主婦だってギャングになれる The Kitchen

 DCエンターテインメント傘下ヴァーティゴ・コミックによる同名物語の実写版。オリー・マスターズとミン・ドイル原作のミニ・シリーズで刑務所行きになった夫に代わってアイルランドギャング組織を引き継ぐ妻たちの生き様を描く。
 脚本・監督は「ストレイトアウタ・コンプトン」(2015年)でアカデミー脚本賞にノミネートされたアンドレア・バーロフ。彼女の監督デビュー作でもある。
 女性が主役のちょっぴりアンチヒーロ風とでもいおうか、早い話が女性ギャングの台頭ストーリーだ。
 主演はメリッサ・マッカーシー、エリザベス・モス、ティファニー・ハデッシュの3人。マッカーシーは「Bridesmaids」(ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン」などの人気コメディアンだが、「Can You Ever Forgive Me?」(ある女性作家の罪と罰、18年)ではシリアスな役柄に挑戦、アカデミー主演女優賞にノミネートされるなど演技の幅を広げている。モスは人気TVシリーズ「マッドメン」でブレイクし「トップ・オブ・ザ・レイク」などTVミニシリーズで人気急上昇中。この2人に「ガールズ・トリップ」(17年)のハディッシュが加わる期待のキャスティングだ。
 1978年、マンハッタンの南北は34丁目と59丁目、東西は8番街とハドソン川に囲まれた地区は当時、ヘルズキッチンと呼ばれ最も危険な地域とされていた。ブルックリンがイタリアン・マフィアの根城なら、ヘルズキッチンはアイルランド・ギャングの縄張りだ。ある日、組織の幹部3人が強盗で捕まり実刑判決を受ける。残された家族の生活は手下が見ることになっていたが実行されず、幹部の妻(マッカーシー、モス、ハディッシュ)はやむを得ず組織を自分たちが仕切る決心をする。
 普通の主婦だった妻たちの変身ぶりもさることながら、その原動力となった過去の苦い経験、男社会への不満が一気に噴き出る。フリートウッド・マックの「ザ・チェイン」、ハートの「バラクーダ」など70年代のヒット曲がノスタルジーを誘う。 主役3人の演技は大いに評価されるがストーリー的にはやや説得力に欠ける。1時間43分。R。 (明)

■上映館■
Regal E-Walk Stadium 13 & RPX
247 W. 42nd St.
AMC Empire 25
234 West 42nd St.
AMC Loews 34th Street 14
312 W. 34th St.