし72」のオーナー片山貴之さんがちょっとした一手間でグッと美味しくなる秘密を三つ伝授します。
秘密その1 美味しいごはんを炊くには
お米を炊くのはガス釜や電気釜のスイッチを入れて待つだけ、美味しく炊くための手を入れる余地は限られています。洗米時に大事なことは米糠をきれいに取り除くことですが、ここで問題になるのは水桶に米を入れて洗うと、米から取れて水中に出た糠が再び米粒に浸透することです。
再浸透を防ぐためには手早く洗い、水を頻繁に変えれば良いのですが、これが結構煩わしい。更に手で揉むように洗うと米粒はもろいので壊れて細かくなってしまいます。これらを防ぐためにはどのようにすれば よいか考えた末、良いやり方を思いつきました。
ステンレス製の目の細かいざるに米を入れ、手は一切触れずに流水のみで洗うことです。しかもアメリカの一般的なシンクには食器やシンクを洗うためのシャワーが付属しているので、そのシャワーを使えば簡単にきれいに米を洗えて、糠をしっかり取ることが出来ます。
水温は40℃ぐらいのぬるま湯で、古米の場合は少し温度を上げ気味にすると良いです。家庭での場合はお米の量が少ないので、このやり方が最善です。
秘密その2 自宅でアレンジするポン酢
次は驚くほど美味しく、しかも簡単にできるポン酢の作り方です。40年前「しんばし」の板長がフロリダの甘いオレンジに眼を付け、手絞りのオレンジでポン酢を作っていたのを今の「しんばし72」の阿紀子社長が思い出しチョイチョイと再現しました。市販のめんつゆとポン酢、トロピカーナのオレンジジュース(オリジナル、パルプなし)を混ぜれば出来上がり。割合はお好みですが、僕の好みはオレンジジュース1、ポン酢1、めんつゆが三分の一から半分といったところでしょうか。このアレンジポン酢以上の味を探すのは至難と思います。是非お試しを。
秘密その3 冷凍ウナギが大変身
最後は冷凍ウナギの処理の仕方です。解凍したウナギをまずお湯で洗ってたれを取り除き、更に酒で洗ってから焼いて、たれを塗ります。以前は白焼きが輸入できましたが、現在はたれで焼いてあるものしか手に入りません。こうして一手間加えると、冷凍ウナギがぐんと美味しくなります。たれは市販のものでも良し、お好みの甘さ、辛さのたれを自作しても良し。ご自宅でレストラン並みの美味しいうな丼をお楽しみください。
【しんばし72】
218 W 72nd St.
New York, NY 10023
11:00〜21:00 月曜定休
*現在はテイクアウトのみ