メイクアップアーティスト
横尾さちさん
横尾さちさんは、歌手・園まりの専属ヘアメイクとして日本全国300以上のコンサートツアー、テレビ収録を担当した。そのほか芸能、広告などでこれまで幅広く活動してきた。2003年に国際文化理容美容専門学校を卒業して美容師免許取得、06まで東京都内の美容室に勤務したあと、05年シュウ・ウエムラ・メイクアップスクールに入学、翌年卒業して08年まで同校講師を勤めた。2010年にメイクアップアーティスト松本由美子氏に師事し、14年6月に来米した。今後活躍が期待される横尾さんに日本とニューヨーク、男性の身だしなみを比べてみて気が付いたことを聞いてみた。
「ここ数年、日本でも『バーバースタイル(床屋さんスタイル)Barber style』と言ってニューヨークでよく見かける様な髪型が流行っていますが、日本にいる男性に通常好まれる髪型は無造作な柔らかい動きのあるスタイル。こめかみの毛を残し顔の形を少し隠せる様な髪型で、実際に床屋さんに行く男性はほぼ皆無。短い髪型は刈り上げ、スポーツ刈りと言って人気がありませんでした。ところが、ニューヨーク流の男性の髪型は正反対。フェードと呼ばれる技法で短く刈り込まれたサイドに、少し長めに残したトップの髪をセットします。この髪型は人種に関係なくニューヨークで生まれ育ったか、長く住んでいる人に多いようなな気がします。そしてこの様な男性は大体2週間に1回髪をカットする傾向にあり、多い人で1週間に1度。嘘みたいな本当の話しです。
このことを知って気がついたのは、ニューヨークの街を歩いていて、私が目を奪われた男性たちの髪型がいつもカットしたての綺麗な状態にあったことです。一般男性の顔周りに対する美意識の違いを強く感じ、興味を持ち始め、そういった男性にヘアケアやお肌のケアについて話をうかがう様になりました。すると散髪に頻繁に通うだけでなく、ほぼ8割以上の人が洗顔後、ローションやオイル、更にはパックもお気に入りのものを見つけていてケアしていることを知りました。銀行やファイナンス関係の人にいたってはネイルも綺麗にケアしています。
日本のビジネスシーンによっては業種によってはほぼタブーのヒゲの男性も多く見かけます。宗教的な理由以外にも顔の印象が汚らしく見えないように気を使っているからでしょうか。洋服だけではなく、髪型やヒゲ、肌のコンディションまで気を配って清潔感を演出するのがニューヨーク流の身だしなみを整えることなのだと思います」とのことだ。(三浦良一記者・写真・本人提供)