有機化学分野の世界的研究者で、コロンビア大学名誉教授の中西香爾(なかにし・こうじ)さんが3月28日、ニューヨーク市内の病院で死去した。93歳だった。葬儀は身内のみで行い、偲ぶ会は4月または5月にニューヨークで行われた後に日本でも行われる予定。
中西博士は1947年に名古屋大学理学部を卒業、東京教育大学(58〜62年、現筑波大学)、東北大学(63〜68年)、コロンビア大学(69年〜)で天然有機化合物の構造決定に関する研究を展開した。現在の研究の潮流である学際領域へ積極的に進出。物理現象を積極的に導入し、多くの天然有機化合物の構造決定を行った。
また、天然有機化合物の生物活性解明研究も展開するなど、そのユニークな研 究手法は現代のケミカルバイオロジー研究の先駆けとなり、 200を超える天然有機化合物の構造決定および機能解析に優れた成果を残し、天然物化学に多大な貢献をした。日本学士院賞、キング・ファイサル国際賞、2007年に文化勲章を受けた。 (関連記事5面に)