エマ( テイラー=ジョイ)はキューピット役が気に入っている
PHOTO : Box Hill Films
イギリス作家 ジェーン・オースティンの作品は 「高慢と偏見」「分別と多感」など18世紀、19世紀イングランドの中流社会における女性の暮らしぶりを描いたものが多く、中でも「エマ」は明るくチャーミングなコメディだ。
すでにグウィネス・パルトロウ主演(1996年)で原作に忠実な正統派と、アリシア・シルバーストーン主演で舞台をビバリーヒルズに置き換えた現代風脚色の「クルーレス」(95年)などがあり今さら、という気もするが、それなりの新鮮味を取り入れた最新版だ。
というのも主演のエマが「ウイッチ」「スプリット」などのアニヤ・テイラー=ジョイというのが大きい。「サラブレッド」(17年)でも冷酷かつかわいい不思議な雰囲気を醸し出す役柄をさらりとやってのけ、今、20代前半で最も注目される女優の一人だ。
物語は小説に沿っているがパルトロウがややウエットだったのに比べてテイラー=ジョイのエマはドライで快活、ナイーブな部分は「はっ?」という雰囲気で回りを煙に巻く。
共演は珍しくコミカルなビル・ナイ、歌手で俳優のジョニー・フリン、ミア・ゴスら。本作が長編映画監督デビューとなるオータム・デ・ワイルドは写真家、ミュージックビデオ監督で彼女が描き出す映像は清楚と艶やかが混ざり合う絶妙の美しさが際立つ。
今日は長年、エマの家庭教師を務めたアナが嫁ぐ日。二人の仲を取り持ったのはエマだ。適齢期の娘たちがこれぞという男性に胸ときめかせている一方でエマはすっかりキューピット役が気に入っている。
そこで次は友人ハリエット(ゴス)にだれかふさわしい相手を見つけてあげようと牧師のエルトンを紹介する。ハリエットが農夫のマーティンに求婚されたときもエマは断らせたりしている。
父や隣人のナイトレー(フリン)らはあまり出しゃばったことをするのは好ましくないと助言するがエマは聞く耳を持たない。
2時間2分。 (明)
https://www.focusfeatures.com/emma
■上映館■
AMC Lincoln Square 13
1998 Broadway
Cinepolis Chelsea
260 W. 23rd St.
City Cinemas 1, 2 & 3
1001 Third Ave.