広島で被爆した塚本美知子さん(84)が10月30日午後、ニューヨーク国連本部で証言を通じて核兵器廃絶を強く訴えた。
塚本さんは、非政府組織ピースボート(本部・東京)が主催する第99回「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」に9月1日から参加。26日には昨年採択された核兵器禁止条約の初の批准・署名式が行われた直後のサイドイベントでの証言とあって、各国国連代表部や非営利団体の職員ら約50人が集まり、塚本さんの話に耳を傾けた。 同団体共同代表の川崎哲さんの進行で、核廃絶禁止条約発効に熱心に取り組むメキシコ国連代表部副代表のホワン・サンドヴァル・メンディオレア大使は「人道的に許されることではないということを強調する」、ジュネーブ国連本部オーストリア代表部のエリザベス・ティッヒー・フィスルバーガー大使は「19か国が批准し、69か国が署名したことは素晴らしい」と話し、署名国への早期批准を呼びかけた。同条約の発効には50か国の批准が必要とされる。
ユース非核特使として乗船する神戸大学大学院の安藤真子さん(23)も「被爆した当事者の話を聞くことが一番大切。でも、次世代の私たちも核兵器の恐ろしさを伝えていきたい」と話した。塚本さんは最後に、「これは広島・長崎だけではなく世界人類に落とされたもの」と、核兵器廃絶を強く訴えた。 (小味かおる、写真も)