アーティストの日米交流支えて

日米芸術家交流協会 SJAC(Society of Japanese and American Creators)発起人
百田 和子さん

エスジャック(SJAC/日米芸術家交流協会)という芸術家集団を2年半前に有志と設立した。ニューヨーク在住の日本人と非日系メンバーからなる芸術家団体で、個展・グループ展・公募展など、より多くの展示機会とアートに関する情報を作家に提供することを目的にしている。
 発起人は百田さんのほか神舘美会子さん、バック早苗さん、永野みきさん、渡辺啓子さんらアーティスト仲間。現在会員数は45人。そのうち日本人は34人だ。
 年次展覧会は、会の活動の柱となるもので、日米の芸術家がお互いの感性を刺激し合う触発の場、鑑賞者を交えて多様な美意識を楽しむ文化交流の場だ。
 第3回目となる年次展 「SJAC2019」は、25日から7月1日まで天理文化会館(西13丁目43番地 A)で開催される。32人の日米アーティストが1点ずつ、絵画、ドローイング、版画、コラージュ、ミクストメディア、彫刻などの作品を展示する。
 神奈川県相模女子大学附属中、高から中央大学法学部に進んだが5年在籍して中退、出版・広告業界でフリーの編集者やコピーライターとして東京で10年ほど活動したが、仕事量が増え過ぎたため87年に株式会社雄企画という広告代理店を設立、社長に。大手広告代理店からの仕事を受けパブル期の日本で会社は潤ったが、精神的には大きなストレスで、すり減っていく自分がいた。2泊とか3泊で何度か遊びに来ていたニューヨークが好きになり、いまから20年前に日本の会社をたたんで来米した。
 フォトエッチングを手掛けるアーティストであると同時に、キュレーターとして展覧会を企画してきた。2014年と15年に日本クラブの日本ギャラリーで本多康子ディレクターの発案による「海を渡ってきた芸術家たち」展は大きな話題となった。
 共にエスジャックの立ち上げに関わった発起人のアーティスト、神舘さんは言う。「SJACは100%和子さんの考えで発足したアーティストグループ。金融街にあるインターナショナルセンター、そのほかの展示会場を彼女一人の足で歩き回り、発掘し、多くのアーティストたちに展示場所を与えてくれている。日々アトリエに籠って制作に励んでも、発表の場を持つことはアーティストにとっては容易なことではない。そんなアーティストたちにとって、和子さんはとてもありがたい存在」なのだと。
 「日本人以外のメンバーを増やすことでニューヨークのアート市場に融合していきたい。そこから世界へ羽ばたいていくそのお手伝いができれば」と話す。 (三浦良一記者、写真も)