孤独な生活を送る未亡人が人との関わりを求め、奇妙な方法で次々と新しい友達を作る。微笑ましいヒューマンドラマではなく、どこかB級の匂いがするサイコ・ホラーだ。
監督・脚本が古くは「クライング・ゲーム」(92年)最近では「ビザンチウム」(12年)などで知られるアイルランド出身のニール・ジョーダン。ダークな世界を作り出す彼ならではのゾクっとする作品だ。
題名にある未亡人グレタを演じるのはカンヌ、ベネチア両国際映画祭で主演女優賞を受賞しているフランス女優イザベル・ユベール。彼女の女優歴は50年近くに及ぶが(現在65歳)、ほとんどフランス作品のため、アメリカでの知名度はそれほどでもなく、「エル」(16年)で89回アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされ俄然、注目度が高まった。本作はユペールにとっては初のハリウッド・メジャーへの挑戦だ。
グレタが知り合った心優しい女性フランセスを演じるのは「キック・アス」シリーズのヒットガール役クロエ・グレース・モレッツ。ほかに「イット・フォローズ」(14年)のマイカ・モンロー、ジョーダン監督作品の常連スティーブン・レイらが共演。
フランセスは母親を亡くし、父親とはそりが合わずにニューヨークに出てきた。親友エリカ(モンロー)のアパートに同居、ウェートレスの仕事も見つけてそれなりに自分の新しい生活を軌道に乗せている。
ある日、地下鉄で座席に忘れられたハンドバッグを見つける。駅員所に届けようと思ったが閉まっており、そのまま自宅に持ち帰った。バッグの中にはグレタという女性の身分証明者が入っており、フランセスは彼女に直接、バッグを届けることにした。
届け物をしたフランセスを迎えたのは年配の物腰の柔らかい女性だった。彼女はフランス人で以前ピアノ教師をしていたという。夫を昨年亡くし、一人娘はパリに住んでいて寂しい様子だ。フランセスとグレタはちょうど失ったものを埋めるかのように急速に親しくなる。しかし、徐々にグレタのフランセスへの思いがエスカレートしてゆき、不穏な雰囲気がフランセスを包み込んでいく。1時間38分。R。(明)
■上映館■ AAMC Empire 25 234 West 42nd St. AMC Loews 34th Street 14 312 W. 34th St. Regal E-Walk Stadium 13 & RPX 247 W. 42nd St.