タートルネックの男

イケメン男子服飾Q&A

 4月になりました。この時期、三寒四温と申しますか、気候が不安定になりがちですね。暖かい分には良いのですが、寒くなると雪になることもありますから。そのような時のために数枚お持ちになられていると便利なのが薄手のタートルネック・セーターなのです。人間の身体は頭と首から熱を放出するので帽子を被ったり首周りを覆うと思温かいのです。
素材ですが、メリノウールと呼ばれる上質なウール素材を薄手のニットにしたものがお薦めです。シルクやコットン製もありますが、結局ウールが一番丈夫で風合いも良く、また色合いも変わりにくく、加えて体温の調節にウールという素材はうってつけなのです。寒い時は温かく、暖かい時には逆に熱、体温を逃がしてくれる性質があるのです。
 現在、アメリカ国内ではウールのニットはほとんど製造されてはおりませんので、良質のものは外国製となってしまいます。イタリア製はもちろん良いのですが、メリノウール素材のタートルネック・セーターでは英国のジョン・スメドレー(John Smedley)という老舗メーカーのものが良いです。18世紀に創業された世界的な老舗ニットメーカーで着心地の良さとしっかりした作りで高い評価を得ているのです。
 タートルネック・セーターにはネイヴィーやグレー、ブラックなどのベーシックなダークカラーの無地数枚と、クリーム色かオフホワイト色、もしくは臙脂(えんじ)系の色をお持ちですと、お手持ちの紺のブレザーやジャケット等との組み合わせがしやすいです。タートルネック・セーターをジャケットの下に着込まれますと、ネクタイをしているのと同等の扱いを受けることになっております(笑)。
 加えてモックタートルと言いますが、襟を折り返さないタイプのハイネックのセーターもありますが、ロールドダウンと呼ばれます折り返しのタートルネックの方が不思議と大人っぽさと上品さが醸し出されるのです。そんなこともあるからでしょうか、イタリアではタートルネック・セーターのことをズバリ「La Dolce Vita」(甘い生活)などと言ったりするそうなのです。それではまた次回。
けん・あおき/日系アパレルメーカーの米国代表を経て、トム・ジェームス・カンパニーでカスタムテーラーのかたわら、紳士服に関するコラムを執筆。1959年生まれ。