2万5千市民日本を楽しむ
「こんな雨のなかをわざわざ聞きにきてくれたお客さんのために、今日は歌うよ!」。ステージに立つ前、甲斐よしひろはそう言った。12日、セントラルパークで開催されたジャパンデーは終日激しい雨のなか、野外プログラムが決行された。「今回は、ニューヨークの日本人の皆さんがニューヨークに感謝するという思いを込めて開催するなかでのライブなので、自分もそういう思いをいれながら歌いたい」。甲斐は米国公演に用意したジョーン・バエズの「500マイル」をしみじみ聞かせたあと、大ヒット曲「ヒーロー」を熱唱した。
また当日はプログラムにはないサプライズな演奏があった。ニューヨーク総領事の山野内勘二大使とジャパンデーインクのプレジデントを務めた野村ホールディングアメリカの社長、武村努さんがステージに立ち、デイトリッパー、ハードデイズナイト、レディマドンナ、レット・イット・ビーのビートルズのナンバーを演奏して会場を湧かせた。昼には東京五輪音頭が米国で初公開され、民舞座が踊りをステージで披露した。
大雨でステージにも容赦なく雨が跳ね返ってきた。鼓舞リーダーの宮本やこは和太鼓にビニールをかけるか迷った。「濡れると太鼓がダメになる。でもあの雨のなか足を運んでくれたお客さんのことを思うと全力でやらなくてはと思ったのでビニールはかけずにやった」迫力満点の演奏だった。だが太鼓は何台か傷んでしまった。宮本は「また日本で購入出来るように頑張ります」と言って笑顔を残した。フードテントでは大勢のボランティアたちが降りしきる雨のなかずぶぬれになって来場した市民に食べ物を配る姿があった。北米伊藤園では3万本の茶ボトルを配った。この日、参加者一人ひとりがヒーローだった。(三浦良一記者、写真・植山慎太郎)