フォートリー区もフレッド・コレマツ・デー

古本さんが区庁舎でスピーチ

フレッド・コレマツという名前をご存じだろうか?第二次世界大戦時、日系アメリカ人は敵国のスパイという濡れ衣を着せられほとんどの人が強制収容所に入れられて不当な扱いを受けた。「私はアメリカ人だ。こんな扱いは納得できない。」と日系アメリカ人の人権を主張し、逮捕、投獄された人物がフレッド・コレマツ氏だ。戦後も国の不当性を訴えて戦い続け、アメリカが正式に非を認め大統領が謝罪、収容所に入ったことのある存命者に補償金が支払われるまで、何十年もの日々が過ぎていた。その後もコレマツ氏は、9・11米同時テロ以降、同様の扱いを受けていたイスラム系アメリカ人を擁護するなど、人権擁護活動家としてその一生を捧げた。
 そんなコレマツ氏の偉業をたたえ、カリフォルニア州は2010年、彼の誕生日である1月30日を「フレッド・コレマツの日」と定め、永久に「憲法で保証された州民の自由の重要性を再認識する機会」を作った。東海岸でも、強制収容所経験者の日系人を中心にこの日を認定させようという運動が起き、2017年にNY市が「フレッド・コレマツの日」を認定した。
 その運動の中心人物の一人として活躍したのが、NJ州やNY市で長く不動産業を営む古本武司さん。自身も戦時中に強制収容所で生まれ、ベトナム戦争時には米軍兵として出兵し戦ったという経歴を持ち、退役後に不動産会社を立ち上げた。古本さんは、本業とは別に日系アメリカ人の地位向上や移民の自由と平等のために日々活動を続けている。
そんな古本さんや妻のキャロルさんの地道な努力の結果、このほど、古本不動産の本社があるNJ州フォートリー区が、東海岸では二例目の「フレッド・コレマツの日」を認定。その式典が、1月30日木曜日に同区の区庁舎で行われた。
マーク・ソコリッチ区長は急用で式典を欠席したが、宣言書は古本キャロル夫人が代読。古本さんは、「私は幸いビジネスを興し幸せな日々を過ごさせてもらっているが、『戦時中の日系人への対応が不当だった』と認められる前に辛い思いをしたまま亡くなった方は大勢いる。そんな人たちのためにも、この活動はライフワークにしたい。ニュージャージーではフォートリーの町だけで終わることなく、州議会と州知事にもこれから働きかけて、カリフォルニアのように州全体でフレッド・コレマツの日を制定し、今後、移民の米国人が不当な扱いを受けない社会が作られるよう努力していく」と語っていた。(本紙・久松茂、写真も)